ポリフィアが明かす、スティーヴ・ヴァイらとの共演秘話「あらゆる音楽を網羅したかった」

 
スティーヴ・ヴァイとの共演、曲作りにおける哲学

ーそれと、ラストを締め括る12曲目「Ego Death feat. Steve Vai」について話を聞かせてください。楽曲の良さももちろんですが、MV途中で登場するスティーヴ・ヴァイのラスボス感が凄まじくて、映像を観てもシビれました。

ティム:ああ、ファイナル・ボスって感じだよね。(笑)



ーしかもティムさん、スコットさん、ヴァイの3人が背中を合わせてギターを弾くシーンには見惚れてしまいました。ティムさんはヴァイが愛用しているアイバニーズモデルのギターをMVの中でも使っています。あなたたちにとってヴァイは憧れのギターヒーローであり、共演したいアーティストの一人だったのでしょうか? 

ティム:そうだね。僕が本当に若い頃……『スクール・オブ・ロック』が公開された頃、僕は10歳くらいだったと思うけど、あの映画の主人公も10歳くらいだったんだ。それもあって、あの映画に夢中になった。その頃に父親が『クロスロード』という映画を見せてくれてね。それにスティーヴ・ヴァイが出てきて、「何だこりゃ、とんでもなくかっこいい!」と思ったよ。あの映画には度肝を抜かれた。それから「Tender Surrender」(1995年『Alien Love Secrets』収録)や、「For The Love Of God」(1990年『Passion and Warfare』収録)を聴いたんだ。だから、スティーヴと一緒に仕事ができるなんて、まさに夢が叶った瞬間だったよ。しかもあんなMVを作って、背中合わせにプレイするなんてね。最高だったよ。

ーギター・キッズに戻ったような感覚にもなりました?

ティム:そう! スティーヴと同じ部屋にいるときはやっぱり雰囲気が違うよね。「うわっ、スティーヴ・ヴァイが同じ部屋にいる!」という気持ちになるからさ(笑)。

ーヴァイとはどんな会話をしたんですか?

ティム:まずは彼の家に行き、「Ego Death」を聴かせたんだ。で、終盤のインパクトがあるドロップのところで、彼のスピーカーがぶっ飛んじゃってさ。イラっとしていたように見えたよ(苦笑)。エンジニアが駆けつけて直していたけど、あれは気まずかったな。彼にお願いしたのは、とにかくビッグなプレイをしてほしいということ。「Tender Surrender」や「For The Love Of God」みたいにハードに弾いてほしいと言ったんだ。僕とスコットは「うわっ、スティーヴ・ヴァイがフィーチャーで入っちゃった!」という感じだったね。

スコット:めちゃくちゃ素晴らしかったよ。メールが来たとき僕は実家に車で向かっている途中だったんだけど、家に着いたらすぐにメールを開いて、家族全員で聴いたからね(笑)。最高の経験だったよ。父親も僕と同じように、10代の頃からギターに夢中でね。父親はレコードでヴァン・ヘイレン、メタリカ、メガデス、スティーヴ・ヴァイを聴いていたからね。「スティーヴ・ヴァイが僕たちと一緒に1曲やってくれることになったよ」と伝えたら、「本当に!?」って驚いていたからね(笑)。大興奮だったよ。


Photo by Travis Shinn

ーここで話を変えますが、アメリカの「ニューヨークタイムズ」の記事で、グラミー賞のロック部門のノミネート曲の多くにギターソロがないという内容が、ここ日本でも話題になりました。サブスクで音楽を聴く若い世代はギターソロをスキップする、歪んだギターは人気がないなど。こうしたトピックについてはどんな感想をお持ちでしょうか?

スコット:それならば、もっといいギターソロを作るしかないよね(苦笑)。

ティム:ああ、ギターソロがスキップされるということは、いい仕事をしていないということだからね。もっといいソロを作れってことだね。

スコット:それは僕たちの曲の作り方や書き方に関係している気がするよ。僕たちは曲を書くときに……長い間やっていることなんだけど、「ゴミのフィルタリング」の作業を入れているんだ。曲を書いたら、1日くらい寝かせておく。そうすると次の日には細かいところまで憶えていない。その状態で「再生」をクリックして、じっくり聴いてみる。その時は先入観を排除して聴いてみて、「これは自分で書いたものだからクールだと思っているのか? それとも本当にクールだからクールだと思っているのか」と自問するんだ。で、もしクールじゃなかったら、手を入れて改善するか、他の曲を進めるかを決めるんだ。

ティム:曲を作るときはエゴを排除しなきゃいけない。以前に素晴らしいアドバイスをもらったことがあってね。セッションで他人と関わるときは「貴重な存在になるな」と。何かに貢献しても、それにこだわったら、誰の得にもならない。もし内容が良くなかったら、変更することにオープンであれってね。



ー冷静なジャッジで楽曲を見つめ直す視点が大事だと。今作はボーカル入りの楽曲も多いので、ライブでまたどんな風に再現されるのか、非常に楽しみなところです。リリース後はツアーを控えていると思いますが、どんなライブを見せようと思っていますか? 

ティム:曲によってはコラボ相手と実際にやることもあるんじゃないかな。ゲスト・ボーカルが一緒に歌ってくれたら最高だよね。とはいえ、正直まだそこまで考えが及ばないんだけどさ(笑)。でもボーカル入りの曲をプレイするのはちょっとヘンな感覚がするんだよね。理想としてはファンが歌詞を憶えてくれて、一緒に歌ってくれると嬉しいね。ボーカルがいなくても、みんなでシンガロングしてくれたらいいな。

ー次回の来日公演で「あいうえおかきくけこ〜♪」(「ABC feat. Sophia Black」)と日本のオーディエンスが歌ってくれたら最高ですよね!

ティム:ああ、それはお願いしたいね!(笑)

ー最後に日本のファンにメッセージをもらえますか?

ティム:みんなに会えなくて寂しいよ。早くそっちに行きたいね。また是非行きたいと思っているんだ。5年連続で日本に行ったのに、コロナ禍のせいで、それ以来行けてないからね。

スコット:みんなが新作を楽しんでくれるように願っているよ。日本のファンのリアクションが今から楽しみだからね!




ポリフィア
『Remember That You Will Die』
発売中
再生・購入:https://riserecords.lnk.to/RTYWD


Translated by Sachiko Yasue

 
 
 
 

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