GENERATIONS中務裕太とShiori Murayamaが語る、ダンスパフォーマンスとエンタテインメントの探求

左から、GENERATIONS中務裕太、Shiori Murayama(Photo by Mitsuru Nishimura)

GENRATIONSが昨年10周年を迎え、3月8日に7thアルバム『X』をリリースする。2022年、彼らのステージの完成度が一段上がったと実感させたのが、東京ドームで幕を開けたツアー「GENERATIONS LIVE TOUR 2022 "WONDER SQUARE”」だった。

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パフォーマーの中務裕太が「お客さんとのキャッチボールができるようになった」「これまでのライブでは、僕らとサポートダンサーがそれぞれ独立した感じだったんですけど、今はよりみんなで一緒に作ってる感じがある」と語るように、ツアー中はまだ声出し禁止だったにもかかわらず、オーディエンスとステージで作り上げた特別な一体感は、GENERATIONSの力とエンタテインメントへのこだわりが生んだものと言えるだろう。

このツアーでサポートダンサーを務めたShiori Murayamaは、米ロサンゼルスでの活動経験のある日本人ダンサーだ。現地のエージェントと契約を交わし、2020年にはH.E.R.とミッシー・エリオットのスーパーボウルのコマーシャルでリードダンサーを務めたり、J. バルヴィン「ROSA」のミュージックビデオに出演したり、多方面で活躍。コロナ禍の影響で帰国中、GENERATIONSのツアーに参加した。

中務とMurayamaはEXPGの生徒だったという共通点があり、LDHのカルチャーに触れて育っている。今回Rolling Stone Japanでは、アーティストとサポートダンサーという立場から見たGENERATIONSのライブの裏側、エンタテインメントにおけるダンスパフォーマンスの可能性をテーマに、二人にインタビューを実施した。

—昨年の「GENERATIONS LIVE TOUR 2022 "WONDER SQUARE" THE FINAL ~Christmas Special~」を拝見しました。ライブ全体の見せ方やダンスパフォーマンスではどのような新しい試みがありましたか?

中務:ざっくり言うと、僕らのライブって本編でカッコいいところを見せて、アンコールでふざけるみたいな構成なんです。それがベースにありつつ、メンバーみんな海外アーティストのライブが好きなので、そういう演出やステージングにしたいという認識は今回共通してありました。あと、しーちゃん(Murayama)もそうですけど、僕のなかではサポートダンサーも主役の一人だと思ってるので、そのへんも意識してました



—ライブに関するアイデアは皆で出し合う感じですか?

中務:いつもメンバー全員で提案しあって、いいねってなったものを採用している感じですね。

—サポートダンサーが同じ演者として絡んでいくような演出も、メンバーの皆さんで?

中務:そういうのはすごく意識してます。その分みんなに求めることは多くなって大変だったとは思うんですけど、サポートも主役の一員として見せることを考えてステージングを作りましたね。

—Murayamaさんはどうですか?

Murayama:他のライブとは違って、曲間のストーリーをダンサーだけのパフォーマンスで繋いで見せたところもあったので、出番も多かったです。ストーリーがしっかりしているので、それに沿ってダンスを表現するのは難しいところもあったんですけど、やりがいはありました。

—街の雑踏を行き交う人々だったり、恋人だったり、いろんな役があったと思うんですけど、事前に役を割り振られるんですか?

Murayama:そうですね。Prologueでは、帽子を被って街の中をスタスタ歩くビジネスウーマンみたいな役を演じたり、他のダンサーは新聞を読んでいたり、スマホを持っていたり、演出の人から指示された役柄を表現していました。

—そういった演出やダンスパフォーマンスも含めて2時間ぐらいのセットを作るのに、完成までどれぐらいの時間がかかるんですか?

中務:基本は2カ月前ぐらいから、セットリストを考えて組み立てていきます。公演を重ねていくごとにクオリティも上がっていくので、ツアーの後半はだいぶ仕上がった状態になりますね。ただ、ライブはその日限りのものなので、間違えてもその日出たものがすべてだとみんな思っていて。同じタイトルのライブでも一つひとつの公演が全部違って見えるようには意識してます。

—その2カ月間は、週に何日かリハーサルをして。

中務:そうです。初日の前日が一番大変ですね。

Murayama:詰めてましたね。

中務:ゲネプロで一気に変わることもあるんです。HIROさんにも見ていただいて、ここはやっぱこうした方がいいんじゃないって意見もあったり、それを反映させたり、曲を減らしたり増やしたりすることもあるので、やっぱり前日が一番大変ですね。

—ゲネプロの時はバンドの方もいるんですか?

中務:います。ゲネプロの時に変更があったら、バンドの方も徹夜でやってくれる。みんな死ぬ気で、魂削ってライブをつくってますね。ゲネプロが終わったら打ち合わせや反省会があって、そのあとホテルに戻って映像をチェックしたりするので、寝るのが朝方になることもあります。初日は満身創痍です(笑)。身体が慣れてくるのは3〜4公演目くらいからですね。でもそれはそれで、その日にしか見られない僕らの姿なので、すごくいいものがあると思ってます。

—Murayamaさんは今回、最初からツアーに参加していたんですか?

Murayama:はい、東京ドームから参加してました。

—ダンサーの方も、そういう緊張はありますか?

Murayama:ありますね。初日は東京ドームで360度のステージで、会場のセットの形とかも少し違ったので、自分が台下でどこにいるのか迷子になったり(笑)。それで焦ることもありました。裕太さんの言う通り、アリーナ公演の次くらいから落ち着きが出てきたかなって感じです。セットリストも身体で覚えてくる頃なので、落ち着いてできました。

—今回、演出で一番力を入れたのはどの辺りですか?

中務:メンバーがいない幕間は、気合いを入れて作ってもらいました。僕らも演出の方にいろいろ注文して。ステージにメンバーがいないと、お客さんには休憩だと思われがちなんですけど、GENERATIONSのライブは僕らがいない場面も大事なライブの一部なんです。ライブは生き物なので、しっかりダンサーのみんなに表現してもらえるようにたくさん注文しました。

Murayama:演出を途切らせないようにする重要な役目ですし、そうすることで次の演出に向けて、お客さんにストーリーをより理解してもらえる。力を入れて頑張りましたね。

—「ヒラヒラ」ではストンプを披露するパートもありますが、仕上げるまで大変でしたか?

中務:ボーカルしかイヤモニをつけてなくて、僕らもサポートのみんなもつけていなかったので、目には見えない、ステージに立ってる僕らにしか感じない空気で合わせてる感じがありました。ずれる時もありますし、けっこう大変でしたね。阿吽の呼吸というか、お互いを信じ合ってやっていました。

Murayama:ビートも音も全くなくなって、いきなり自分たちで放つ音だけになったので。なおかつ女性ダンサーだけ反対側にいたので、注意して後ろの音を聴いて、タイミングを合わせてやりました。

—サポートダンサーもライブの主役の一員であるという考え方は、いわゆるLDHイズムの影響もあるんですか?

中務:そうですね。HIROさんがいつもダンス界に恩返しするっておっしゃっていて。僕もストリートダンス出身ですし、バックダンサーの経験もあって、時には歯がゆい思いをしたことがあるから、サポートダンサーっていう立ち位置でも、ちゃんと前に出てファンもついてくれたらいいなと思ってる。ダンスはLDHの軸でもあるので、そのダンスを僕たちなりに盛り上げる方法を日々考えてやってます。

—ドームやアリーナといった規模の大きい会場でのコンサートを重ねてきて、どうしたらサポートダンサーも輝いて見えるかってことは、自然と分かってきたんじゃんないですか。

中務:GENERATIONSでは10年間活動してきましたし、デビュー前もEXILEさんや三代目J SOUL BROTHERSさんの後ろで踊らせていただいたりして、経験値を少しずつ積んできたと思うので、今まで見えなかったものが見えてきてると思います。ステージが一つ上にグッと上がったような感覚はありますね。

—その感覚って、言葉にするとどんな感じですか?

中務:今までだったら「いいんじゃない?」で終わってた曖昧なところが、今は「ここはやっぱりダンサーがいない方がいいな」とか、逆に「ここはもっと足した方がいいな」とか、より細かく見えるようになってきました。今までは面でしか見えてなかったんですけど、立体的に見えるようになってきました。ピンポイントで、この場所のこの演出が効く、って考えられるようになってきたので、イメージしたものを具現化する力は、メンバー各々上がってきてるんじゃないかなと思います。

—Murayamaさんは、そういうメンバーからの言葉やアドバイスで気づきがあったりしましたか?

中務:でもサポートダンサーには「楽しんで」ぐらいしか言わないよね(笑)。

Murayama:そうなんですよ(笑)。

中務:直接はね。演出の人には、もっとダンサーにこうしてほしいですってお願いはします。だから僕らっていうよりは、演出の人の言葉の方が大きいと思います。

Murayama:そうですね。演出の人からもうちょっとこういう感じでやってほしいってアドバイスをいただいて、それを忠実にこなしていく方が多いですね。

—Murayamaさんは今回ツアーに参加してみて、どんな成長があったと思いますか?

Murayama:ダンサーとしてステージに立つときは、パフォーマンスして踊るだけのことが多いんですけど、今回は出演者の一員として、お客さんとのコミュニケーションを意識しました。お客さんをどう巻き込んだら楽しませられるかを考えつつ、アリーナでより一層お客さんとの距離が近くなったので、お客さんからもエナジーをもらって自分たちもパフォーマンスができたかなって思います。それはこれまで経験してこなかったことだったので、勉強になりました。

—中務さんは今回のツアーの手応えは?

中務:お客さんの空気をより感じられるようになりました。今までは自分たちがパワーを出すだけのことが多かったんですけど、今はお客さんとのキャッチボールができるようになりました。お客さんが盛り上がっていたらメンバーはもっとパワフルになりますし、バラードで魅せるところはしっかり魅せられるようになりました。ピンポイントでパワーの使い方がわかってきたというか、ここはしっかり見せるところだっていう共通認識が、7人全員がコミュニケーションをとらなくても、ライブのなかで揃うようになってきました。あとはサポートダンサーのみんなとの距離感も良くなってきたと思います。これまでのライブでは、僕らとサポートがそれぞれ独立した感じだったんですけど、今はよりみんなで一緒に作ってる感じがあるので、そこはメンバーもこの10年で成長してきた部分なのかなって。

—じゃあ達成感も大きかったんじゃないですか。

中務:そうですね。今までに感じたことのない達成感は感じました。3月から12月の年末までやっていて、スパンが長かったこともあるんですけど、チーム一丸となって駆け抜けた感をすごく感じました。

—最終日が終わった後は、ぐっとくるものがありましたか?

Murayama:そうですね。寂しかったです(笑)。ライブが始まると一瞬で終わっちゃうんで、楽しい時間が終わってしまった……みたいな感じでした。


Shiori Murayama(Photo by Mitsuru Nishimura)
6歳の時にダンスを始め、2007年から2013年までEXILEライブツアーやテレビなど多数出演。2016年単身渡米し、2017年に一回目の挑戦でMonsters of Hiphopのキャストに選ばれショーに出演。2019年 Puma x Balmainライブイベント、2020年 H.E.Rとミッシー・エリオットのPepsi Super bowl CM、J. バルヴィン「ROSA」MV など多数。日本に帰国後はBoAやGENERATIONSのライブに参加する他、さまざまな場面で活躍中。

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