5月13日(土)・14日(日)の2日間、「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL 2023」(以下、ラブシュプ)が埼玉県・秩父ミューズパークで開催される。SOIL&"PIMP"SESSIONSはレジデンシャルバンドに任命され、1日目はAI、bird、家入レオを迎えたステージ、2日目はSKY-HI & BMSG POSSEとのスペシャルコラボレーションを披露する。後者にはSKY-HI率いるBMSGから、Aile The Shota、MANATOとSOTA(BE:FIRST)から成るShowMinorSavageと、次世代シンガーのREIKOが参加し、洋楽ナンバー、オリジナルナンバー、インプロビゼーションを織り交ぜた特別なステージが繰り広げられるという。
そこで今回は、共に2年連続出演となるSKY-HIとSOIL・社長の対談インタビューを実施。音楽シーンを牽引する2人の「社長」に、ラブシュプの魅力とBMSG POSSE出演の意義を語ってもらった。
Photo by Tamami Yanase —昨年のラブシュプで個人的に印象深いのは、2日目の最後にロバート・グラスパーが演奏しているとき、SKY-HIさんがノリノリで踊ってましたよね。本当に楽しそうでした。SKY-HI:グラスパーを観るのは個人的に2回目で、ライブがメチャクチャ良かったのは当然なんですけど、それ以上にラブシュプ特有の「抜けの良さ」が気持ちよくなっちゃって。その時はビールを1杯か2杯くらいしか飲んでなかったと思うけど、途中で芝生に寝っ転がってみたりとか(笑)、とにかく開放感がすごかった。素晴らしいライブを観終わると疲れてたりするものですけど、あのときはリラックスしながら観ていたからなのか、癒やされながら音楽を楽しめる状況だったような記憶があります。
—その数時間前、SOILの演奏をグラスパーがステージ袖から見守るという一幕もありました。「御大がそこにいるだけで背筋が伸びる」と社長もMCで言及していましたが、あのときの心境を振り返っていただけますか。社長:(当日のタイムテーブルが)我々のステージが終わったあと、程なくしてご本人たちのショーも始まる流れだったというのに、結構長いこと観てくれていて。自分たちを認識して興味を持ってくれたのもそうですし、丈青が良いフレーズを弾いたりすると、「イェイ!」みたいなことも言ったりしてくれて(笑)。純粋に嬉しかったですね。
昨年のラブシュプにて、ロバート・グラスパー、SOIL、SKY-HI、Awich、長塚健斗(WONK)の集合写真—当日のステージも見応えたっぷりでしたが、実際に出演してみていかがでしたか?社長:ラブシュプを日本で立ち上げようとなってから、2020年、2021年と2回も(コロナ禍で)開催できなくなってしまって。その間もずっと(フェス運営と)コミュニケーションを取っていたので、まずはあの場で音を出せたことが嬉しかったですね。本家の「Love Supreme Jazz Festival」が2013年にロンドンで始まった時から、「この看板のもとで演奏したい」とずっと思っていたので、非常に感慨深いものがありました。
昨年はまだ声出しができないなど制限付きながら、あそこまでお客さんが集まり、楽しんでくださっている姿を見ることができたのも、音楽家として力になりましたね。そんなことを思いながらステージに立っていた記憶があります。
昨年のラブシュプにて、SOIL&"PIMP"SESSIONSとSKY-HIの共演—SOILのステージで、「シティオブキメラ feat. SKY-HI」が初披露されたのも大きなトピックでした。改めて、共演の経緯を聞かせてください。社長:まずは、このラブシュプがあったからこその縁なんですよ。だから、スタートは3年前になるのかな。もともとは2020年の初開催に向けて、その年の初頭くらいからコラボの準備を始めたはずなので。
SKY-HI:うんうん。
社長:最初はオンステージでコラボをさせていただくことになり、「共演するのであれば曲を作ろう」となって、スタジオで意見を出し合いながらセッションしていたら、「開催できなくなりました」と連絡がきたみたいな、そんなスタートだった気がします。
—3年越しの実現となると、たしかに感慨深いものがあったでしょうね。SKY-HI:(中止を)2回挟んでますからね、1回のみならず。
社長:だから、最初にスタジオでセッションしたやつも、いずれ形にできたらと思いつつ、時間が経つとモードも変わるところもあって。それは一回置いておいて、新たに作り直したものが「シティオブキメラ feat. SKY-HI」として形になったという。で、それをラブシュプで初披露。めっちゃ良くないですか、この現場で全部起こっていく感じ(笑)。
“シティオブキメラ feat. SKY-HI” from Love Supreme Jazz Festival ティザー映像—お互いの個性が発揮されているという意味でも、理想的なコラボ曲ですよね。どういうやり取りをしながら曲作りを進めていったのでしょう?SKY-HI:すごくしっかりとした、長文のメールを社長からいただきまして。
社長:そんなの送ったっけ?(笑)
SKY-HI:ありがたかったです。あとは基本的に、セッションしながら作っていく感じだったと思いますね。
社長:我々とSKY-HIくんが一緒にやるとなったときに、いろんな選択肢があったと思うんですよ。普通だったらこう、ドーンといくっていうか……。
SKY-HI:派手なやつを。
社長:そういう選択肢もあったんだけど……「僕らにしかできないことをやりたい」という欲が出てきてしまいまして(笑)。日高社長のセクシーな部分を押し出すために、ちょっと低めな感じで歌ってもらうっていうアイディアと、あとは当時も今もそうですけど、UKのプロダクションが世界を席巻していたので、そこへの意識もあって。ビートとグルーヴは現在進行形なスタイルでやりたかった。そういったことを考えてご提案したのがあの曲だったんですよね。