竹野内豊が語る、山田孝之との11年ぶりの共演と制作秘話

映画『唄う六人の女』にて山田孝之とダブル主演を務める竹野内豊(Photo by Mitsuru Nishimura)

映画『イチケイのカラス』、『シン・仮面ライダー』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、Netflixシリーズ『THE DAYS』と2023年も出演作の公開が相次ぐ竹野内豊。10月27日(金)には、山田孝之とダブル主演を務めた『唄う六人の女』が劇場公開を迎える。

疎遠だった父が亡くなり、遺品整理のために故郷の山奥を久々に訪れた写真家・萱島(竹野内豊)。父が所有していた山を購入しようとやってきた東京の開発業者・宇和島(山田孝之)と車で走行中、道の真ん中に立っていた怪しげな女(水川あさみ)を目撃する。その直後、落石していた巨岩に激突してしまい、気を失った二人が目覚めるとそこは謎めいた女たちが暮らす村で――。

謎だらけの怪しげな世界観、極限状態のサバイバル、観る者に訴える深いメッセージと一言では説明しきれないオリジナリティあふれる本作。京都府の原生林・芦生の森で行われた撮影は、想像力を問われる日々だったという。竹野内にその舞台裏を聞いた。


Photo=Mitsuru Nishimura

――『唄う六人の女』は石橋義正監督の作家性が際立った作品ですが、竹野内さんの近年の出演作には『シン・ゴジラ』『孤狼の血』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』等、エッジの効いたものが並んでいます。惹かれる作品の特徴はありますか?

竹野内:脚本をいただいたときに「なぜ今、この作品を世に送り出したいのか」ということは、すごく考えます。今作だと、自分にとってのキーワードは「自然」でした。子どもの頃に山の中で遊んだり、川で泳いだり、沼でザリガニ釣りをしたり、自然の中で遊ぶ機会が多かったのですが、大人になったら仕事ばかりで自然と触れ合う機会が少なくなってしまって。そんなときに『唄う六人の女』の脚本を読んで、感じ入る部分がありました。

石橋監督はこの作品を通して「人間社会だけでなく、生命そのものに焦点を当てたい」とおっしゃっていました。そのうえで怒りや愛情、人間の弱さを映し出し、共進化の道を考えてゆきたいと。監督のビジョンに自分自身が共鳴したところが、大きかったように思います。一言でいうなら「原点回帰」でしょうか。


©2023「唄う六人の女」製作委員会

コロナ禍以降、多くの方が自分自身と向き合う時間が増えたと思いますが、この先の未来を明確に描ける人は少ないですよね。わからないことがあればすぐ調べて答えを出せる情報過多の時代なのに、すぐ先の未来の予想がつかない。その背景には、自分自身も含めて人間が私利私欲を追求しすぎてしまった結果、自然とのバランスを壊してしまった事実があるのかなと思います。この先の未来を見据えるためにも、原点に立ち返ってちゃんと考える必要があるのではないか――こうした視点で考えると、この映画をいま作る意義があると感じました。この作品を通して、石橋監督が作品に込めた何かを多くの方々にも感じていただけたら嬉しいです。

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