illiomoteが語るフジロック出演への熱い想い、「破壊」をテーマにした新作EP

―一番開ける感じってライブのときなんじゃないかと思うんですけど、illiomoteを観に来るお客さんは理解者なわけじゃないですか。そこをもっと広げるためには自分も破壊していかないといけない?

MAIYA:そういうことです、本当に。ただ、自分を壊さないといけないと思いつつ、「いやだ、壊したくない!」っていうしんどさもあるんですよ。でもお客さんを増やしたいし、もうちょっと音楽で稼ぎたいとかあるので。「もうバイトなんかしたくない」みたいな。

YOCO:ははははは(笑)。

―そういう葛藤をしながら、ライブを意識して変えようと思ったのが今回のEPなんですね。

YOCO:あとは、今までやってなかったことを破壊してチャレンジしてみてもいいかなって。それによってライブに足を運んでくれた人に、今までilliomoteがやっていたことも新しくやっていることも、「全部いいじゃん」って言って思ってもらえるのが一番良いと思うので。

MAIYA:自分たちが「絶対壊したくない」って思っていても、1回開けてみると、「意外とやって良かった」っていつもなるんです。まだどの曲もライブで披露していないんですけど、自分の中で、曲の良さってライブの中で感じることが多いんですよ。ギターを鳴らして自分が曲と1つになったとき、お客さん、会場が1つになったときに、「うわっ! この曲良い曲だ!」って、今回もそうなりそうな予感がします。


MAIYA

―タイトル曲「I.W.S.P」はギターの単音リフから始まりますけど、ギターから作ったんですか?

MAIYA:いや、YOCOのデモから広げた感じです。このリフ、めっちゃ私の手癖なんですよ(笑)。手癖を使うか使わないか悩んだんですけど、まあいいかって。

YOCO:さっきお話した他の曲とは打って変わった世界観の曲なんですけど、「I.W.S.P」っていうタイトルは、「I.W.G.P.」(『池袋ウエストゲートパーク』)のオマージュです(笑)。私たちも池袋出身なので、そこを押し出していきたいなっていうのもあって、安直なんですけど、“池袋ウエストサイドパーク” で「I.W.S.P」って付けました。あと、池袋には「ISP」“池袋ショッピングパーク”もあるので。そういう色んな意味を込めて遊び心で付けたタイトルです。この曲は、西口公園にいて、ジリジリ暑い夏が来て、噴水で子どもたちが遊んでいてっていう、夏の光景を肌で感じてる気持ち、私たちの近況報告みたいな今にピッタリな曲になったらいいなって思って作りました。「BABY END」と「Hit on!」がちょっと重ためな印象の曲なので、私たちの歌の良さである気怠みたいなものと、2人の性格をこの曲から想像してもらって、「なんか楽しいな」ってライトな感じで聴いてもらえたらなって。

―1曲目のインスト「two sides of the same coin」はどんな意味で付けたタイトルですか。

MAIYA:直訳すると“表裏一体”という意味ですけど、ダジャレですね。「裏表」「illiomote」。はい、「two sides of the same coin」みたいな(笑)。

YOCO:パッションだけでタイトルつけ過ぎですよね、さすがに(笑)。illiomoteって、地名だと西表って書きますけど、私たちのilliomoteには別の漢字があって、「入裏表」ってグッズとかにも入れているんです。それは、入口も裏口もどっちも私たちだよっていう意味で付けているので、そういう意味も込めてます。

―「two sides of the same coin」も「I.W.S.P」も、まさに2人を象徴する曲名になってますよね。ここから新しいilliomoteが始まるっていう風にも捉えられますけど。そこまで重いことでもない?

MAIYA:いやでも、このタイミングで出すのって、新しい自分たちが始まるっていう思いではあるっちゃあります。試行錯誤したり、今まで避けてきたことをやってみたり。

―避けてきたことって?

MAIYA:「ちゃんと作る」(笑)。もっと適当だったんですよ。自分の感覚だけでバーッて作っていて。

YOCO:多くの人に聴いてもらうことって、どういうことなのかって考えて、いろいろ幅広く音楽を聴いて特徴を探ってみたんですよ。そうしたら、歌がギュウギュウに詰まっていたりする楽曲も多かったりして。私たちの場合は、リズムとリフ、隙間みたいな作り方をしていたんです。

MAIYA:そうそう、心地良さを求めてたんだよね。

YOCO:だけどそれだと、BGMで終ってしまうので。一番大事な要素はやっぱり歌の部分だと思うんです。もともと自分の中にあるJ-POP、歌謡曲的な要素をもうちょっと多めに引き出してみたり、これを聴けばJ-POP好きな民はみんなアガるっしょ!みたいなメロディをドーンと出してみたり。何かのオープニング曲に出来ちゃうんじゃないかっていうようなイメージをいつもより多めに盛り込んでみようかなって。

MAIYA:ずっと避けてたよね? 最初の頃は、J-POPっぽさをなくしたいと思ってたから。

―大衆的になりたくない?

MAIYA:それもあったと思います。インディーな感じを崩したくなくて、歌謡曲的なところもあまり入れたくなかったんです。で、やってみたら「イイ感じじゃん!」みたいな感じですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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