常田大希のヴィジョンを考察 MILLENNIUM PARADE改名の背景、新章の狙い

MILLENNIUM PARADE

常田大希率いる「millennium parade」が「MILLENNIUM PARADE」へと改名し、アメリカではTravis Scott、21 Savageらを擁する「EPIC US」、欧州ではTems、Bring Me The Horizon、Sadeをはじめとする世界的アーティスト達を世に送り出してきた「RCA UK」と契約、グローバルでの活動を本格化させることが明らかになった。併せて、その第1弾シングルとして、5月10日に新曲「GOLDENWEEK」をドロップすることも発表。常田はかねてからSNSや取材などで、ミレパ第2章に向けての準備を進めているという話をしていたけれど、いよいよ新たなフェーズの幕が切って落とされたようだ。

しかも。この発表が行われる2日前=5月1日には、これまでmillennium paradeとしてリリースされてきた楽曲群のすべてが「ꉈꀧ꒒꒒ꁄꍈꍈꀧ꒦ꉈ ꉣꅔꎡꅔꁕꁄ」という名義に差し替えられ、さらにアートワーク(ジャケット)はもちろんYouTube上に表示されているMVのサムネイルに至るまで、あらゆるビジュアルが、長い歳月を経て――それこそ「千年の時」を経て風化したかのようなものへと変化を遂げている。millennium parade時代のアーティスト写真も、発掘された古文書に描かれている絵のようで、伝承を重ねるうちにメンバーが鬼として語り継がれるようになったかのような、あるいは、時の流れの中で人の姿が薄れ、その内にあった鬼の姿が前景化したような、そんな印象を与えるものに変化していて、とても興味深い。








変化したアーティスト写真とアートワークの一部


ターニングポイントを迎えるにあたってアーティストが名義を改めるという例は珍しくないものの、既発作品の名義を変更するという例は、おそらくほとんどないのではないだろうか。特に今回のミレパの場合、「millennium parade」から「ꉈꀧ꒒꒒ꁄꍈꍈꀧ꒦ꉈ ꉣꅔꎡꅔꁕꁄ」へと変更された作品は、音源自体に変更はないものの、すべて事実上の新規リリース(つまりリイシュー+過去作品の削除)という形になっている。再生回数というものが強い指標になる今の時代に、これまでに積んできた数字が一度リセットされる事態をもたらす選択をするのは極めて潔い行為であると言えるし、一つひとつのアートワークの制作含め、ここまで徹底したアクションに出たというのは、どうしたってそこに何かしらのメッセージが託されているのではないか?と考えたくなる。実際、今回のことには間違いなく彼らの強い意志が込められているだろう。何故なら彼らは、アートにおけるコンセプトというものの重要性をよくわかっている表現者集団だからだ。

というわけで、本稿では、その意図を勝手に考察してみようと思う。なお、筆者は割とコンスタントに彼らに取材をしている立場の人間ではあるけれど、今回の件に関してはメンバーに一切ヒアリングを行なっていないので、あくまでも筆者の仮説/推論であることを先にお伝えしておく。

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