沢田研二を描いた究極のノンフィクション、担当編集者と辿る完成までの道のり

書籍『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく、舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。

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2023年8月の特集は「最新音楽本特集」。PART4は、沢田研二を膨大な人物の証言を通して描いた書籍『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』について、担当編集者・内藤淳を迎え掘り下げていく。



田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのは沢田研二さん「君をのせて」。いい曲でしょう。1971年11月発売のソロデビュー曲。作詞が岩谷時子さんで、作曲が宮川泰さん。今週の前テーマはこの曲です。

今月2023年8月の特集は、「夏休み最新音楽本特集2023」。今週は4週目。文藝春秋社から発売になりました『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』。ついに出た決定版沢田研二論。沢田研二がどういうアーティストだったのか、どういう存在だったのか。ここまで様々な角度、膨大な人物の証言を通して書いた本は今までなかった。これからも出ないでしょうね。著者は島崎今日子さん。朝日新聞の雑誌「AERA」の現代の肖像で健筆をふるわれていて、2013年の『安井かずみがいた時代』も素晴らしい本でした。

今日は彼女をお招きする予定だったんですけど、この暑さですからちょっと体調を崩されまして。ピンチヒッターで担当編集者・内藤淳さんにお越しいただいております。あとがきで内藤さんのことを連載中の伴走者として紹介されて、エネルギーをチャージしてくれた編集者に出会えたことを幸運に思うと感謝の言葉を書かれていました。ジュリーをジュリーさんと呼ぶ、島崎さんよりなんと41歳若い担当者、当時、週刊文春編集部、今は出版局第二文芸部、内藤淳さんです。

内藤:こんばんは。今日はよろしくお願いします。

田家:この「君をのせて」は内藤さんが今日流したいと思われた曲のうちの1曲です。本が6月に出て、手応えはいかがですか?

内藤:ありがたいことにもう三刷が決まって、今累計2万3千部という、ノンフィクションにしてはかなり売れている本になっています。

田家:ページ数は381ページなんですけど、情報の密度がものすごいですね。

内藤:ほとんど改行もないぐらいびっしり情報と気持ちがこもっている。こんな本見たことないよって社内でも言われるぐらい密度が濃いギチギチの本になりました。

田家:2019年3月、加藤編集長からジュリーを書かないかと言われた。

内藤:はい。もともと島崎さんは10年ぐらい前からいつか沢田研二さんを書いてみたいという気持ちがおありだったそうで。ただ本人が取材は受けないと名言されてらっしゃるので、ちょっとそういう機会は恵まれていなくて。

田家:第一章から第八章まであるのですが、今日はそれぞれの章を内藤さんと紹介していこうと思っております。第一章、沢田研二を愛した男たち。章の中で出てくる曲をお届けしようと思うのですが、1曲目は「時の過ぎゆくままに」。

Rolling Stone Japan 編集部

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