狂気の神、フィル・ティペット監督が語る「創作論」

「私は雑誌と共に育ってきたんだ」

ー『ジュラシック・パーク』(1993年)でCGが大躍進を遂げたとき、あなたが仕事を失うと思って「絶滅した気分だ」と言ったエピソードは有名ですが、それから30年近くが経っても第一線で活躍しています。現在、レコード/CD業界や雑誌業界がまさに絶滅の危機に瀕していますが、どのようにすればサバイバル出来るでしょうか?

うーん、それが時代の流れならば、どうすれば良いかは私には分からないね。私は雑誌と共に育ってきたんだ。子供の頃から『Famous Monsters Of Filmland』を隅から隅まで読んでいたし、いろんな雑誌のページを切り取って、自分のコンセプチュアル・デザインの参考にしていた。近所のニューススタンドにはあらゆる雑誌が並んで、こっちから向こうまで50フィートぐらいの幅が雑誌でいっぱいだったんだ。それが少しずつ縮小して、遂になくなってしまった。とても寂しいけど、テクノロジーの進歩によって失われてしまうものもあるんだよ。

ー今後の映画プロジェクトについて教えて下さい。

『Pequins Pendequin』が次のプロジェクトになる予定だ。『マッドゴッド』よりも短い期間で完成させたいね。30年も待たせたくないんだ(笑)。制作費のことでも頭を悩ましたくない。『マッドゴッド』のときは、金を出してくれる映画会社もなかったし、苦労したんだよ。1940年代のテックス・エイヴリーのアニメーションに近いコンセプトだけど、ダークでジョゼフ・キャンベル的な神話の要素もあって、変身能力者のピクインの冒険を描いている。もうストーリーボードも書き始めているし、2023年には制作を開始したいね。それ以外にも頭の中にさまざまなダークな妄想があるし、それをビジュアル化していきたい。


『マッドゴッド』メイキング写真 ©2021 Tippett Studio

<INFORMATION>


『マッドゴッド』
監督:フィル・ティペット
出演:アレックス・コックス

新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次公開中
提供:キングレコード、ロングライド 配給:ロングライド
公式サイト:https://longride.jp/mad-god/

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