横山健とJun-Grayが語る、「Ken Yokoyamaはめっちゃバンド」の真意

「Show Must Go On」に込めた想い

ー歌詞の話もしたくて、「Parasites」「Heart Beat Song」「Show Must Go On」といったところが特にいいんですけど、話を全部聞くには取材時間が足りないみたいで。

KEN 話そうぜ。

ーじゃあ、1曲だけ。まだほかの媒体で話してない曲ってあります?

KEN 今のところ「Show Must Go On」は話してないね。

ーじゃあ、お願いします。

KEN これはツネのことを歌詞にしました。

ーはい。

KEN 以上(笑)。

ーあはは! このタイトルは「最後までやり遂げないといけない」という意味ですけど、横山さんから遂にこういうタイトルの曲が出てきたかと覚悟みたいなものを感じたし、個人的にはQueenの「The Show Must Go On」を連想したことでよりグッときました。

KEN やっぱり、ミュージシャンの生き様ってすごいじゃない? 直接知り合いじゃないけど、フレディー・マーキュリーにはすごいものを見せてもらったなと思うし、そういうことを俺はツネに対しても思うんだよね。まあ、ツネとは会ってない時期もあったから全部を知ってるかって言われたらそうじゃないかもしれないけど、少なくとも同じ時代を一緒に駆け抜けたヤツの、あんま言いたくはないけど……散り際みたいなものを見て、感情的に悲しいとか寂しいとかいうのと同時に……うまく言えないけど、すごいものを見せてもらったなっていう感覚にもなって。

Jun-Gray ショーじゃないけど、実際ツネちゃんが亡くなったときって俺たちはレコーディングしてたわけじゃない? でも止めるわけにはいかないし、そのまま作業を続けていってさ。こっちはこっちでやっていくしかないんだよって。

KEN 昨日も俺たちはスタジオで練習してたんだけど、俺はその前にチバ(ユウスケ)くんの訃報を聞いたのね。それでスタジオに行ってからメンバーに話したらみんな呆然とするわけ。病気だっていうのは知ってたけどこの間何の情報も入ってこなかったから、本当に突然逝かれたようなもんでさ、全員落ち込んだ。そのあとスタジオで「Brand New Cadillac」を演奏したよ。そのときにJunちゃんが「俺たちは俺たちのやるべきことをやっていかないとしょうがねえ」って言ってさ。

ーそういった想いがカラッとしたサウンドに乗せて歌われているという。

KEN これは多少狙いがあって、あんまりエモくしたくなかったのね。逆に、こういう曲だったからこそここまで歌詞が書けたってところもある。俺たち、歌詞を書くのは曲ができた後だからさ。

ーツネさんへのストレートな想いをエモいサウンドに乗せてしまうとやり過ぎになってしまう。

KEN そうそう。曲そのものがエモいとちょっとトゥーマッチだと思うんだよね。あと、もうひとつ話があって、これはJunちゃんには言ってないんだけど、この曲ね……実はハイスタ3人でつくったの。

ーえっ!?

Jun-Gray そうなの?

KEN 最初はね。たしか「I'M A RAT」のセッションをしてるときだったと思うんだけど、ナンちゃん(難波章浩)が「新曲をちょっと思いついたから、1フレーズ合わせたい」って言うから3人で合わせてみたの。で、俺はアレンジャー気質だからさ、その1フレーズを聴いて「ああしようこうしよう!」「ギターの音もこうしてさ!」ってぐわーっと組み立ててみたのね。でも、俺は興奮したけどナンちゃんとツネちゃんはあんまピンときてなかったのよ。

Jun-Gray それはさ、ナンちゃんの名前はクレジットしなくてもいいぐらいの感じなの?

KEN うん。だって、「Show Must Go On」のフレーズや雰囲気は全部俺が思いついたパートだから(笑)。

Jun-Gray 本当の元ネタがナンちゃんだったってこと?

KEN そうそう。で、結局ボツになっちゃったの。それでさ、ナンちゃんとツネちゃんに連絡して、「あの曲、KEN BANDでやっていい?」って聞いたら「いいよ」って。それでやってみたんだよね。だから、音像にも俺は興奮してたけど、そういった経緯もあって「これはツネの歌詞を乗っけたい」って。それを俺はメンバーに敢えて話さなかった。というのも……。

Jun-Gray 引っ張られちゃうから。

KEN そう、引っ張られちゃうから。

ーこの曲も含めて、今回横山さんがより腹をくくったような印象を受けたんですよね。

KEN それはわかんないな、俺はいつでも腹をくくってるから。

ー歳を重ねるごとに人生のステージってどんどん変わっていくじゃないですか。横山さんとの話にはよく出てきますけど、人生の最終コーナーに差し掛かった横山さんの覚悟を今回改めて感じたんですよね。

KEN ああ、その感じはわかる。「腹をくくる」っていう表現ではないけど、今までにない感情が芽生えてはいる。曲をクソにたとえるなら、自分がしたクソの色を見て、「ああ、今までとは違うな」っていうか……きったねえ表現だなあ!(笑)

ーあはは!

KEN でも、そういう感じ。絞った雑巾から垂れた汚水の色を見て、前は言えなかったことが今、俺のハートの中にはあるかも、とか。

ーでも、今俺が言ったような「腹をくくった」とは違うってことですね。

KEN そうだね。そこまで明確に「ここからは……!」って思ったわけではないけど、クソの色の違いは自覚してるよ(笑)。


Photo by Kazushi Toyota

<INFORMATION>


8th Full Album『Indian Burn』
Ken Yokoyama
PIZZA OF DEATH RECORDS
発売中

1.Parasites
2.My One Wish
3.A Pile Of Shit
4.The Show Must Go On
5.These Magic Words
6.New Love
7.Better Left Unsaid
8.Indian Burn
9.Deep Red Morning Light
10.Long Hot Summer Day
11.A Little Bit Of Your Love
12.Heartbeat Song

【初回盤 DVD】「Ken Yokoyama -不滅楽団編-」
収録時間:80分以上



CD購入リンク:
https://kenyokoyama.lnk.to/IndianBurn

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