ハリー・スタイルズ独占取材 世界的ポップアイコンが怒涛の一年を語る

恋人にまつわる葛藤

近頃は、どうやらそうとも言えないようだ。というのも、スタイルズがいるところには、必ずオリヴィア・ワイルドもいるのだ。ふたりは、ワイルドが監督を務めた映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』の撮影現場で出会った(これについては、のちほど詳しく述べる)。2021年1月に行われたマネージャーで近しい友人のジェフリー・アゾフの結婚式でのふたりの手つなぎ写真が公開されると、世間は騒然となった。

スタイルズとワイルドは、ふたりの関係について多くを語っていない。そのため、巷ではありとあらゆる憶測が飛び交っている。とあるTwitterの匿名ユーザーは、ふたりの年齢差にショックを受け(28歳の男性が38歳の女性とデートをすることは、そんなに異常なのだろうか?)、“監督と役者”という関係から恋愛関係へと発展したことを批判した(ハリウッドには、映画を機に交際をはじめたカップルがごまんといるのだが)。

それよりも衝撃的だったのは、スタイルズの一部のファンがワイルドに激しい敵意を向けたことだ。一部のファンはワイルドの踊りを馬鹿にしたり、彼女の過去の悪辣なジョークを持ち出しては、Twitterで長々と批判したり、TikTokにネガティブな動画を投稿したりした。ファンたちがスタイルズに求めている基準が高ければ高いほど、彼のパートナー候補も同じくらい完璧な存在であるべきだ、と一部のファンはとらえているようだ。


今年11月、LA公演で音楽監督のPauli Lovejoyと共に踊るハリー・スタイルズ(Photo by RICH FURY)

スタイルズは、積極的にネットを使うほうではない。Instagramのアカウントは持っているが、主な目的は植物や建築物に関する投稿を楽しむためだ。TikTokアプリをダウンロードしたこともなければ、Twitterに関しては「人と人が傷つけ合うカオス」であると考えている。それでも、ネット上で一部のファンが恋人を攻撃していることには気づいている。「当たり前だけど、いい気分ではない」と、スタイルズは慎重に言葉を選びながら話す。こうした話題について口を開くことは、彼にとっては綱渡りのように危険な行為でもあるのだ。スタイルズは、自身のファンが善良な存在であると信じたいと願っているし、実際に信じている。だが、ネット上には憎しみや匿名性を拠りどころとする一部の人々が存在することもわかっているのだ。

仕事とプライベートを完全に切り分けたとしても、「ほかの人が両者の境界線を曖昧にすることもある」とスタイルズは言う。たとえば、不自然で時期尚早のように思えるかもしれないが、関係を築きはじめたばかりの相手と次のような会話をしなければいけないのだ。「想像してほしい」とスタイルズは話す。「誰かと2回目のデートをするときに『ネット上であんなことを言われたり、こんなことを書かれたりするかもしれない。嘘や意地悪なことを言う人がいるかもしれない……。まあ、それはさておき、何が食べたい?』と言わなければいけないんだ」

スタイルズは、すべてのファンがそうではないことに安堵している。その一方で、ノイズが大きくなりすぎたときの対処法には頭を悩ませる。「僕と親密な関係にあることでTwitterやSNSで標的にされる、と相手に思われるのは辛い」と話す。「僕はただ、歌いたいだけなんだ。誰かを傷つけるとわかっていたら、そもそも深入りはしなかった」

スタイルズのファンの行動について、ワイルドはそつのないコメントをしている。スタイルズと同じように、彼女もファンの意図を理解したうえで、ファンのことを受容性のあるコミュニティを形成した「愛情深い人々」と呼ぶ。「ファンの残酷な行動について、どうしても理解できない点があります。それは、こうした有害なネガティブさがハリーと彼のメッセージとは相反するものである、ということです」と、ワイルドは筆者に語った。「憎しみのエネルギーがハリーのファンベースのすべてではないこともわかっています。多くのファンは、まさに優しさの象徴のような人たちですから」

Translated by Shoko Natori

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