グリーン・デイ、ブリンク182が「あの頃」の衝動を呼び起こす「When We Were Young Festival」レポ

グリーン・デイ(Photo by Erina Uemura)

昨年、初開催されたエモとポップパンクの音楽フェス「When We Were Young Festival」が、今年も米ラスベガスで10月21日と22日におこなわれた。2023年のテーマは「パンク」。ヘッドライナーにグリーン・デイ、ブリンク182を迎え、計55組のアーティストが出演し2日間で1万8000人を動員した。

【写真まとめ】「When We Were Young Festival」ライブ写真

会場となるフェスティバル・グランドは老舗サハラホテルの真裏に位置し、ラスベガス観光メイン通りのストリップからすぐという好アクセスの場所である。会場は大小4つのステージがあり、ステージ以外にはブリンク182の壁画アート、グリーン・デイのミニギャラリー、タトゥーショップ、ミニスケートボードランプなどが併設され、初日はスケーター界のレジェンドのトニー・ホークが登場しランプで見事なトゥイークを決め観客のボルテージを加速した。


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・New Found Glory/ニュー・ファウンド・グローリー

40度を超える灼熱の中、彼らのビッグヒットアルバムからの「Dress to Kill」のイントロが流れるとフロアにサークルモッシュが起こる。観客の頭の引き出しの奥に眠っていたリリックが一瞬で舞い戻ってくる。ヒットチューンの連発で期待を裏切らない。ディズニーチューンの「Let It Go」のカバーでブレイクアウトした後、ラスト曲で彼らの最大のヒット曲「My Friends Over You」をドロップし、ベテランの底力を見せつけた。




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・All Time Low/オール・タイム・ロウ

昨年の同フェスの出演者だったアヴリル・ラヴィーンが登場.。予想外のサプライズに観客が湧きに沸く。彼らのコラボレーション曲「fake as Hell」を披露した後、パンクチューンにアレンジされた彼女の代表曲「Sk8er Boi」を共演し観客を沸かせた。




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・Pierce The Veil/ピアス・ザ・ヴェイル

軽快なポップパンク・サウンドとは相対的なヘヴィでダークな旋律が鳴り響くと、隣のステージにいた観客までが彼らのステージ駆け寄ってくる。フロントマン、ヴィックのカリスマティックなデスボイスとシャウトの応酬は、ハードコア全開で度肝を抜かれる。なおかつバンドの超絶なグルーヴ感で唯一無二のエモな空間を作り出す。観客は爆音と共にシンガロングし、ブレイクダウンのモッシュへと傾れ込む。6曲という短いステージだったが強力なインパクトを叩きつけ、間違いなくこの日のゲームチェンジャーになった。




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・SUM 41/サム41

フェスの前夜にラスベガスのブルックリンボウルにてチャリティ・ボムという名のチャリティ公演を行った彼ら。フェス本番のモチベーションはバンドとファンともに万全だ。初っ端からステージ上に火柱が何本も上がり、割れんばかりの歓声で迎え入れられたメンバー。デリックはステージ上を走り回り、「お前らのガッツを見せてくれ!」と観客を煽りまくる。「Hell Song」のワンフレーズを聞いた瞬間、オーディエンスは狂乱の渦に。ギタリストのデイブとトム、そしてベーシストのコーンのスイングプレイに、ブランドンのパワードラムがパフォーマンスの観客のボルテージを加速する。バンドと共に瞬発力も持久力も求められる超ハードなステージだ。そんな光景をステージから見つめているメンバーは何ともうれしそうな表情を覗かせている。

紆余曲折を得て成長した彼らの作り出す音は、シンプルでイージーなパンクサウンドではなく、切実なエモーショナルを迸らせる。解散を発表しラストツアー中とは思えないほどバンドのケミストリーが最高に感じられる。ラストソングの「Still Waiting」演奏中、誰もがこの瞬間がもっと続いてほしいと思ってたに違いない。最後にデリックは「来年のツアーで会おう」とうれしいプレゼントをファンにくれたのだった。




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