神はサイコロを振らないが向かい合った「心海」、4人が語る夢が叶いまくったアルバム

―「告白」はどうせみんないなくなるけど音楽は残るんだ、ということを歌ってるように聞こえました。

柳田:確かに。インディー時代の「illumination」という曲では、僕らが残す音楽を星に例えていて、今見えてる星はキラキラ輝いているけど、実際にはとっくの昔に消滅してて、その消滅する瞬間の爆発する光がめちゃくちゃ遅れてこちら側に届いてる。音楽っていうのはその曲を作ったミュージシャンが死んでしまった後も残り続けるので、「こんな幸せな職業はないだろう」と思って作った曲なんです。そのスピリットは未だに変わってないですね。「告白」は、生活には孤独や憂鬱といったネガティブなことばかりが付きまとうけど、振り返ってみれば周りにはメンバーやチームやファンのみんながいる。めちゃくちゃ愛されているっていうことを思い出すようにして作りました。前作まではとにかく結果を出すことが言動力だったんですが、ライブがあってこそ曲が成立するし、ファンと直接対峙することで曲が成長していく。この前のRISING SUN ROCK FESTIVALでも、みんながすごく幸せそうな顔をしてて、その顔を見てると、「曲を聞いてくれる人みんなをハッピーにしたい」って思ったんですよね。だから、「Whatʼs a Pop?」の「真っ先に君に聴かせたい」という歌詞もファンのことですし。今の原動力は確実にそこですね。

―「Whatʼs a Pop?」は神サイのポップ論みたいなものが描かれています。ポップでファンタジックなサウンドですが、どんなイメージがあったんでしょう?

柳田:エレクトロって生楽器には出せない魅力があるので、それを神サイの世界観で表現したいなと思いました。音源はドラムは打ち込みですけど、ライブでは生ドラムが加わって、おそらくギターがもっと前に出てきた時に、より神サイらしくなる。僕たちはライブと音源のアレンジの差が激しくて二度楽しめるようなバンドなので、特に「Whatʼs a Pop?」はツアーでどう化けるかが楽しみですね。

―曲作りの探究心が歌われながらも「インクももう限界みたい」と苦しさも描かれています。曲作りは楽しさと苦しさ、どちらが強いんでしょう?

柳田:「苦しいな」って思う割合の方が大きいんですが、そんなことどうでもよくなるぐらい、闇を抜け出した瞬間に何にも代え難い幸せを感じます。それを求めて曲を作り続けてるんだと思います。

―他の楽曲でも悲しさや苦しさは描かれながらも、サウンドはとてもポップなところに神サイの美学を感じました。それは自覚していますか?

桐木:最近、「自分が一番幸福を感じる時っていつだろう?」って考えてみたんですが、おいしいごはんを食べてる時でも女の子と遊んでる時でもなくて、音楽活動で限界地点を超えたところから限界地点を見下ろせた時がときが幸せマックスなんですよね。でもそれは1~2日くらいしか続かなくて、すぐにまた「自分はダメだ」っていう気持ちが訪れる。その繰り返しなので、俺は一生音楽をやらないとダメなんだなと思いました。

黒川亮介(Dr):桐木が言ったように、楽器やってる人には限界地点があって、そこを突破した時の喜びもあるし、そこに向かっていく辛さもあります。限界地点を一回でも超える経験ができると、辛さも耐えられるんだと思うんですよね。だから、目標を決めて、そこに向けて頑張るっていうことを僕は最近はやってます。

吉田:桐木が言う「音楽を一生やるんだろうな」っていう感覚はすごくわかります。僕はモノづくりが好きで、絵を描くことも好きなんです。でも一番はギターが好きという気持ちが大きくて、一番長く付き合っているものでもあります。それと同じように、メンバーみんな表現することが好きで、ずっとやめないんだろうなって今回のアルバムを作ってて思いました。

Rolling Stone Japan 編集部

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