ブリンク182の軌跡、ポップ・パンクを「時代の音楽」として表現してきた3人

トラヴィスのプロデュース力、曲ごとの制作体制

今のこの絶妙なタイミングで、ブリンク182はどういうアルバムを出してくるのだろうか。前作『Nine』でトライしたヒップホップ的なプロダクションは、今回は実は味付け程度で、基本は3人のギター、ベース、ドラムスの演奏と歌で正攻法なアプローチをしている。おなじみブリンク182のポップパンクではあるのだが、歌のメロディ、ビート感がアップデートされていて、今の時代の音を鳴らしているという感じがスゴくする。歌の方では、新たな出発、若い頃の思い出、上手くいかない恋愛、喪失などがテーマになっており、キッズの気持ちのまま変わらないブリンク182が、少しだけ成長している感じがするのもいい。ダイナミックなドラムのビートチェンジやブレイクのカッコ良さも突き抜けているし、曲展開の面白さも聴きどころになっている。そこは今回、トラヴィスがプロデュースを務めているのが大きいのかもしれない。加えて、前作『Nine』以上に、曲ごとに共同プロデューサー、楽曲の共作者を迎えることで、1曲1曲の精度を上げて突き詰めている感じもする。Angels & Airwavesやマシン・ガン・ケリーなどの制作で、3人がこれまで個々に仕事をしてきた共同制作者もいるし、ポップ・ミュージック畑からの起用もある。ランシドのティム・アームストロングが制作と歌で参加している曲もあるし、トラヴィスのソロやトランスプランツでも制作の右腕だった、ジ・インタラプターズのケヴィン・ビヴォナも参加している。また、前作のアートワークを手がけたRISKに続いて、今回のアートワークでもHAZEのようなグラフィティ界のレジェンドを起用していて、ストリート・カルチャーへのこだわりも強く感じさせる。





ブリンク182は常にゲームチェンジャーであったと思うし、ポップ・パンクを今という時代のリアルな音楽として表現してきたバンドだと思う。それが2023年、今一度、時代とブリンク182の音楽が再び蜜月を迎えているような気がしてならない。

<INFORMATION>


『One More Time... | ワン・モア・タイム』
BLINK-182 | ブリンク182
ソニーミュージック・インターナショナル
発売中

配信リンク:
https://smji.lnk.to/blink182ONEMORETIMERS

01. ANTHEM PART 3/アンセム・パート・3
02. DANCE WITH ME/ダンス・ウィズ・ミー
03. FELL IN LOVE/フェル・イン・ラヴ
04. TERRIFIED/テリファイド
05. ONE MORE TIME/ワン・モア・タイム
06. MORE THAN YOU KNOW/モア・ザン・ユー・ノウ
07. TURN THIS OFF!/ ターン・ディス・オフ
08. WHEN WE WERE YOUNG/ホウェン・ウィ・ワー・ヤング
09. EDGING/エッジング
10. YOU DON’T KNOW WHAT YOU’VE GOT/ユー・ドント・ノウ・ホワット・ユー・ガット
11. BLINK WAVE/ブリンク・ウェイヴ
12. BAD NEWS/バッド・ニュース
13. HURT (INTERLUDE)/ハート(インタールード)
14. TURPENTINE/ターペンタイン
15. F*CK FACE/ファック・フェイス
16. OTHER SIDE/アザー・サイド
17. CHILDHOOD/チャイルドフッド

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