森山良子特集、歌手活動55周年の歴史を自選曲とともに振り返る



田家:シングルだったんですね。

森山:さっきファルセットと地声の話が出ましたけれども、あちらで選んで私にくれた曲が、こういうロックっぽい地声から出る曲だったのですごくうれしかったですね。森山良子に対する先入観がないから。だから地声の部分をピックアップしていただいたのがとてもうれしかったのと、全曲英語だった。イギリスにいるエミール・ビーン・ゾグビーというディレクターさんが全部英語で歌うプロデュースをしたかったらしいんです。いろいろなタイプの曲があったので1曲1曲歌ってみたんです。スタジオのライトを薄暗く消して、私とエミールだけが見えるようにしたり。私が歌っているマイクの前で、エミールが例えば「give」って言ったら〈give〉って。「take」って言ったら〈take〉って。〈love you〉とかそこでパントマイムみたいに感情をお芝居をしてくれるんですよ。こんなレコーディングないなってくらいおもしろかったし、私はコピーしてただ好き勝手に歌っているだけだったけれど、ただ〈love you〉って言うだけじゃないんだって。「come easy」って曲があるんですけど「come…! easy…!」みたいに究極にオーバーにまず歌わせるんです。そこから削いでいくというか。どこに行ってもできないような勉強をさせてもらった、実り多いレコーディングでした。

田家:詞曲を提供している人の中にはヨーコ・オノさんとかポール・ウィリアムズさんとか、バリー・マンとかロジャー・ニコルスとかっていうすごい人たちが。で、1973年のミュージックライフの女性歌手の人気投票で1位になった。

森山:は~…! そうなんですね。

田家:今日最後の曲です。1974年4月発売、「ある日の午後」。

Rolling Stone Japan 編集部

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