マイケル・マクドナルドが語る、ドゥービー・ブラザーズ来日と知られざる音楽遍歴

マイケル・マクドナルド(Photo by Frazer Harrison/Getty Images for iHeartMedia)

 
メンバーにマイケル・マクドナルドが復帰、結成50周年記念ツアーを続けてきたドゥービー・ブラザーズが、いよいよ4月15日〜27日にかけて日本に上陸する。1971年のデビューから70年代半ばまでの中心人物だったトム・ジョンストンと、二代目フロントマンして最初の解散(1982年)までバンドを支えたマイケル・マクドナルド、ふたりの“主役”が揃って日本を回るのは今回が初めて。それぞれの時代の名曲をありったけ詰め込んだ超強力なセットリストが何よりの売りだ。

トム・ジョンストン在籍期には、ドライブ感溢れるロックンロールに、R&Bのリズム、フォーク・ロックのハーモニーを掛け合わせた爽快なサウンドで「Listen To The Music」「Long Train Runnin’」「China Grove」などヒット曲を連発。一方、スティーリー・ダンで共にプレイしていたジェフ・バクスターの推薦で抜擢されたマイケル・マクドナルドは、R&Bやゴスペルの影響が色濃いキーボード奏者/シンガーで、トム・ジョンストンのカラーとは異なる根っからのソウルマンであった。彼の加入によってバンドの音楽性が変わるのは当然で、次第にシンセサイザーの出番も増え、初期とは別物の洗練されたサウンドへと急速に進化を遂げていった。

ドゥービーズ解散後、ソロ歌手として確固たるキャリアを築いてきたマイケル・マクドナルドは、バンドの再結成には参加せず、時折ゲスト的に協力する立場をとってきた。ここにきて復帰することに決めたのは、2020年にドゥービーズがロックの殿堂入りを果たしたことも流れとして大きそうだ。ツアーの状況から、過去の知られざるエピソードまで、マイケルが珍しく饒舌に語ってくれた最新インタビューをお届けしよう。



―家族想いでツアーを好かないイメージがあるあなたが、こうしてドゥービー・ブラザーズとツアーに出ていることは嬉しい驚きです。どのような心境の変化から参加することに決めたのでしょう。50周年ツアーという機会がいいタイミングだと感じたのでしょうか?

マイケル:ああ、そういうことさ。それに日本に行けるという特別な楽しみもあった。ドゥービーズは過去に何度も日本ツアーを行なっているからね。



―コロナ禍で日程に影響が出たこともあって、かなり長いツアーになりましたね。

マイケル:ああ、コロナの影響はあったものの、もう2年近くになるが、とても楽しいよ。自転車と同じで、彼らとは久しぶりに会ってもすぐに昔の感覚を取り戻せる。これまでも折々、さまざまな機会にバンドに参加してやってきたし、友人としてはずっと連絡を取り合ってきた。だから連絡が途絶えたことはなかったんだが、こうやってバンドの一員として、彼らの数ある曲を演奏するのは久しぶりだ。彼らとは再会して一緒にプレイするたびに、僕がいなくなった後に曲が遂げた進化に驚かされてきた。まるで酔っぱらいがステージの上で「この曲はどういう曲だったんだっけな?」と訳がわからずにウロウロしてるみたいな気にさせられてたんだ。それくらいアレンジが新しくなっている。でも今回はバンドとリハーサルにも時間をかけたので、今のバンドで演奏される曲をちゃんと把握して取り組めているよ。

―実際に演奏してみて、新鮮な気分でプレイできたのはどの曲でしたか?

マイケル:在籍当時に好きだった曲は、今も変わらずお気に入りだ。「Long Train Runnin’」はその一つだが、これまでの数十年で随分とアレンジも変わり、昔よりも長くなった。やってて前以上に楽しいよ。数年前にナッシュヴィルで見た時、新しいアレンジに感心したのを覚えている。だからそのアレンジでやれるのは嬉しいね。「Black Water」も昔から好きな1曲だ。あと、僕が書いた曲をバンドが演奏するのを聴くのはいつも特別な気持ちにさせられる。何年にもわたって、自分自身のバンドでも演奏していても、ドゥービーのやり方で演奏されるのが未だに好きなんだ。アレンジ、そして曲へのアプローチという意味でもね。


Translated by Kyoko Maruyama

 
 
 
 

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