TAKUROが語る、コロナ禍で生まれたGLAY16枚目のアルバム『FREEDOM ONLY』



田家:2021年10月に出たアルバム『FREEDOM ONLY』11曲目「祝祭」。「FREEDOM ONLY」って歌詞が出てきます。

TAKURO:そうですね。これはアルバムの中でクライマックスというか。自分の心の奥に踏み組み込んだ曲で、すごく気に入ってます。

田家:これの入り口は何だったんですか。

TAKURO:すごく不思議な話ですけど、この後にまた身近な戦争という意味ではウクライナへの軍事侵攻があって、民主主義が改めて問われるようなるちょっと前に『NO DEMOCRACY』が出たりして不思議なリンクを感じるんですけど、ある意味、人間の愚かさに失望もしていたし、でも心のどこかで希望を見いだしてもいて。人に期待している自分もいて。どうして人は最後の最後に間違えちゃうかなって。自分もそうですよ。最後の最後にくだした決断がそれまで全部ひっくり返しちゃう間違った判断だってこともあるんですけど、自戒の意味を込めて曲になりました。

田家:例えば世界のどこかにこういう出来事があってみたいなニュースが入り口になったりしてたんですか。香港のデモがあったりとか。

TAKURO:強力なイメージが頭の中にあって。今もそうですけどウクライナの街が破壊されて、憎しみを憎しみで返すという選択をする人もいるだろうけど、そうでなく自分が大人になったときにはこんな愚かなことをしないぞって心に決める少年少女がいっぱいいるだろうなって。そういう希望を託しての楽曲ですね。

田家:『FREEDOM ONLY』という言葉は最初にあったんですか? それとも書いているうちに出てきた?

TAKURO:カーペンターズの「青春の輝き」の中に、「自由というものは、あなたがさよならを言う手助けにしかならないよ」があって、自由を手に入れたら、そっからは責任もついてくるし、決断もしなければいけないし、そこには出会いと別れが繰り返される。20代30代の頃に書いてきた自由、それこそ尾崎豊が歌ってきた自由とはまた違う解釈を40代に入ってしだした。自分が当たり前だと思っていたものをもう1回再検証するような作業が、大人になればなるほど繰り返されていきますね。

田家:「全ての兵士が武器を置くとき」っていうのが、果たして来るんだろうかって思いながらこの曲を聞くと違った今の歌に聞こえますもんね。間違えないで欲しいなと思いながら2023年が始まりましたが、アルバム『FREEDOM ONLY』はこういう曲で終わっておりました。これが先週も今週も先々週も話をしてきたことですね。原点がここにあったりするんではないかということでお聞きいただきます、「桜めぐり」。

Rolling Stone Japan 編集部

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