永久不滅のパンク・アルバム 人気ベスト10

セックス・ピストルズ(Photo by Adrian Boot/Photoshot)

ローリングストーン誌が選定した史上最高のパンク・アルバム40枚。その内容に賛否両論あったことは言うまでもないだろう。ディーヴォやジョイ・ディヴィジョンはパンクではないとする意見もあれば、ブリンク182、ヤー・ヤー・ヤーズ、ホワイト・ラングといった、パンク黎明期に存在すらしていなかったバンドの選出を嘲笑する者もいた。そういった読者の声を反映し、本誌が行った読者投票によって選出されたパンク・アルバム10枚を以下で紹介する。


●「永久不滅のパンク・アルバム 人気ベスト10」ジャケット一覧


10位 テレヴィジョン『マーキー・ムーン』


パンクバンドとして絶大な支持を得ていたテレヴィジョンは、1974年にニューヨークの伝説のライブハウス、CBGBのステージの設計に携わって以来、同会場で定期的にライブを行うこととなった。その2年後、のちにザ・ヴォイドイズを結成するベーシストのリチャード・ヘルは既にバンドを脱退していたものの、テレヴィジョンはパンク史に名を残すデビューアルバム『マーキー・ムーン』をリリースする。トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドの2人が中心となって築いたツインギターによる複雑なアンサンブルは、同じくCBGBが輩出したラモーンズにひけを取らないほどのインパクトを残した。ヴァーレインから多大な影響を受けたと公言するU2のエッジは、『マーキー・ムーン』のリリースからわずか1年後に解散という道を歩まなければ、彼らは大きな成功を収めていたはずだと語っている。




9位 ランシド『...アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス』


1980年代後半にベイエリアを中心に活動していたスカパンクバンド、オペレーション・アイヴィーのメンバーだったティム・アームストロングとマット・フリーマンは、1989年に同バンドを解散させた直後にランシドを結成する。最初の2枚のアルバムで数多くの熱狂的ファンを獲得した彼らに、次なるグリーン・デイを探していたメジャーレーベル各社はラヴコールを送った。毎日のようにオファーが舞い込んでくる中、彼らがサード・アルバム『...アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス』のリリース元に選んだのは古巣のエピタフだった。同アルバムはインディレーベルの作品としては破格の成功を収め、MTVや数多くのロック系ラジオ局からのサポートもあり、ポップ過ぎるという理由でグリーン・デイを敬遠していたパンクキッズたちをも夢中にさせた。バンドは今も健在だが、現時点では本作が彼らの代表作であることは間違いない。




8位 デッド・ケネディーズ『暗殺』

1970年代半ばにニューヨークで勃興したパンク・ムーヴメントを受け、1980年頃にはアメリカ全土がパンクバンドで溢れていた。中でも勢いのあったサンフランシスコのシーンを代表するハードコアバンド、それがデッド・ケネディーズだった。「アイ・キル・チルドレン」「トゥー・ドランク・トゥー・ファック」といった挑発的なタイトルも目を引く彼らの高速ビートはキッズたちを虜にし、代表曲のひとつである「ホリデイ・イン・カンボジア」はパンク史に残るクラシックとなった。その音楽にファンの親たちは眉をひそめ、彼らのショーはラモーンズのライブを学園祭バンドのお遊びのように思わせた。多くのパンクバンドがそうであったように、彼らの魅力はすべてデビューアルバムに集約されていると言っていい。そのキャリアを通して、彼らは1980年発表の名盤『暗殺』の衝撃を上回る作品を残すことはできなかった。バンドはその6年後に解散するが、フロントマンのジェロ・ビアフラを除くメンバーを中心に、2001年に再結成を果たしている。


Translation by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE