Softspokenが語る、ポストハードコアにポジティヴを落とし込む理由、日本カルチャーの影響

Softspoken(写真左から、ディラン・カーター、サム・シューアー、クリス・ウェジントン、ケビン・ポッツ)

アメリカ・シンシナティ出身のポストハードコアバンド・Softspokenが先日初来日を果たした。東名阪で行われたツアーには彼らの来日を待ちわびていた日本のファンが詰めかけ、大いに盛り上がった。自分は初台WALL公演を観たが、エモーショナルな演奏だけでなく、ステージとフロアが生み出す一体感、特に終始温かで会場全体を包み込むような雰囲気が印象に残った。同じように感じた人はきっとほかにもいたと思う。なぜそう感じたのかは、日本到着翌日に行われたこのインタビューを読めばわかってもらえると思う。

残念ながら、ベースのディランは今回のツアーには不参加だったため、インタビューにはクリス、サム、ケビンの3人に参加してもらった。クリスは日本への留学経験があり、大学卒業後も日本で英語を教えていたことがある。インタビューは日本語で自己紹介をしてもらうところからはじまり、バンドについてだけではなく、現在のアメリカのシーンについてなど、幅広く話をしてもらった。

―飛行機が遅れて、日本に到着したのは昨晩だったそうですね。疲れているんじゃないですか。

全員:そうだね……。

―サムは特に疲れてそうに見えます。

クリス:彼はちょっと飛行機酔いしちゃったみたいで。

―乱気流か何かで?

クリス:そう。昨日、東京では大雨が降ったでしょう? それで空も大変で。

―じゃあ、目を覚ます意味でもまずは日本語でバンドの紹介をしてもらっていいですか。

クリス:(日本語で)僕らはSoftspokenです。アメリカのポストハードコアバンドです。彼がドラムのケビン、僕はギター、そしてボーカルのサム。

―上手ですね。

クリス:(日本語で)ありがとうございます(笑)。

―時間が経っても日本語は忘れないですか?

クリス:(日本語で)奥さんが日本人なので毎日話します。

―ああ、そうなんですね! クリスはかつて日本で英語を教えていたそうですけど、それはいつのことですか。

クリス:今から10年前ぐらい。最初は名古屋にある南山大学で1年間リュウガクセイをしていて、そのあとALT(Assistant Language Teacher。外国語指導助手)として、(日本語で)小学校と中学校の英語の先生を4、5年ぐらいやってました。

―あの、僕も英語で喋ったほうがいいですか……?

クリス:どっちでもいいよ(笑)! 彼らのためには英語のほうがいいだろうけど。

―あまりに流暢な日本語を話すので頭がこんがらがってきちゃって(笑)。じゃあ……そもそもクリスはなぜ日本に来たいと思ったんですか。

クリス:僕は歴史、特に戦国時代がすごく好きで、だから大学で日本語を勉強したんだ。

―日本では岐阜に住んでいたそうですけど、それは織田信長と関係があったりします?

クリス:それが理由ではないけど(笑)、会社から「岐阜に行け」って言われたんだよ。

―日本はどうでした?

クリス:アイラブジャパン。めちゃくちゃ暑いけど、僕の性格は日本の文化にすごく合ってると思う。

―その性格とは?

クリス:僕はわりと控えめなんだよ。几帳面で、清潔で、礼儀正しくて、あとはSoftspoken。静かってことなんだけどね。

―2人は今、クリスが話していた彼の性格について同意できますか?

サム:うん、そうだね。

ケビン:完全に。

クリス:(両脇にいる2人の肩を叩きながら小声で)グッジョブ、グッジョブ(笑)。

ケビン:俺たちは遠くにいても声が聞こえるぐらいLoudspoken(うるさい)だからね(笑)。

―そういう一見正反対な性格でバンドは上手く成り立つものなんですか。

サム:深く考えたことはなかったけど、たぶんそうなんだろうね。

ケビン:クリスはいい調整役になってくれるんだよ。

Rolling Stone Japan 編集部

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