PaleduskのDAIDAIが語る、音楽ルーツと創作の裏側(BMTHオリーのコメントあり)

ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの制作

ーそこから一緒に曲作りをするために、イギリスに行ったんですよね。

DAIDAI 8月末から9月中旬ぐらいまで、3週間イギリスに行ってました。

ーその前からオリーとはやり取りをしていたんですか?

DAIDAI すでにリモートで何曲も作ってました。何曲もやり取りしていくうちに、オリヴァーが、「直接、横で一緒に曲作らない?」ってなって。

ー「AmEN! (feat. リル・ウージー・ヴァート and Daryl Palumbo of Glassjaw)」は6月のリリースですから、この曲はリモートで作ったんですよね。

DAIDAI 新代田で作りました(笑)。「DArkSide」の方は、イギリスに行った時に作りました。向こうではデモをいっぱい作ったんですよ。元々の主旨は、いろんな曲の種を一緒に作って、後は持ち帰ってリモートでやろうということだったので。「DArkSide」はその一つでしたね。

ーオリーは、DAIDAIがバンドメンバー全員の前に現れて、怖気づかずにギターを手にして、すぐに100通りぐらいのことをトライして見せたから、めちゃくちゃヤバかったと言ってましたね。

DAIDAI そう思われてるんだ?!と思いましたね。初日、初めて行った時に、オリヴァーのブランドのDROP DEADの事務所で曲作りをするってなって。メンバーがバーッと全員来たんです。みんなは座ってて、自分はパソコンを開いて。「じゃあ、曲をやろうか」ってなって。自分はデモを何個か持ってきてたし、アイデアは山ほどあったので、みんなを見てるうちに興奮してきて、「うわあ、本物や!」ってなったんです。





ー怖気づかなかったんですね(笑)。

DAIDAI 「これもどう?」、「これもどう?」、これも? これも? これも?って弾きまくりましたね。

ーメンバーのみんなの反応はどうでした?

DAIDAI 「面白い! 面白い!」って言うから、変なビースト・モードに入ってしまいましたね(笑)。自分も「楽しい! 楽しい!」ってなって。それで、初日が終わって、自分のベッドルームに戻った時に、オリヴァーからメッセージが来たんです。「今日作った曲が頭から離れないんだ。おまえと曲を作ったら自由になれる気がする。おまえとなら何でも作れると思う。一緒にマジックを起こそう」って来て。うれしかったですね。良いスタートになりました。

ーオリーとはどのようにアイデアを出し合って、形にしていったんですか?

DAIDAI オリヴァーもアイデアが止まらない人で、けっこう不思議な例え方で注文してくるんですよ。「ビートルズみたいな曲だけど、宇宙のスラッシュ・メタルみたいな曲」とか。でも自分の中でその言葉にピキン!となったので。それでバーッと弾いてたら、オリヴァーが「それ、面白いね」ってなって。そういうのをずっと続けてやっていくんです。オリヴァーも自分でデモを作るんですけど、別にスゴいクオリティのオケでもないのに、どのデモも全部光るものがめちゃめちゃあるんですよ。その時にやっぱりこの人は天才だと思いましたね。

ー1曲に対して何バージョンも作ったんですよね。

DAIDAI 1曲で20バージョンとか作りましたね。納品してからまた戻して作り直したのもあります。「これをもっとこうしよう」って、完全に終わったはずの音源をもう一回解体して、やり直しましたね。

ーやり直しになった時はどう思いました?

DAIDAI それが毎回、そのアイデアが素晴らしいんですよ。最初は、「エッ、あれを変えちゃうの? もうすでにカッコいいのに。どうなるんだろう?」ってなるんですけど、オリヴァーが新しく持ってきたメロディとかアイデアを聴くと、「いや、そっちの方がいいよ」って、毎回驚かされるんです。

ーでもDAIDAI自身も、自分の作ったデモについて、「最初に聴いた時は誰にも理解できないだろうけど、3回目に聴けばわかるはずだ」って言ったんですよね。

DAIDAI 自分の中で、他の人がやっていないことをやってる自覚はスゴくあるので。一発目で理解されるわけはないと思ってるから、「3回は聴いてくれ」とはずっと言ってたんです。

ー理解されるわけのないアイデアでも、自分の中ですでに着地点は見えているんですか?

DAIDAI 毎回、ある程度は見えてます。でも、今の自分にはもっと勉強していきたい領域があって。それは、突拍子もないけど一発目で人の心をつかめるようにするということです。ちゃんと音楽のアンテナを張ってる人は、一発目からつかんでくれるんですけど、一般の方が聴いて、ポップスの概念が完全に壊れてるのに、何か楽しい、何かカッコいいってなる、そういう領域に行きたいなとは思いますね。そこに関しては、ブリング・ミー・ザ・ホライズンと一緒に曲を作ったことで、スゴく勉強になったところはあります。



ーブリング・ミー・ザ・ホライズンはロック、メタルの世界にいて、まだまだ先に行けると思ってやっていますが、Paleduskもそうですよね。

DAIDAI そこは一緒です。やっぱりバンドをやってるのが自分は一番楽しいので。

ーインスタでも「ギター弾くほどの快感知らん!」って書いていますよね。

DAIDAI ギターが大好きなので(笑)。休みがあったら、半年ぐらいギターだけを練習する時間が欲しいぐらい、ギターが好きですね。

ーオリーとやってみて、自分の中で得たもの、刺激になったものはありますか?

DAIDAI いっぱいあるんですけど、まず一番は集中力ですね。朝9時に起きて、そこからスタジオに入って、夜の12時ぐらいまでぶっ続けで作業をするんですよ。その期間は二人とも1日に1食しか食べませんでしたね。自分はたばこ休憩とかをちょいちょい挟むんですけど、オリヴァーは全く休まないんです。ずっと曲のアイデアをかき集めたり、メロディを考えたりというのを一生やってて。だからこのぐらいの集中力でこのぐらい音楽に打ち込めたら、オリヴァーじゃなくても、誰でもあの域に行けたんじゃないかって思うぐらいで。もちろん音楽的なアイデアも毎回ユニークだし、キャッチーなところもあって、いろいろ面白いなとは思うんですけど、この人の根幹のスゴさは集中力だなと思いましたね。かなり良い経験でした。


Photo by cherry chill will., Styling by Yudai Murakoshi (blackmeans/non mèrci) , Hair & Make-up by RIN. (from MEYTOKYO), MADDY

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