グリーン・デイ、ブリンク182が「あの頃」の衝動を呼び起こす「When We Were Young Festival」レポ

グリーン・デイ、不変のポップパンク

・Green Day/グリーン・デイ

歴史的名盤『Dookie』のリリース30周年を記念して4枚組のスペシャルCDをリリースしたばかりの彼ら。世界中のファンがラスベガスに集結し、今宵はまさにセレブレーションナイトだ。フェスの直前にはラスベガスのダウンタウンの小さな会場でのサプライズショウを発表し、ビリー・ジョー・アームストロングの次男がフロントマンを務めるバンドUltra Qを前座に従えショウを行いウォームアップは万全である。



ヘッドライナーの彼らのステージには会場の後方まで身動きが取れないほどの人が集まり、バンドの登場を待ち構える。彼らのツアーお馴染みであるラビットが登場し観客を煽り会場をヒートアップさせる。 クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が爆音でかかり観客が壮大なシンガロングの後、ステージが暗転しメンバー登場。フロントマンのビリー・ジョー・アームストロングが「べガース!!!」と叫び「American Idiot」でスタート。ビリーはステージ上を駆け抜けながらギターを激しく掻き鳴らす。ベースのマイクはベースを高く掲げた後、何度もジャンプし観客を煽りまくる。それらに合わせるかの如く火柱とキャノンが上がりまくる。観客は、灼熱の中待っていた疲れをぶっ飛ばすほどの勢いで、モッシュにダイブを繰り広げる。そこへ2曲目に「Jesus of Suburbia」だ。このうれしいサプライズに観客は拳を突き上げ応える。



ビリーの唯一無二のカリスマ性とダイナミックなギタープレイスタイル、ドラムのトレの強靭でスタイリッシュなビート、そしてマイクの骨太なベースラインが体の奥まで響いてくる。代表曲の一つ「Hitchin’ a Ride」では、ビリーが「(お前たちの本気を)見せてくれ」と言い, 観客とのコール&レスポンスを求める。「まだまだ足りない」と彼が言うとトレもドラムスティックでもっともっとというジェスチャーをする。マイクはステージ端まで走り後方やVIPの客も煽る。続いて新曲「The American Dream Is Killing Me」を披露。得意のアップテンポでポップな曲は一瞬で観客の心を掴む。サビの部分ではすでにシンガロングがされるほど。この曲のリリックは現代の社会に意を唱える、パンクロック界の哲学のようだ。


Photo by Erina Uemura


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昔と変わらないエネルギッシュでアンセムなステージを繰り広げる彼ら。バンドは本能のまま歌い演奏していた若い頃と比べ、洗練され、さらにダイナミックでパワフルな進化を遂げていた。そして世の中の不条理なプレッシャーに闘う姿勢は今でも健在だ。そして想像を超えるノスタルジアに満ちた空間に胸が熱くなった。この場にいる多くのファンが若かった頃、彼らのすべてのリリックが体中に染みつくまで幾度となく聴いた証だ。ラストソングの「Good Riddance (Time of Your Life)」でビリーが一人ステージでアコースティック・ギターで演奏を終え、マイクとトレが戻ってきて互いにハグをしあった後、観客に拍手をし賛辞を表した。



これぞまさにパンクロックの集大成とも言える躍動と、疾走感で最高に多幸感溢れるステージ。彼らはラスベガスの夜に新たな歴史を刻んだのであった。


Photo by Erina Uemura


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