LOW IQ 01が語る、渾身のフルアルバム制作秘話「みなさんの力になれたら」

3年ぶり9枚目のフル・アルバム『Adjusted』をリリースするLOW IQ 01

盟友たちが「傑作」と絶賛する、LOW IQ 01の9枚目のフルアルバムが12月14日にリリースされる。the LOW-ATUSのTOSHI-LOWと細美武士が参加した楽曲も含め「どの曲もメイン」と語る、渾身の13曲が収められた最新作『Adjusted』について、LOW IQ 01にその思いを聞いた。

―コロナ禍を挟んでのアルバムですが、まじで傑作!だと思いました。

LOW IQ 01、52歳にして代表作ができましたね。

―本当にそう思います。

毎回そんなことを言ってますけど(笑)。もちろんアルバムを出す時は、アーティストはみんな自信を持って作っていると思うので、絶対にそう言うと思うんですけど。今回は事情がいつもと違うんです!っていう感じがありましたね。いつもと違うからこんな音になってしまいましたって言った方が早いかなと。コロナの3年間があって、今までの俺になかったものがエモさとなって出たのかなって思います。

―惜しみなく出ましたね。しかも、わざとらしい感じが全然しない。だから変な話、売りに走ったとかっていう感じもないんです。コロナ禍でロックキッズたちの心の中で鳴っている音楽を音にしてくれたんだなと思いました。

コロナ禍になって、いいことなんて本当にないのよ。もちろん命を落とす人もいるわけで、絶対コロナなんてない方がいいのは間違いない。みんな何が大変かって、仕事だよね。ほとんどの業界が影響を受けた。稀にコロナ禍になってすごい忙しくなったって人もいるけど、仕事でなかなか100%の力を出せなかったじゃない?俺たちでいえば、例えばライヴもできない。実際に俺もできなくなって痛い思いもした。でも腐っててもしょうがないし、待っててもしょうがない。いつ終わるのかもわからない。実際に今も終わってないよね。でもその間に、今までやったことがないことをやるってことが今回のテーマだったんですよ。

今まで通り、何もなかったら、今年一年ライヴの計画を立てて、「ここでツアーやります」「次にリリースします」っていう感じのルーティンでミュージシャンはみんなやってきたと思う。そのルーティンをみんな崩して、どのミュージシャンも一斉にスタートラインに立たされた。
じゃあそこでミュージシャンはどう取り組んでいけばいいのかなって思ったし、感じたこともたくさんあったし。今までやってなかったギターの練習をしてみたりとかね。こんなに時間がいっぱいあるんだったら、逆にやることいっぱいあるんだと思って。それで録り溜めた曲。あと、歌詞は自然にそういう影響も受けるわけで。

だから今回のアルバムは、決してネガティブではないのよ。今までのルーティンでやっていたら今までのLOW IQ 01だったと思う。「ちょっと明るくて陽気なおじさんが、陽気な曲を出しました、元気のある曲を出しました」っていうね。今回はそうではなくて、切なさが出ちゃったんです。

―出ましたね。そもそも一曲目「Out in Bloom」のど頭から、あれ?って。違うアーティストのアルバムをかけちゃったのかな?って思いましたし、ど頭の悲し気なギターを聴いた瞬間に、えー!?って言葉が出ましたもん。

その「えー!?」が、いい期待の裏切りなんですよね。

―6曲目の「After the Rain」も切なさやエモさがたっぷりとありました。さっき「決してネガティブではない」って言ってたけど、希望があるんですよ。あくまでも前に進むためのエネルギーになってくれる歌というのが共通していて。

やっぱり希望というのはこっちから取りにいかないとだからね。ちょっと政治の話になっちゃうけど、コロナ禍で今まで見えてこなかったものが見えてきたじゃない。「え? これって国でやってくれないの?」とか 「なんで国民の思ってることの逆をやってるの?」みたいなさ。

みんな苦しんでるのに…ってなった時に思ったのが、国民が自分たちで頑張らないと日本は変わらない。政治がどうにかしてくれていい国になるっていうのは見えてこなかった。このコロナ禍で特にそれが見えて、テレビで国会中継を見てイライラして「ふざけんなよ!」とか文句を言ってたけど、でもそれを言っても状況はよくはならないし、余計に疲れるだけなので。

だから、こっちから何か楽しいことや、制限の中で何かを見つけるしかないなっていうのが歌詞に出ていると思う。本当に針の穴のような光でも見つけ出すっていうね。時間があったからそういうこともできたのかなって思うから、俺にとってはその時間は無駄ではなかった。時間の無駄遣いはしなかった。

―M9の「Perfect World」の歌詞にある “不平だけ言っていても話し合いは見えてこないんだ”とか、“結局耳を澄ませて待っていても綺麗な鐘の音は響いてこない、ならばハンマーを持って鐘を鳴らしに行こう”ですね。

さっき話したようなことを歌に乗せるとそうなるんですよね。こっちから鐘を鳴らしに行って響かせるしかないんですよ。

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