つばきファクトリーが語る、メンバー一人ひとりが輝ける場所だからできること

「実感」の根拠

―なるほど。新メンバーが加入してからグイグイと勢いに乗っている感じがするんですけど、実感ってありますか。

河西&豫風 実感……。

―まあ、お二人は入ってきたほうなのでわからないかもしれないですけど、岸本さん的にはどうですか?

岸本 ハロー!プロジェクトが全体で集まるときとかに、 「やっと先輩グループと並べるようになってきたかな」っていう実感はあって。もちろん、気持ち的にはずっと「負けてない」と思ってやってきたんですけど、「先輩がいるからこのライブを一緒にやらせてもらえてる」って感じることが多くて。「先輩あってこそ」みたいな。だから、これまでは一歩引いた感じでハローの活動をやってきていたんですよ。

―そうだったんですね。

岸本 でも 今、アンジェルムとツーマンをやらせてもらってるんですけど、そういうときにやっと胸を張って「うちら、つばきファクトリーです!」って堂々とステージに立てるようになりました。それは4人が入ってきてからだと感じます。

―なるほど。

岸本 あと、前まではメンバー全員に対してライバル意識があって、レコーディングが終わって曲ができあがったのを聴いたときに「 あー、今回はこの子がうまくいったんだ……!」みたいに思ってたんですけど、今は12人でひとつの作品をつくるっていう仲間意識も個人的には大きくなってきてると思います。レコーディングは歌割が決まっていない状態でするんですけど、メンバーは12人に増えたのに、適材適所で全員が活きてるなって最近は思いますね。

―もしかしたら、岸本さんも各メンバーの個性に対する理解が深まったのかもしれないですね。

岸本 そうかもしれないですね。岸本は歌が大好きで、数年前までは「なるべく多く歌いたい」って思ってたんですよ。できることなら落ちサビもAメロも大サビも全部かっさらいたいぐらいの気持ち。でも、それじゃあつばきファクトリーの作品としていいものはできないし、自分に関しては岸本らしいファンキーな場面で使ってほしいし、かわいい場面ではかわいいボイスを持ってる谷本安美ちゃん、みたいに周りの子の役割もしっかり理解できるようになったのも大きいかもしれないです。

―今の話を受けて豫風さんはどう感じますか。

豫風 岸本さんは、歌割を決めたりするときに私のことを推薦してくれることがあるんですよ。 それが自分的にはすっごい嬉しくて。自分でも「これ、いけるのかな……?」って自信が持てないパートでも、岸本さんが「いけるよ!」って信じてくれてるから自分も「いけるでしょう!」って気持ちになれます。

―河西さんはどうですか。

河西 メンバー一人ひとりが輝くべき場所で輝いてるみたいなことを岸本さんは言っていましたけど、 まさにその通りだなと思うし、今までつばきファクトリーの先輩方はずっと同じメンバーで活動をされてきたけど、私たち4人が入ったことによって新しい風が吹かせられたらいいなって思います。

―4人が加入したことで、ストレートに戦力が増した感じがします。

岸本 しかも4人分増しただけじゃなくて、もとからいた8人も4人のおかげで強くなっているという感じですね。元々持っていたけど使えてなかった力も発揮され始めた子もいたりして。

―それは新メンバーが入ってきて焦るというよりも、もっとポジティブな刺激になっていると。

岸本 4人とも歌が上手すぎて、最初は「あ、うちらの居場所なくなるかも……」みたいな不安もあったと思うんですけど、「だから負けないぞ」というよりは、「12人で頑張っていこう」という気持ちが大きくなったと思います。

―昨年は秋ツアー「つばきファクトリー CONCERT TOUR ~Fomalhaut~」が開催されました。このツアーを通じて得たものはなんですか。

河西 「Fomalhaut」というタイトルには「メンバー12人が1番になりたいものを 決めて、それに向かってツアーを頑張っていく」という意味を込めていて、実際、1人ひとりがそれぞれの目標に向かって活動している姿がツアーを通じてすごく伝わってきたので、私も「みんなが頑張ってるから自分ももっともっと頑張らなきゃ」という気持ちになりました。あと、これまでも12人で単独ツアーはやってきていたんですけど、私は今回のツアーが一番これまでにやってきたことを詰め込めたと思っていて、私たち4人も先輩方も目標に向かって頑張ったからこそそれぞれの目標を叶えられた気がしますし、絆が深まったんじゃないかなって思いました。つばきファクトリーが持っている力をすべて見ていただけたのがこのツアーだったんじゃないかなって思います。

―僕はツアーファイナルの刈谷市総合文化センター公演を配信で拝見したんですけど、岸本さんって顔で歌うし、顔で踊りますよね。

岸本 そうですねえ。私が普段見てるアーティストにそういう方が多いからなのかもしれない。玉置浩二さんとか、中島卓偉さんもそうですし、 ジャニス・ジョプリンもそうだし。私は生き様を晒したい、みたいなところがあって。あと、アイドルでいうと私はWACKが好きだったりして。

―あ、そうなんですね。

岸本 ほかのアイドルには疎いんですけど、WACKのアイドルみたいにそのままの姿で立つみたいなのがカッコいいと思って音楽を聴いてるから、自分も自然とそうなってるのかもしれない。

―岸本さんの表情を見ることでその楽曲の情報量が増えるんですよね。曲がより伝わりやすくなるというか。

岸本 うるさいって言われることもあるんで適度にやんなきゃなとは思ってるんですけど。抑えるとこは抑えて。


岸本ゆめの(Photo by Rika Tomomatsu)

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE