LOW IQ 01が語る、渾身のフルアルバム制作秘話「みなさんの力になれたら」

―本当そうですね(笑)。13曲の中にはゲストミュージシャンが参加している楽曲もあって、2曲目の「Starting Over」にthe LOW‐ATUS。ただもっとガッツリと参加してるのかと思ったら、意外と細美さん、TOSHI-LOWさんの歌ってるパートは少ないですよね。

最後の美味しいところで締めてもらおうかなと。最後にビシッと。

―二人にお願いした理由は?

やっぱコロナ禍で、ミュージシャンたちとそんなに頻繁には会えないんだけど、TOSHI-LOWとは話す機会がわりとあって。あとさっきも言ったように、みんなスタートラインに立ってるんだなと思って。ちょうど一年前(2021年)にthe LOW‐ATUSが初のアルバム出したりして面白いなって思ったから、お願いしてみようと思って。



―ちなみに、TOSHI-LOWさんとの出会いはいつ、どんな出会いだったんですか?

95年かな。下北沢の屋根裏で大学生みたいなお兄ちゃんたちがライヴやってるなと思って。TOSHI-LOWって昔は爽やかだったんだよ。今は格闘家のゴツい体つきだけど、当時は水泳をやってるようなスマートな体型で、爽やかな大学生みたいな感じだったの。で、友達が対バンで出てるライヴに行った時に初めて観て、このバンド面白いな思って。最初は一番後ろで見てたんだけど、どんどんどんどん前に行って。で、終わって俺から「テープちょうだい!」って声をかけたの。それが始まりです。

のちにTOSHI-LOWから話を聞くと、LOW IQ 01が『ジョーズ』みたいに近寄ってきた、横山やすしが来たみたいな感じで言われたけど(笑)。もらったBRAHMANのテープがすごく良くてね。そこからいろんなとこで観る機会が増えて。あと俺がよく遊んでた古着屋さんにTOSHI-LOWも出入りするようになって。そこから仲良くなったのかな。

―細美さんは?

たけちゃんは、ELLEGARDENの時にフェスとかで一緒になって、そこから飲みに行くようになったりして。

―今回、オファーして即OK?

してもらいましたよ。でもけっこう大変な時期にやってもらった。

―いつ録ったんですか?

今年の1月。新年早々。

―結構感染者が多かった頃ですね。

そう。それこそBRAHMANとELLEGARDENが年末にライヴをやったじゃない。それから一週間後くらいに「そこだったら行けます」って言ってくれてたんだけど、その日すげー大雪でさ。日程を変更して、たけちゃんがアメリカ行くちょっと前に来てもらって。で、レコーディング終わって、そこでいろいろ話して。熱い話もして。

>>細美武士とTOSHI-LOWが語る、the LOW-ATUSが体現するフォークの世界

―あとはスカが2曲ありますが、すごいよかったです。

嬉しいですね。もともとスカはLOW IQ 01で取り入れてたレギュラーのジャンルなので、今回はあえて入れてみました。「WHO U R」は、本当にコロナになる前、2019年の年末ぐらいにできたんです。「Big Little Lies」と「WHO U R」は、最初は会場限定シングルってことで作ったの。それを作ってツアーを回る予定だったんだけど、コロナでライヴができなくなったから、CDはできたけど売るところがないっていうこともあって。そのCDは一年ぐらいかけて通販やったりして売りました。

―そういう作業もしないと本当に飯食えないっていう……。

そうそう。僕はファンのことを市川芸人って呼んでるんだけど、市川芸人に僕は救われましたよ。さっきも言ったけど、配信もそうだし、物販を買ってくれたりとか。お陰さまでどうにかミュージシャンでいられました(笑)。

―ファンあってのっていうのは、このコロナ禍で多くのアーティストが感じたことだと思います。

みんなすごい感じたんじゃないかな。ファンの方たちだってさ、仕事が減ったりして大変な人もたくさんいたと思うんだけど、お金を使ってくれたわけですよね。そうなると、こっちもより力を与えられるような曲を、ちょっと厚かましいかもしれないけど、みんなのエネルギーになれるような曲が今回生まれたんじゃないかな。

―ええ。7曲目の「ランデヴー」はこのアルバムの中で唯一日本語ですが、何か理由があったんですか?

これはもう日本語しか浮かばなかった。あと、僕にしては珍しいラブソングとまではいかないけど、あんまり今まで歌ったことのない感じの曲なんだよね。それが新鮮だったから日本語にしようと思って。これ、TOSHI-LOWにコーチングを受けたの。

―ボーカルの?

ボーカルじゃなくて、言葉の。

―言葉の乗せ方?

「いっちゃん、日本語は母音なんだ」って。俺ずっと、「ボインちゃん? おっぱい?」って言ってたんだけど「そうじゃないんだよ、いっちゃん!マジで聞いて」って言われて(笑)。もともと、一回録音してたの。それを1月にTOSHI-LOWがみーちゃんとレコーディングに来てくれた時に流したのよ。そしたら、「いっちゃん、『ランデヴー』をもう一回歌い直した方がいいよ」って言われて。歌詞はいいんだと。言葉の置く場所だ、って。例えば、英語のネイティブに英語の発音を教えてもらって、もう一回発音を歌い直した方がいいよって言われるならわかるけど、ここまで口出してきたかって(笑)。でもそこに関しては、先輩、後輩は関係なく、あいつが本当に「こうやったらもっと良くなるよ」って思って言ってくれたから。それで歌いなおしたんだよね。

―それは嬉しいですよね。

「いっちゃん、英語だったら音でいい。でも日本語は聴こえない」と。例えばここで切ったら違う意味に聞こえちゃうって。例えば、“お”に、“いり”って言ったらさ、“おにぎり”になっちゃうわけじゃない。“お”で切って、“にぎり”って。にぎりってグリップ。おにぎりじゃ一つになっちゃうからって。そういうのを自分で考えていって、「ああ、そうか」って。で、TOSHI-LOWに電話で確認たりして。

―この歌は日本語だというところから発生して、いかに言葉を伝えるかみたいなところを歌うことにおいては意識したと?

そうだね。今までにやったことのないやり方だった。やっぱり、仕事でもなんでもそうだと思うんだけど、誰かがそういう風に言ってくれないと、ずっと同じことをやり続けちゃうんだよね。「これが俺のやり方だ」ってやってきて、頑なに一点張りでもいいと思うんだ。でも誰かによって新しい空気が入ることで成長できる。そこは、そっか、今まで通りの流れでやったらダメだなって思いましたね。次のステップに行くには、今まで通りじゃダメだぞっていうのを教えてもらったね。

―アルバムタイトルはどういう意味で『Adjusted』にしたんですか?

まだコロナ禍が明けたわけじゃないんですよね。だから、まだ未完成というか、まだみんな迷ってることもあるし。森の中から抜け出すっていうイメージだったのかなあ。そういう感じでつけたのがAdjusted。だからジャケットもちょっと森っぽいというか。ストーリー性があるというか。

―確かに。アルバムって本来そういうストーリー性のあるものだったと思うんですよね。

うん。今は一曲一曲を聴くっていう世の中になってしまったけど、俺は昔気質のミュージシャンなので、ストーリー性ってことを考えると全部通して聞いてもらいたいなって思いますね。どの曲もメインですから。

―曲順もかなり悩みました?

そこなんですよ。これが一番綺麗にまとまったの。何曲も入れ替えて、これだ!と思って。これが一番ピタッと来た。

―そして、アルバムがドロップされたらすぐにバースデーライヴがありますよね?

はい。翌日ですね。いつものRHYTHM MAKERS+とMASTER LOW。あと今回はホリエアツシと二人で“イッチャンアッチャン”ってウッチャンナンチャンみたいな呼び方してるんだけど、面白いことをやろうと思ってます。あっちゃんとはコロナ禍で弾き語りとかで一緒になる機会が多くて、二人で飛び入りでやったりとかして結構面白かったから。だから楽しいと思いますよ。

―最後に読者へメッセージをお願いします。

みなさんの力になれたらいいなと思います。


LOW IQ 01
9thフル・アルバム
『Adjusted』
2022.12.14 ON SALE!!
MOM11/¥3,300(税込)

[収録曲]
1. Out in Bloom
2. Starting Over feat. The LOW-ATUS
3. When the Ship Rolls In
4. Set Me Free
5. WHO U R
6. After the Rain
7. ランデヴー
8. Big Little Lies
9. Perfect World
10. Say to Me
11. Let There Be Music
12. Ring of Love
13. Roll With It
 

▼イベント情報
"MASTER OF MUSIC 2022" 
12月13日(火)神奈川 CLUB CITTA’
OPEN 18:00 / START 19:00
出演:LOW IQ 01 & MASTER LOW / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+ / イッチャンアッチャン(LOW IQ 01 & ホリエアツシ(ストレイテナー))
[チケット]
前売 ¥5,500 / 当日 ¥6,000 (税込/D代別)



▼ツアー情報
"LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS"
2/4(土)千葉LOOK
2/12(日)水戸ライトハウス
2/18(土)福島OUTLINE
2/19(日)仙台MACANA
3/31(金)名古屋ボトムライン
4/1(土)大阪シャングリラ
4/20(木)東京O-WEST
[チケット]
¥4,500(税込)
※販売方法、時間など詳細は後日発表

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