吉田豪が選ぶ2022年の年間ベストソング

吉田豪

Rolling Stone Japanでは昨年一昨年3年前4年前に引き続き、プロインタビュアー・吉田豪氏に2022年のベストソングを挙げてもらった。

半年遅れの2022年ベスト紹介です! 毎年正月ぐらいにアップしていたんですが、今回は単行本の作業とかいろんなものが重なった結果、気がついたらもう7月! なので、もともと年間ベストソング10曲を選ぶ企画だったのを前回から勝手にベスト20へと変更したわけなんですが、今年はせっかくだからベスト25まで掲載! 原稿料は据え置きのまま大増量でお届けします!

【プレイリストを聞く】吉田豪が選ぶ2022年の年間ベストソング


1. 尾藤イサオ「あしたのジョーRAP」

これ、正確には2021年11月22日リリースで22年の作品じゃないからギリギリ対象外なんですが、ボクが今年1月末にJ-WAVEの番組でオンエアするまでほとんど誰も存在に気付いてなかった(もちろんボクも前回の選曲時には気付いてなかった)ので、あえて選曲。もはや説明不要な寺山修司作詞による1970年発売の名曲をヒヨリナ (DJ HIYOCO&エムリナ)なる謎のユニットがラップにアレンジ……と聞くと正直よくある安直な企画モノっぽく思えて萎えそうなものなのに、あの特徴的すぎるイントロをループにして、BUDDHA BRANDっぽさも感じる悪そうなラップを、オリジナル版を歌った尾藤イサオ(現在79歳、リリース時点で77歳)本人が見事なぐらいにやりきってるから、もう最高! ビートルズ来日公演の前座をやった面々(内田裕也、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ブルージーンズ、ザ・ドリフターズほか)がどんどん亡くなっていく中で、ここまでちゃんと現役シンガーとしての凄みを感じさせてくれるのは本当にすごいです。しかも、尾藤さん本人がラップをやりたいと言って実現した企画らしいのもすごすぎる!




2. HELLO KITTY「Hello! 生まれた意味がきっとある」

ハローキティとハロー!プロジェクトがハローつながりでコラボした曲。ひなフェスでOCHA NORMAとコラボしたりでハロヲタ内では知られているけど、配信オンリーなので外には全然届いていないのがもったいない! ザックリ言うと、林原めぐみらしき人が名曲「ピョコピョコ ウルトラ」っぽさもあるつんく♂楽曲を大久保薫アレンジで歌ってる感じだから、そんなのいいに決まってる!




3. 花譜&長谷川白紙「蕾に雷」

去年は大森靖子とのコラボ曲「イマジナリーフレンド」を1位に選んだバーチャル・シンガー花譜ですが、長谷川白紙コラボのこちらも強烈! 武道館でワンマンLIVEをやれるぐらいに大メジャーな人がここまで攻めたことをできてるのが素晴らしいです。




4. 矢舟テツロートリオと仮谷せいら「ジングルガール上位時代 feat.さとうらら」

グループが解散したりで名曲が歌い継がれなくなる問題についてはずっと考えていて、ボクが初期RYUTistにカバー曲をリクエストするときの選曲テーマはそこにあったし(故人や歌手業を辞めた人、解散したアイドルやバンドの曲を選んでいた)、そういうカバーを意識的にやっていたアイドルネッサンスの妹分AISやハコイリムスメも解散して名曲を歌い継ぐコンセプトのグループがいなくなったいま、こういうやり方があったのか、という。アレンジが全然違うから途中まで気付かずに聴いてたけど、まさかの2011年のTomato n' Pine名曲カバー! この辺りのアイドルポップがこうやって普通にカバーされる時代になっていただきたいものです。





5. 後藤輝基「Carnival」

フットボールアワー後藤さんのソロアルバム『マカロワ』は、ブランキーと長渕剛が好きな彼の音楽性を完全に無視した、プロデューサー藤井隆ならではの選曲によるカバー集。ボクが2020年のベストソングに選んだ本田美奈子「悲しみSWING」のカバーも収録されているんですが、なんといっても宝生舞「Carnival」がカバーされていることにビックリ! ボクがCHARAやbiceきっかけで渡辺善太郎仕事を漁ったことから辿り着いた宝生舞のシングル曲(音楽活動は8センチCDを2枚リリースしただけ)を、スカート澤部渡がアレンジ! もう完璧すぎ! もっと言うと、タワレコ予約特典の『マカロワ』藤井隆仮歌CDに入っていた藤井隆バージョンも絶品でした!


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