ホイットニー・ヒューストン、知られざる苦悩と歩んだ軌跡ードキュメンタリー映画制作秘話

ANDY GREENE | 2018/07/11 13:00

| 全米で新作ドキュメンタリー映画『Whitney(原題)』が公開された (Photo by David Corio/Redferns) |


パット・ヒューストンにとっては、自分の家族の最大の汚点をさらけださなくてはならず、非常に厳しい立場だった。ディー・ディーの姉ディオンヌ・ワーウィックと、自分の叔母にあたるシシー・ヒューストンがともに存命とあっては、なおさらだ。「彼女たちにはきっと聞くに耐えないだろうとわかっていました」と、彼女は語る。「私にとっても、本当に、本当に辛かった。家族のプライバシーや個人的な秘密は、他人が口出しするようなことじゃない。だけど、これは家族の問題だけじゃありません。これはコミュニティの問題、そしていまや、アメリカ全体、世界の問題となっています。本気で取り組まなくてはいけない。だから私も、自分の殻を破って、傷ついた人々のことを考えなくてはと思ったのです」

だが、映画によってホイットニーの痛ましい幼少期の事実が明るみになり、いかに彼女の人生がドラッグによって蝕まれ、最終的に幕を閉じたかが暴露されようとも、彼女のアーティストとしての偉業もたっぷり描かれている。なかでも重きを置いているのが、1991年のスーパーボウルでの国歌斉唱だ。「たしかに、インタビューによってさまざまな秘密や暗い過去が暴かれたけれど、映画の前半では彼女の才能を称えたかった」とマクドナルド監督。「彼女は作曲こそしなかったが、曲作りの中でしっかり手綱を握っていた。彼女は音楽に革命をもたらした。あの国歌斉唱で、国歌の意味、国歌の歌い方はがらりと変わった。彼女は国歌を、戦争と人種差別の歴史から解放し、自由を称える歌へと転換したんだ」



映画のファイナルカットを見終えたニコール・デイビッドは、ホイットニーの人生を全く違う角度から見られるようになったと言う。「ずっと彼女を助けたいと思っていましたが、本当の意味で彼女を救うチャンスはなかったのだとわかりました。私がしてきたことは、すべて大したことじゃなかった。当時は必死に戦っているつもりでしたが、映画を見た時に、自分がやってきたことがいかにちっぽけだったか思い知りました。映画という力強い声の存在を、当時の私は知らなかったのです」


映画『Whitney(原題)』
本作の日本公開は未定。
Translated by Akiko Kato

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