グリーン・デイ、ブリンク182が「あの頃」の衝動を呼び起こす「When We Were Young Festival」レポ

ブリンク182の熱演、エネルギッシュな瞬間

・Thirty Seconds to Mars/サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ

フロントマンのジャレット・レトの美しい長い髪が、衣装のケープと共に風になびく。眩いバックライトに照らされ登場した姿は、映画のワンシーンのようだ。ドラマーのシャノンが「Up in the Air」でビートを走らせると観客は拳を突き上げる。陽が落ちた後のラスベガスの美しい光景をバックに演奏された「Kings & Queens」では最前列にいた観客をステージに上げ一緒に歌う。その光景は観客をカタルシスに誘った。誰もがその美しい光景に浸ってる余韻のままジャレットが「素晴らしい友人」と言ってライズ・アゲインストのティム・マキルラスをステージに招き、「This Is War」を共演。ステージがいよいよ終盤になるとジャレットは観客の何人かをステージに上げ彼らと一緒に「The Kill (Bury Me)」を熱唱。この日、彼らは1時間に満たないステージでいくつものハイライトシーンを生み出したのだった。




Photo by Erina Uemura

・Good Charlotte/グッド・シャーロット

パンテオン神殿を思わせる美しい映像がステージセットに映し出される。「The Anthem」でポップパンクのハイエナジーアワーが始まった。彼らとファンの間に長いブランクがあったとは思えないほどの息の合ったコール&レスポンス。スマッシュヒットの一つ「I Just Wanna Live」 サビの高音パートもパワフルに歌い上げ観客の期待を裏切らない。ジョエルとベンジーの強靱なシンクロはまさに彼らのスキルがアップグレードされていたことを物語っていた。2日目のセットにはリル・ウェインが登場し「A Willi」とラストソング「Lifestylef of the Rich & Famouse」を共演し、最高の盛り上がりを見せた後、幕を閉じた。1時間に満たない短いセットだったが、彼らのスケール感と凄みを体験した全ての人の脳裏に鮮烈に刻み込んでいった。




Photo by Erina Uemura


Photo by Erina Uemura

・Blink-182/ブリンク182

今年のコーチェラフェスでの最高のカムバックを果たしたのが記憶に新しい彼ら。バンドを脱退していたトムの復帰、癌の闘病からサヴァイブしたマーク、飛行機事故のトラウマを克服したドラマーのトラヴィス、そんな彼らの登場を多くの観客が待ち望んでいただけあって、ステージが始まる前から割れんばかりの歓声だ。カリスマ的な人気のトラヴィスのパワフルで超絶テクニカルなドラムは、ビートの掴みと絶妙なブレイクがポイント、そこにトムのエッジの効いたギタープレイににマークのソリッドなベースラインで、異次元のサウンドスケープを描き出す。ステージ上にそれを煽るように火柱が上がりまくる。
今宵の最初のエネルギッシュな瞬間の一つが「Rock Show」。彼らの過去を知らないZ世代のパンクキッズもシンガロングとモッシュに参加する。そして往年のファンに応えるかの如く、トムのダーティな下ネタジョークは20年経った今でも健在だ。彼のジョークにマークが参加しお互いに笑い合う姿を見て、最前列には感涙する観客もいた。



「I Miss You」ではソウルフルな演奏と群衆のシンガロングに、スマホのライトとラスベガスのネオンがさっきまでのリアリスティックなロックステージを異次元の世界へと変貌させる。「What’s My Age Again」「First Date」「Dammit」などキラーチューンなど計23曲を演奏し単独公演さながらのステージで瞬く間に過ぎていった約2時間のステージは、彼らの音とステージパフォーマンスがネクストレベルにアップデートされていたことを実感した。2024年にはオーストラリアを皮切りにワールドツアーが決定している。日本のファンもこのロックショウを体験できることを期待したい。




©When We Were Young

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