クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが語る、日本での異邦人感覚、音楽で「遊ぶ」ことの本質

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(Photo by Andreas Neumann)

約6年振り、5回目の来日が控えているクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ。最新作である2023年6月リリースの8thアルバム『In Times New Roman…』は、全世界で大ヒットを記録し、第66回グラミー賞の最優秀ロック・アルバム賞と最優秀ロック・ソング賞の2部門にノミネートもされた。マーク・ロンソンのプロデュースでダンサブルな作風となった前作『Villains』とは変わって、ダークでブルータル、それでいて繊細で脆い音楽性は、人生の困難を乗り越えたというプロセスも大きく影響している。何層にも音がレイヤーとして重ねられたバンド・サウンドは、原点回帰というよりも、バンドの新たな進化を告げるものとなっており、来日公演でもどのようなライブを見せるのかが楽しみだ。ボーカル&ギターのジョシュ・ホーミに話を聞いた。

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ーもうすぐ来日公演ですね。

スゴく楽しみなんだ。実は息子を連れてライブ前に来日するんだ。息子は日本が大好きなんだよ。

ー息子さんは日本語のレッスンを受けていると聞きましたが。

もう1年半ぐらい毎日日本語を勉強してるよ。日本にいた時、息子とゴミ収集車がゴミを収集してるところを見たんだけど、アメリカと全然違ってたんだよね。俺が息子に、日本人がどれだけ仕事にリスペクトの気持ちを持ってるのかわかる?って聞いたら、「イエアァァ」って答えたんだ。普通の「イエア」じゃなく、とても感心して頷くような感じなんだ。そういう日々起きることの違いに興味を持ってるみたいで。どういうことがサムライ・カルチャーを生み出したのか、知りたいみたいなんだ。良い仕事をすることへの静かなリスペクト。そこに興味があるみたいだ。ちょっと皮肉っぽく表現したけど、要は、日本人はディープでクラッシーなマザーファッカーってことなんだ(笑)。

ークイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジは4回来日していますよね。初来日の2002年はフジロック・フェスティバルへの出演で、非常に強烈な印象を残しました。

俺の日本に対する印象は、息子とは真逆だったね。初めて日本に行った時、それまでに味わったことのない孤独を感じたんだよ。

ー何故ですか?

22年前は俺の言葉はほとんど通じなかったし、日本人オンリーというのをあちこちで経験したんだ。人々が俺を見て最初に発する言葉は、「彼は日本人じゃない」だった。自分が属してない別の世界に来てしまった感覚があったよ。そこから3回、4回と来るうちに、「彼は日本人じゃない」って言われることが気に入ってしまったんだけど。

ーそう言えば、初来日の時、一緒にクラブをハシゴましたよね。あの時、何日も寝ていないと話していたのが印象的でした。

あれが当時の俺のやり方だったから。孤独は感じてたけど、行けるところはどこでも行ってみようという感じだった。何かを見る時、ディープに見しようとしないと、ステレオタイプに見えてしまうものだから。日本はアメリカのどんな場所とも似ていない。日本とアメリカという全く違う両極端のカルチャーを見てるからこその面白さはあるんだ。日本にいると自分がアウトサイダーだという心地良さを感じるんだよね。

ー2018年に来日した時は、何か変化はありました?

行くたびに自分が日本で何をしたらいいのかわかるようになってきたよ。今の俺たちは世界中で上手くやれてるから、日本での異邦人感覚は逆に貴重だと思えるんだよね。通りを歩いていても誰も俺のことを知らない。これはネガティブな意味じゃなくね。東京でビートルズのクラブに行ったけど、実際のビートルズを観たことがないから、曲をリクエストしてプレイしてもらった時は感激したね。「In My Life」をプレイする頃には涙も流れて、そこにいる人たちと抱き合ってたよ。


Photo by Andreas Neumann

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