オカダ・カズチカが語る、サッカーW杯・格闘技の熱狂、2023年の新日本プロレス

海外にも見せつける「新日本プロレス」のブランド

―話は変わりますが、あらためてアントニオ猪木さんの訃報をどのように受け止めましたか?

猪木さんの訃報を聞いたときはイギリスにいましたが、本当に頭が真っ白になったというか。新日本プロレスの50周年は猪木さんが登場して、ハッピーエンドという気持ちがありましたから、「嘘でしょ?」って。その言葉しか出てきませんでしたね。

―2022年3月1日に日本武道館にて開催された50周年の旗揚げ記念興行で猪木さんが登場することを誰もが期待していました。

やっぱり「炎のファイター」をかけて入場してきて欲しかったですよね。そして、「1,2,3ダー!」で50周年を締めてもらう、そういうことを勝手に思い描いていましたから。それが叶わなくなったんだなっていうのは寂しかったです。最後にお会いしたのは2020年の「Number」での対談でした。でも、あのときは対談のテーマも決まっていたので、もっと他の話もしてみたかった。なので、僕もタイミングが合えばお会いしたいと思っていたんですが、いま考えると会ってなくてよかったかなとも思います。最後にお会いしたのは元気な猪木さんでしたし、それで良かったのかなって。痩せてしまった猪木さんと会っていたらイメージが変わっていたかもしれないし、体調の悪い猪木さんがリングに上がらなくてよかったとも思います。やっぱり猪木さんには、花道を歩いてきて欲しいし、元気にリングインして「1,2,3ダー!」を言って欲しいですもん。きっといつでも天国から見てくれていますし、プロレス界のいい状況を見てもらえればいいかなと思います。

─最後に猪木さんにもしお会いできていたらどんなことを話したかったですか?

先ほどの話にもありましたけど、猪木さんがどのように世間と戦っていたか。猪木さんの時代ってプロレスはすごく人気があってすごく恵まれていたと思っていたんですけど、そんな猪木さんでも他のものと戦っていたじゃないですか。プロ野球の勢いがすごい中で、プロレスも同じようにスポーツ紙で扱ってもらえるように尽力していたり。そのためにどういうことをしたのか、どういう考えで何をしたのか、そういうことが聞いてみたかったです。猪木さんとのお話の中からそのヒントをいただきたかった。いまであればSNSでこういうことをやれば面白いんじゃないかとか。猪木さんは変わっていると思うからいろんな発想をお持ちだったと思うんです。きっと「そういう考え方があるのか」とか「なるほど」と思えることを話してくれたと思うんです。


Photo by Mitsuru Nishimura

―2023年の元旦にはプロレスリング・ノアが日本武道館興行を開催します。そのメインを飾るのはグレート・ムタVS Shinsuke Nakamura(WWE)=中邑真輔。この試合はイッテンヨン東京ドームのメインを務めるIWGP世界ヘビー級選手権試合、オカダ・カズチカ VS ジェイ・ホワイトとの間接的な戦いという側面もあると思います。

正直、ネームバリューだけで言ったら勝てないですよね。プロレスの歴史の中でまだこんなに夢のようなカードがあるのかと思うくらいすごいカードだと思うんですけど、リング上の戦いで言えば僕たちの方がレベルは高いと思っていますから。確かにネームバリューでは負けますけど、新日本プロレスのイッテンヨンのメインの方が絶対にレベルは高い。そういう意味では僕らの方が上から見てるところがあるのかなって。さらに今回のイッテンヨンはすごいカードが多く並んでいる中で、全選手がメインイベントを喰ってやるって気持ちが絶対あると思うんですよね。僕自身、メインじゃないときには必ずメインより面白い試合をやってやろうと思っていました。だけど今回はメインイベント、IWGP世界ヘビー級のベルトをかけた新日本のメインの戦いなので、みんなの気持ちを受けて立つ覚悟を持ってます。プロレスについて何も知らない人でも楽しんでもらえる戦いになるんじゃないかなと思っています。

―今年のイッテンヨンのカードはここ数年と比較してかなり攻めている印象があります。

そうですね。ここ数年のイッテンヨンとは異なった大会になると思います。外国人選手もたくさん参戦しますし、ジュニアのタイトルマッチの4WAYもすごく楽しそうだなと思うし、武藤さんの新日本ラストマッチが50周年と重なっているのもすごいなって。

―全世界に訴求するパッケージとしての魅力が今年のイッテンヨンにはありますよね。

そうですね。ケニー・オメガの試合が決定したことで海外のファンの人たちが観たいカードになっていると思いますし、もともと新日本自体も海外から注目されている団体ではあるので。コロナ禍でなかなか海外に行けなかったりしたんですけど、2022年くらいから僕も頻繁に海外に行けるようになり、「新日本プロレスはまだまだこれからいくぜ!」ということを改めて海外に見せつけないといけないと思います。













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