TAKUROが語る、コロナ禍で生まれたGLAY16枚目のアルバム『FREEDOM ONLY』



田家:さっきの「BAD APPLE」とこの「Holy Knight」に、コロナ禍のある種の不条理感みたいなものがあるような気がしましたけどね。

TAKURO:この曲と「BAD APPLE」である種の音響としてのGLAY、音の定位とか登場する楽器たちが際立っている。この曲に関しては割と舞台を書いたような気持ちですね。僕は舞台が好きで、何だったら音楽のコンサートよりも芝居を観に行くことが多いんです。シェイクスピアがあったり、様々な国の様々な時代の舞台がある中で、イメージを膨らませていって書くと歌詞もわりと口上っていうのかな。愛だ恋だとかじゃない歌詞になりますね。

田家:そうやって思い浮かべた具体的な情景ってのがあったんですか?

TAKURO:ありますね。どの国もあるんですけど、まるで安いカラオケの映像のような、そういうのが頭の中にあって。それを音にしていくことが多いんですけど、この曲はさっき言ったような、いわゆる音響にこだわるGLAYとしての作品になっていますね。

田家:これはロスに移ったり暮らしたりしてることとは関係ありそうですか?

TAKURO:いや、そういう意味で言うと「Satellite of love」って曲があるんですけど、それと同時期に作ってて。ツアー先で作ってたんですよ。ちょうど押井守監督と組んでアニメーションを作ることでいろいろ曲作りをHISASHIとしてたんですね。その時に長岡(新潟県長岡市)でこの曲のデモを作っていて。押井守監督のやつだから、仮タイトルが「長岡守」だったんです。

田家:あははは。

TAKURO:「長岡守」としてしばらくいじって。先ほど言ったようにコロナになり、今出すチャンスのような気がしたので、改めてこれを引っ張り出して。YOW-ROWくんというHISASHIがやりたかったクリエイターの人たちと組んで作り上げました。

田家:この曲の前に8曲目、スペイン語の「Tiny Soldier」って曲があって、あれとは何の繋がりもないんですね。

TAKURO:繋がりはないです。むしろ「Tiny Soldier」の方がロスのいわゆるラジオでかかる曲、あと子供たちが流す曲ですね。GLAYが今まで出してこなかった重低音だけで十分に間が持つっていうか。もう顔の濃い俳優のような、絵いっぱいに顔が広がれば10秒何も言わなくても持つみたいな。イメージ的な話ですけど、「Tiny Soldier」に関しては完全にロスで聞いた音楽体験が色濃く出てますね。

田家:スペイン語というのも。

TAKURO:やっぱ向こうはテレビをつけると、英語かスペイン語かに変えられるぐらいの文化なので。こういう言葉の響きも面白いなと。

Rolling Stone Japan 編集部

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