マインドコントロールでインフルエンサーを恐怖支配、米カルト集団の手口

オーナーのロバート・シン氏は教会への献身と献金、自分への服従を命じていた(NELLY KAUFMANN/EYEEM/GETTY IMAGES)

TikTokダンサーを多数抱える米マネージメント会社「7M Films」社の実態がカルト集団であると暴いたローリングストーン誌の記事から1年、同社に所属していたダンサー3人が、オーナー兼牧師ロバート・シン氏を提訴した。

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オーブリー・フィッシャー・グリーンさん、カイリー・ダグラスさん、「Konkrete」ことケヴィン・デイヴィスさんは4人の原告に加わり、7M社のオーナーでサンタアナを拠点するシェキナ教会の牧師ロバート・シン氏が「カルト集団」を運営し、信者を利用していたとして訴えている。訴状にはシン氏、7M社、シェキナ教会の他、17の団体と個人が被告に挙がっている。

3月21日付で受理された反訴状には、「シェキナは宗教団体を装ったカルト集団」とある。「ロバート被告は自らを『神の使い』と呼び、自分への服従や教会の存在なくしては一生呪われるだろうとシェキナ教会の信者に説いていた。ロバート被告はシェキナ信者の身体的・経済的完全支配を要求した」。

ローリングストーン誌は今回の提訴についてシン氏の弁護士にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。7M社は2022年ローリングストーン誌に対し、ダンサーへの不法威圧および搾取疑惑を否認した。

今回の提訴は現在公判中の訴訟の一環で、そもそもの始まりは2022年10月にシン氏が恐喝と名誉毀損で元信者を訴えたのがきっかけだ(この信者は容疑を否認し、原告としてシン氏を反訴している)。華やかなTikTokダンス動画で数百万もの閲覧回数を集めている同社が「カルト」らしき運営をしているとの疑惑が浮上して1年、同社と幹部がダンサーから訴えられたのは今回が初めてだ。原告の7Mダンサーは、シン氏が牧師を務めるサンタアナのシェキナ教会の元信者でもあった(先の裁判に対する反訴という形で申し立てられた今回の訴えは、先ごろ3月17日に原告第一訴答の証拠として提出され、21日に担当判事より承認された)。

反訴状によると、シン氏は教会信者の生活を制限したり、多額の献金を要求したりしていた。「代理者」を立てて――「指導役」や「指導補佐」と呼ばれていた――信者を統制していたとも記載されている。これら代理者は「被告の代わりに信者から献金を集め、信者の銀行口座から送金し、信者の住居や日中の過ごし方まで指示していた」。シン氏は信者の健康管理にも干渉し、シェキナ教会のメンバーが勤務する新型コロナワクチンの診療所に信者を行かせていたが、そこでは「原告にワクチンを打つふりをして、実は腕の上にワクチンを射出していただけだった」という。

シン氏は信者にコロナ給付金を申請させ、最終的に10万ドルを集めたが、訴状によれば信者の代わりにシン氏が経営する企業が受け取ったという。反訴状には、「ロバート・シン被告はシェキナ信者から集めた献金で豪勢な暮らしをしていた」「ロバート被告の富の大半は、シェキナ信者の無償労働、または過剰な献金の上に成り立っていた」と記載されている。

Akiko Kato

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