CHAIが語る、自分たちのポップを世界に届ける意味

 
CHAIは世界中のみんなを肯定する

―この雑誌が店頭に並ぶ頃には、北米・メキシコツアーが始まっていて、11月には4年ぶりのヨーロッパ・UKツアーも控えています。それらはどんな意味のあるツアーにしたいですか。

マナ:みんなが「CHAIポップや」って思ってくれたら、それが正解やと思う。それでCHAIのライブを見た次の日から、「私、こうやって生きてく」というものにちょっとでも自信を持てたらいいなって思う。

―グラミーを狙いつつ、世界の音楽シーンにおいてどういう存在になれたらいいなと思いますか。

マナ:なんかさ、グラミーって本当にめちゃくちゃ大きいんだけど、簡単に言えば、賞というだけだから。それも目標なんだけど、それよりも「かわいい」の価値観を変えて、「NEOかわいい」という言葉を伝えて、そのバンドとして上に立つことの方がもっと重要。だから「NEO KAWAII, K?」という曲も入れた。



―賞を獲ることがゴールや目的じゃない、というのはすごく頼もしいです。CHAIがデビューした頃は「かわいい」の価値観がもっと狭かったように思うし、ジェンダーやルッキズムに関する議論の場も増えてきてはいると思うんですけど、みんなの実感としてはどうですか。「かわいい」の価値観が変わっていると感じるか、それともまだまだだと思うか。

マナ:「かわいい」という言葉の幅がちょっとずつ広がったし、生き方の選択みたいなものが認められるようになってきたとは思うけど、まだまだ足りんね。だからこそ言い続ける意味があると思う。

カナ:全然まだ変わってないんじゃないかな。マナが言ったようにちょっとずつ広がってきてはいると思うけど、まだまだ課題はいっぱいあるのかなって思う。そういうことを感じると悲しくもなるし。だからこそ私たちの音楽を届けることで、誰かの人生の一部になって、もっとみんなが生きやすいように生きられたらいいなって思う。そういう意味でも、私たちの音楽がもっと売れれば響く人も増えるんじゃないかなと思ってる。

ユウキ:「ブサイク」「醜い」とか、そういう言葉を人に対して言うことが溢れている世界の中でも、そこからかけ離れて、そんなことは別に気にしない、嫉妬もしない、自分の好きをちゃんと見定める、という生き方はできるはずで。私はそれができていると思ってるから。何も気にせず生きていく選択ができている状態が「かわいい」の反対の言葉だとも思う。周りがどうあったとしても、ちゃんと自分で選べるんだよっていうことも言いたいかな。自分のことは自分で変えられる、むしろ自分でしか変えられなくて、その選択をする勇気があるかどうかだと思うから。だから世界を変えるというよりかは、あなたがあなたの生き方を変えていいんだよ、ということを伝えたいし、CHAIだったらそれを伝えられると思う。自分の生き方を変えるきっかけとか発見をCHAIの音楽から得てほしいなって。ここから先、この新しいアルバムを持ってすれば、海外だって日本だって、そういう人たちを増やせると思ってる。そこに関しては絶対に大丈夫だと思ってる。


Photo by Kana Tarumi

―『CHAI』を聴いて、「NEOかわいい」の伝え方が変わっているなと思ったんですよね。それは、最初は4人が自分の居場所を作りたいとか、自分たちを救いたいという気持ちから「NEOかわいい」と言っていた部分もあったと思うんだけど、きっと今は聴き手を送り出す気持ちとかみんなの居場所を作る想いのほうが強くなっているからなんじゃないかと思ったんです。音も言葉も愛が深くなってる感じがした。

ユウキ:大勢に向けてるから「ポップ」なんだと思う。マニアックというのは、わかる人だけわかればいいってことだったりもするじゃん? そうじゃなくて「ポップ」というのはみんなにわかってほしい、みんなで共有したい、みんなで楽しみたいというものだと思うから。だからちゃんと「人に向けて」ということを、音だったり言葉だったり、いろんなところで意識しているかな。

―それですね。一部の人だけじゃなく全ての人を招き入れて、肯定して、愛を注いでいることが音にも空気にも出ている。それがCHAIポップだ!




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『CHAI』
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