TAKUROが語る、コロナ禍で生まれたGLAY16枚目のアルバム『FREEDOM ONLY』



田家:平成21年10月発売、GLAYのアルバム『FREEDOM ONLY』の2曲目「Hypersonic」。これは思いがけなかったですね。

TAKURO:思いがけないのは歌詞ですよね?

田家:はい。これは最初からこういう詞だったんですか?

TAKURO:そうですね。デモの段階で仮歌詞を乗せるんですけど、ある種バンドとしての余裕みたいなものもそうだし、GLAYしかできない、こういう曲が少なくなったなって。みんな真面目で破綻がないなって。誰にもう共感されないような歌詞を堂々と歌う人、出てこないかなとずっと思って。それこそ「うっせぇわ」とか聞いたときに、おお!すげえ歌詞だな、でっかい十字架背負うね、いいぞって。

田家:なるほどね。

TAKURO:GLAYを結成したときからずっとある種、詞の部分においてはこういった十字架を背負う曲をやるべきだと思っていて。当たり障りない曲はやりたくない。いろんな意味でね。誰かを傷つけるかもしれないという覚悟でもって、自分も同じだけ傷ついて初めて作品と言えるんじゃないかとはずっと思っています。誰も傷つけないって、何も言ってないみたいなところだし、人が一歩踏み出せば足の裏にはいろんな小動物とか昆虫とかいるわけでしょって。デビュー当時にこの曲を出したらまだ違うと思うんだけど、2021年にGLAYが出したとき、圧倒的好意で受け取れられるだろうとわかっていましたね。

田家:みんな喜んでくれるだろうと。

TAKURO:喜んで楽しんでくれるだろうなって。ただ、TERUのキャラクターだったり、バンドの関係性が30年近くかけて浸透している上でのジョークってとっても難しくて。その国の背景とか、その人の普段の立ち振る舞いによってジョークにもなりうるし、ただの悪口にもなったり、ただの冷やかしにもなったりなんだけれども、俺はやっぱり曲とバンドはある意味一心同体であってほしいなと思うし、曲だけが売れても駄目だし、バンドだけが有名で曲が知られないのは駄目だし。そういうような思いでやっているので、こういった実験性のあることはこれからもやっていきたいですよね。

田家:この詞を見たときにTERUさんは何ておっしゃったんですか?

TAKURO:何にも言わない。ああ懐かしいねって。デモ自体は10年15年ぐらい前にあったので、サビで歌われてる小橋の習性みたいなものは、そのまま。それを汗かきながらシャウトするっていう、すごいメンタルだなと思ったけど。自分の名字をね。嫌がらないし。

田家:GLAYのボーカリストに徹しているということでもある。

TAKURO:まず他のバンドだったら嫌だよこんなのって思うだろうし、恥ずかしいし、くだらないよって言われるかもしれないし。くだらないことをでっかい音でやるのがいいんじゃないっていう。その気持ちはメンバーもわかってくれたのか、特に反対もされず。

田家:アルバム4曲目の「FRIED GREEN TOMATOES」も20年前の曲だったんでしょ。

TAKURO:そうですね。でも、GLAYにおいて、いつできたかってことは、あまり重要ではないと思います。デビュー当時から5年前の曲、3年前の曲、平気で入れていて。むしろその曲が出るタイミングの方を重視していたりするかな。

田家:なるほどね。膨大にあるわけですもんね。

TAKURO:膨大にある中で、いまメンバーが楽しめるもの、メンバーが思いっきりやれるもの、GLAYとしてのメッセージがちゃんと伝わるものというチョイスの仕方をするので。いつできたってことは僕らは問題にしないですね。

田家:コロナという世の中がどうだったのかと見える曲がアルバムの3曲目に入っていました。「Winter Moon Winter Stars」。

Rolling Stone Japan 編集部

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