ASKAが語る、デイヴィッド・フォスターへの想い、音楽制作における変わらぬ美学

左からASKA、デイヴィッド・フォスター

音楽活動43年およびソロ35周年の集大成となるアルバム『Wonderful world』をリリースしたASKA。2023年3月、デイヴィッド・フォスターとのライブを開催する彼に話を聞いた。

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―まずは近況について教えてください。

少し前から決まりかけてはいたんですが、正式に発表になったのが、来年の3月に開催されるデイヴィッド・フォスターとのライブです。確かローリングストーンのインタビューでもいつか一緒に何かやってみたい、やれる気がすると言ってたと思うんですけど、こんなに早く実現するとは思わなかったです。

―改めて、デイヴィッド・フォスターの音楽との出会いは?

僕の場合、音楽において自分の背景がないんです。陽水さんを聴いて音楽を始めたいと思ったんですが、陽水さんのような曲は作らなかった?作れなかった?ですから。自分でも背景はわからずただ歌いたいって。ただ当時のミュージシャンは、誰もかれもがビートルズでしたけど、僕は当時ビートルズも聴いてなかったので。でも、ある時、自分の好きなアルバムの曲、誰々が歌ってる曲も含めて、それが全部デイヴィッド・フォスターだと気づいて驚きました。出会いはそこですね。

―なるほど。

それで、この人の音楽を全部聴いてみたい、言うなれば、初めてこの人の音楽に影響されたいと受け入れたんです。この人みたいな音楽を作ってみたいと思って曲を作り始めました。それから世の中が、僕の音楽を受け入れてくれるようになって。だからデイヴィッド・フォスターとの出会いがなかったら、今の僕はないかもしれないし、僕は勝手にデイヴィッド・フォスターの音楽を自分なりに解釈して、自分は受け継いでいってると思ってます。今僕の名前を出してくれる若いミュージシャンたちが多くて、いろんなところで僕の音楽を語ってくれています。それは、僕を通じて実はデイヴィッド・フォスターだったりするわけです。そういうのって伝播するものだと思いますから。デイヴィッドはデイヴィッドで、誰かにきっと影響されているでしょうしね。それはいつの間にか消えてなくなるものなんでしょうけど。そういう中で、僕は明確に、あの人に自分の音楽の全てを変えられたと思っています。変えてくれた人と、いつかは一緒に何かをやってみたい、やらせてもらいたいと思ってたのが、こんなに早く実現するとは思わなかったです。

―ASKAさん的に、特にどの作品に影響を受けたのですか?

『Chicago 16』ですね。



―ASKAさんの中でデイヴィッド・フォスターに影響されて作った曲は?

「MY Mr.LONELY HEART」です。あれは、デイヴィッド・フォスターというよりも、シカゴでした。シカゴみたいにしたいと思って作った曲です。

―そこからの夢が叶うということですが……何十年越しですか?

35年越しの夢がかなうんです。

―喜びもひとしおですね?

さて、じゃあ何をすればいいんだと。相手はデイヴィッド・フォスターですし、彼も中途半端なことはしたくないでしょうから。ちゃんとお互いが意味のあるものにするためにはどうすればいいだろうと。決まってから今度はそっちのプレッシャーの方があります。

―まだ具体的な内容は詰めてはない?

まだ詰めてないです。でももちろんデイヴィッドは僕の演奏もします。彼のプロデュースで歌った人はいるんですが、まだアジアのシンガーで一緒にワンステージをやった人はいないですから。彼がどれだけステージに、音楽に厳しい方なのかを体験してみたいです。

―これは音楽史に残りますね。

「自分の音楽史」にですね。彼は今世界一のプロデューサーでしょう?もうそれは誰もが認めるところですから。そういう方と仕事ができるという光栄さと、それも自分が憧れている人ですから、今は高揚感はもう消えていて、それよりもプレッシャーを少しずつ感じ始めています。

―そういえば先日、デイヴィッド・フォスターは来日公演を行ってましたよね。

その時僕も会場にいました。それで、その時にデイヴィッドが、お客さんの中で今日ステージに上がって歌いたい人はいませんか?って言ったんです。それはデイヴィッドのリップサービスなんでしょうけど、僕はそれをリップサービスと受け止めなかった。Yes!って手を挙げたら、デヴィッドはOh!って(笑)。

―(笑)そりゃOh!ってなりますよ。

じゃあ後でねって話になったんです。でもショーのトークとして言っただけで、まさかYes!って手を挙げるやつがいるとは思わなかったでしょう。だから半々でした。このまま終わってもいいし、上がるんだったら上がってもいいしって思ってたんです。そしたら、ちゃんと後で時間をとってくれて。降りておいでよ。で、ステージに上がったら、お客さんの拍手。

―そりゃそうでしょ!!

それで最初はシカゴの「素直になれなくて」を歌おうと言われたんですけど、キーが合わなくて。それでデイヴィッドと、アドリブで一曲作ってみようよって言って。で、デイヴィッドがピアノでコード弾いて、アドリブで歌ったんです。

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