ブリンク182の軌跡、ポップ・パンクを「時代の音楽」として表現してきた3人

ブリンク182:左からトラヴィス・バーカー(Dr)、トム・デロング(Vo、Gt)、マーク・ホッパス(Vo、Ba)

トム・デロング(Vo、Gt)、マーク・ホッパス(Vo、Ba)、トラヴィス・バーカー(Dr)の3人が再び集結して、見事にカムバックを果たしたブリンク182。Y2Kリバイバル、ポップ・パンク・リバイバルの今という絶妙なタイミングで、ブリンク182はキャリア史上最大規模となるワールド・ツアーに続いて、この3人としては実に12年振りとなるニュー・アルバム『One More Time...』を10月20日にリリースした。

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まるで時代が一巡したかのようだ。ブリンク182のトム・デロング、マーク・ホッパス、トラヴィス・バーカーの3人が再び集結して、見事にカムバックを果たしただけでなく、今の時代が再び彼らを熱狂的に求めるムードになっているからである。

1992年に結成されたブリンク182は、1999年の『Enema of the State』、2001年の『Take Off Your Pants and Jacket』といったアルバムでバンドの黄金時代を迎えている。90年代の新世代パンク・バンドたちの大ブレイクに続いた彼らは、音楽的にはシンプルなアプローチと卓越したメロディ・センス、リリック的にはより聴き手に寄り添った等身大のリアルで、後にポップ・パンクと言われる、新しい時代のパンク・ロック・スタイルを打ち出した。基本はカリフォルニアのパンクを継承しつつも、ニュー・ウェイブやオルタナティヴ、ポストハードコアもバックグラウンドにあるし、ビートルズやビーチ・ボーイズのようなメロディ感覚も持っているし、ジャンルの異なるヒップホップ、ドラムンベース、エレクトロニック・ミュージックも追求していったから、ブリンク182の音楽はキャリアを通じてどんどん進化していくことになる。





バンドが最初に無期限の休止を発表したのは2005年のことで、トムはバンドを脱退して、バンドでありマルチメディア・プロジェクトであるAngels & Airwavesの活動をスタート。マークとトラヴィスは新バンドの+44を始動して、アルバムをリリースする。それが2008年9月にトラヴィスがDJ AMとともに、4人の死亡者を出した飛行機事故に巻き込まれたことで事態が変わっていく。事故で生き残ったのは二人だけで、DJ AMは1年後に薬物のオーバードーズで亡くなってしまうが、トラヴィスは怪我とストレス障害で生死をさまよい、この出来事がきっかけとなって、10月にトムとマークは会うこととなり、それがバンドの再始動につながっていく。2009年からはリユニオン・ツアーが始まり、2011年にはアルバム『Neighborhood』、2012年にはEP『Dogs Eating Dogs』をリリース。活動は順調に見えたが、2015年になるとトムが再びバンドを脱退。理由は音楽以外の活動に時間を割くためとのことだった。当時トムが熱を入れていたのは、UFO、宇宙人の研究であり、To The Starsという会社を作って本格的な活動も行っていた。トムの二度目の脱退を受けて、マークとトラヴィスはバンドを続行することを選び、トムの後任としてアルカライン・トリオのマット・スキバを加入させる。新ラインナップによる2016年のアルバム『California』は、ビルボード200でバンドにとっての二度目の1位に輝き、イギリスでも初の1位を獲得するほど、大成功を収めることとなり、初めてグラミー賞にもノミネートされた。続く2019年のアルバム『Nine』では、ポップ・パンクに今の時代のヒップホップのプロダクションを取り入れた意欲作となり、ビルボード200では初登場3位を記録している。

トムの後任を務めたマット・スキバはファンにもかなり好評ではあったが、コロナ禍の2020年に入ると、アルバム『Nine』のツアーはキャンセルとなり、コロナ禍の状況を曲にしたシングル「Quarantine」にはマットは参加しておらず、ギターを弾いていたのはマークであった。

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