ポリフィアが明かす、スティーヴ・ヴァイらとの共演秘話「あらゆる音楽を網羅したかった」

ポリフィア(Photo by Travis Shinn)

 
インストを超え、ジャンルを跨ぎ、ボーダーレスに自身の音楽を開拓し続ける技巧集団、ポリフィア(Polyphia)。彼らの4thアルバム『Remember That You Will Die』は、ポップスからメタル/プログレッシブな作風まで射程に入れた楽曲を収録。間違いなく、曲調の振れ幅は過去最高である。

過去作においても独自の審美眼で気鋭のアーティストを招き、高度な演奏力だけに頼らない魅力をアピールしてきた彼ら。その活動が目に止まり、BABYMETALの「Brand New Day(Feat. Tim Henson and Scott LePage)」にて楽曲参加し、一躍注目を浴びたのは周知の通りだ。そして、今作の注目すべき点は全12曲中5曲にシンガー/ラッパーを迎え、その一方で、音の魔術師スティーヴ・ヴァイ参加曲があるなど、インストを軸に音楽地図をさらに広げた野心作と言っていい。ティム・ヘンソン、スコット・ルペイジのギタリスト2名に直撃した。


ー前作『New Levels New Devils』以来、ちょうど4年ぶりになる4thアルバム『Remember That You Will Die』が完成しました。これまでの作品の中でもっとも期間が空いた形になりますが、この4年間はどんな風に過ごされていましたか?

ティム:ずっとこのアルバムに取り組んでいた感じだよ。コロナ禍でこれほど長くかかってしまったけど、4年間のうちの2年はなかったこととして僕たちは考えているんだ。そう考えると、ほぼ「2年に1枚」のサイクルを守っていることになる(笑)。パンデミック以前はツアー三昧だったから、そこから少し離れて曲作りに集中できたのは良かったね。コラボ相手を確保する時間がとれたのも良かった。結果として、このアルバムだけじゃなくて、他にも色んな人たちとコラボをすることができたんだ。それは次作のためにとっておこうと思っている。今作に入っているのは、色んなアーティストとの法的な手続きをクリアするのが間に合った楽曲という形だね。

ーなるほど。早速、今作の全12曲を聴かせてもらいました。1曲1曲のオリジナリティの高さはもちろん、作品トータルのバラエティぶりを踏まえて、これはお世辞抜きで最高傑作だと思います。

ティム:僕もスコットもほかのメンバーも、今作を心から誇りに思っているよ。僕たちは常にもっと上手くなりたいと思って努力し続けているし、それを形にしたのが最新作だからね。



ー今作の制作に着手したのはいつ頃になるんですか?

ティム:2019年の終わりくらいかな。前作『New Levels New Devils』から今作に着手するまでの間に「Look But Not Touch」(2019年春のシングル)を出したけど、着手したのは早くて同年の8月くらいだったと思う。

ー最初のアルバム像として、たくさんのアーティストとコラボする計画はあったのでしょうか?

ティム:コラボしたい人たちのリストがあったのは間違いないね。チノ(・モレノ)、スティーヴ(・ヴァイ)、ブラストラックス、アノマリー(Anomalie)……リストにあった人たちを片っ端からノックして、「一緒に曲作らない?」と話を持ちかけたんだ。そのリストにはラッパーのリック・ロスもいたけど、彼のチームには連絡が繋がらなくて、次に行くことにして(笑)、一緒にやりたいと思った人の名前をどんどんリストに加えていった。それで連絡が取れた人たちと協力し合って作っていったんだ。すごくクールな経験だったよ。


Photo by Alana Ann Lopez

ー今作の作品全体のトーンや、方向性を決めた楽曲はありましたか?

ティム:「このアルバムをこういうサウンドにしよう」という意図は、必ずしもあったわけではなくてね。それよりも「一緒に部屋に入って、曲を作ろう!」という感覚の方が強かった。たくさん曲を作って、その中でも一体感の強いものをピックアップしてアルバムに入れたんだ。

スコット:今作は僕たちにとってもサプライズ的な要素が強かった気がするよ。何しろコラボも、誰が僕たちのDMに反応してくれるかわからなかったしね。コラボやフィーチャリングを思いつくときはいつも、その案に自分たちのスタイルを合わせて曲を作るんだ。そうすれば相手も気持ちよくやってくれるからね。最終的にできたものを聴くのは、なかなか興味深かったよ。

ーあなた方は作品ごとに新たなチャレンジを盛り込み、作風をどんどん変えていきました。なので、コラボ相手によって自分たちのスタイルを変化させることで得られる刺激も大きいと?

ティム:うん、多くのスタイルと向き合うことで、学ぶことは多いからね。ミュージシャンとしても、作曲家としても、様々なコラボ相手を招くことで、その様々な持ち味に自分たちも対応できるようになるからさ。

ー1枚の作品にこれだけ多彩なアーティストを招き入れること自体が、あなた方のユニークな音楽性を表していると思います。

ティム:そうだね。あらゆる音楽を網羅したかったのは確かだよ。少なくとも自分たちが好きなアーティストは全部取り上げたかった。ラッパーたちや、シンガーともやってみたかったし、才能豊かなインストゥルメンタリストともやりたかった。僕たち全員が好きなものを色々入れたかったんだ。

Translated by Sachiko Yasue

 
 
 
 

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