never young beach安部勇磨が語る『ありがとう』の意味、ビートルズからの影響

安部勇磨(never young beach)(Photo by Tetsuya Yamakawa)

never young beachが、前作『STORY』から約4年ぶりとなるニューアルバム『ありがとう』を、2023年6月21日(水)にリリースした。レコーディングには安部勇磨(Vo.Gt)、巽(Ba)、鈴木(Drs)に加えて、ライブサポートでもお馴染みの岡田拓郎(Gt)、下中洋介(Gt)、香田悠真(Key,Pf)らが参加。6人で見つけた愉快で気持ちのいい素直な新しいネバヤンの音楽とグルーヴが収録されている。本作について、フロントマンの安部に話を訊いた。

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─素晴らしいアルバムでした。もしかしたらネバヤン史上最高作が届いたな、という実感もあります。なのに、安部さんは、今、楽器を手にしたくないとの噂を聞きましたが……?


安部勇磨(以下、安部):楽器は大好きなんですけど、いつからだろうな……たぶんネバヤンの4枚目(『STORY』2019年)ぐらいから、僕、あまり楽器弾かなくなってきて。デモ作ったりでは弾きますよ。簡単なの。そういう時は楽しいんです。1人で黙々とやるし、無責任でいいから。でもライブなんかだと責任重大ですから。なまけた自分には耐えられません。すぐ忘れちゃうし弾けない。なので拓郎くんと下中には本当に助けてもらってます。頭があがりません。拓郎くんと下中が弾くフレーズはドラマチックで生きてるんです。あの2人の「ギタリスト」がこのフレーズを弾くとどうなるんだ?みたいなこと考えるとワクワクします。パワーアップしてくれる。

─岡田さんが加わってからバンドの温度感が明らかに変わりましたね。

安部:そうなんです。拓郎くんと下中のギターが大好きなんです。2人がギターを弾くとマジックがかかるんです。生きてるんですよね。2人のファンなんです。聴いてて幸せだからどんどん僕は弾かなくなるんですけど(笑)。この間くるりの岸田(繁)さんに「安部くんギター弾いた方がいいよ」って言われたの今話しながら思い出しました。今は、岡田くんもそうだし、下中くんも香田くんのプレイで歌うのがとにかく楽しくて。自分は自分の得意なこと……僕は歌だったら割と早く思い浮かぶので、そういうことを今はやってようかなと思ってます。

─逆に言えば、安部さんは歌が今は面白く感じている、歌やメロディを形にするのが得意という自覚があるということですか。

安部:そうですね。歌が安心しますね。最近はそこに集中するようにはしてます。歌は結構頭の中だったり、ぼそぼそ口ずさむから、自然というか、楽しいんですよ。歌ってても、もう歌いたくないっていうのはないし。最近拓郎くんから「この曲安部ちゃん歌ってみない?」って言ってデモを送ってきてくれたんです。僕もずっと拓郎くんの曲で歌いたいって話してて。デモ聴いたら曲が最高で。そういうのに歌入れてるとすごい楽しくて。もちろん、さっき話したように曲を作るのも好きなんですけどね。歌うのが好きになると、曲も作りたくなるんで……今回のアルバムは割とそういう気持ちが自然と出て形になったところがありますね。

─新しい仲間がネバヤンに活力を与えていると。

安部:すごい活力をもらってますね。この間スタジオで「ジャズとは?」みたいな話しを皆でやんわりぱやぱやっとしていて、そこから一つのコードでセッションが始まったんです。みんなでああでもないこうでもないとソロを弾いたりして。そしたら悠真くんが「じゃあ、次は一弦だけでやろう」とかってどんどん面白いことをやるんです。みんなもテンションあがっていって。で、「じゃあ、次はアベちゃん、弾いて」とかってこっちに振ってくるんです。僕もなんとか合わせようと頑張って弾くんですけど、全然だめで。それでも「ああ、いいなあ」とかって拓郎くんに褒めてもらえる(笑)。すると、「おおお、楽しい~!」ってなっちゃう。毎回毎回楽しくて。音楽いいなぁってなります。活力に溢れてますね。

─それはネバヤンを結成した時とは違う感触なんですか。

安部:そうですね。全然違いますね。自分もいろいろ変わったんだなって思います。4枚目(『STORY』)を作ったくらいから、コロナもあったし、他にもいろいろ立ち止まって考えることが増えて。好きなものが変わったりとかする中で、どうしたらいいんだろうっていろいろなことがわかんなくなっていたんですよ。そういう中で岡田くんや下中、悠真くんらとつながって、この人達と一緒だったら次の何か新しいことができるかも……って思えてきたんですね。音楽的なヒントやアイデアを何気ないスタジオでの音出しからもらったりしてますし、そこから曲が生まれたりもしています。聴く音楽の趣味も変わりました。ザ・バンドとかデレク・アンド・ドミノスとかエリック・クラプトンとかを聴いて、今ならこういうこともできるな……って思えてきたり。拓郎くん、下中と交流することで、こっちも行っていいんだ、みたいなことに気づいて、オープンになっていったというか。悠真くんもきてくれるし。今までは、そういうのはやっちゃダメかな……みたいに思っていたところがあったんですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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