リンダ・リンダズが日本で語る、深い音楽愛とパンクから学んだ大切なこと

リンダ・リンダズ(Photo by Kana Tarumi)

ついにサマーソニック出演を果たしたリンダ・リンダズ(The Linda Lindas)。8月20日の東京公演、8月21日の大阪公演に登場した4人は、ルシアが歌う「Growing Up」から「リンダリンダ」のカバーまで全14曲を披露し、オーディエンスを大いに沸かせた。そんな彼女たちに、Rolling Stone Japanでは2度目となるインタビューを実施。聞き手は前回に引き続き岡俊彦。

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初来日が実現した今だからこそ、リンダ・リンダズはブルーハーツだけじゃない!ということを改めて言っておきたい。彼女達は「リンダリンダ」を聴いて楽器を手に取ったわけではない。むしろ大の音楽好きである彼女達に飽くなき探究心があったからこそ、映画『リンダ リンダ リンダ』を介して「リンダリンダ」に辿り着いたのであり、それこそが彼女達の素晴らしさなのではないかと思う。

サマーソニックへの出演においても、X・レイ・スペックスの「Germ Free Adolescence」を出囃子に登場し、「リンダリンダ」のみならずゴーゴーズ「Tonite」のカバーもパワフルな演奏で披露。その姿には深くて実直な音楽愛が溢れていた。ライブ中のMCでは日本で演奏できる喜びをそれぞれ炸裂させていたベラ、エロイーズ、ルシア、ミラの4人。サマソニ大阪のバックステージでは、少年ナイフとの再会も実現(エロイーズとルシアは、2010年9月にLAのアメーバ・ミュージックで行われた少年ナイフのインストアライブを見に行っているのだ)。サマソニ東京出演前日の8月19日、そんなリンダ・リンダズに原宿で話を聞いた。


左からエロイーズ(Ba)、ルシア(Gt)、ミラ(Dr)、ベラ(Gt)
Photo by Kana Tarumi

※8月24日追記:こちらの直筆サイン入りポラロイド写真を1名様にプレゼント。応募詳細は記事末尾にて。


―日本へようこそ。ルシアさんとミラさんのお父さんで、あなた達の1stアルバム『Growing Up』のプロデューサーでもあるカルロスさんはリール・ビッグ・フィッシュのメンバーとして来日したことがあると思いますが、事前に日本について何か言っていましたか?

ベラ:C.C.レモンが美味しいよって言ってた。

ルシア:パパのお気に入りのジュースなんだって。私達も日本で実際に飲んでみて美味しいと思った。あと、日本に来て戸惑ったのは、トイレがアメリカと違うこと。ボタンがやたらと多くて。説明が書いてあるんだけど、日本語は読めないしね。

エロイーズ:私は漢字が少し分かるから、何となく意味を掴むことはできた。


Photo by Kana Tarumi

―これは前回のインタビューが掲載された「Rolling Stone Japan vol.18」です(誌面を見せる)。

ベラ:ありがとうございます(日本語で)。この記事の写真、みんな若く見える。

ルシア:撮影は今年の1月頃だっけ? まだ1年も経ってないのにね。

ベラ:添えられているイラストも素敵!

―前回のインタビューの時に話しましたけど、私の左肩にはマフスのタトゥーが入っているんです。それで、あなた達のアルバムが本当に素晴らしかったので、今度は左腕にリンダ・リンダズのタトゥーを彫ってきました!

全員:えー!???

ベラ:私達のタトゥーを彫ってる人なんて初めて見た(笑)。

―私の左腕にはXのタトゥーもあるんです。リンダ・リンダズ、マフス、X。自分にとってはこれがLAパンクの3大バンドですね。ゴーゴーズもLAパンクの重要バンドだと思いますが、リンダ・リンダズも「Tonite」のカバー・シングルを7月にリリースしたばかりです。あなた達はゴーゴーズからの多大な影響を公言しており、バンド結成当初から彼女達の楽曲は幾つもカバーしてきたとの発言もされています。他にどんなゴーゴーズの曲をカバーしたことがあるんですか?

ミラ:「Our Lips Are Sealed」に「We Got The Beat」。それと「Cool Jerk」も。「This Town」はカバーしようと試したんだけど、上手くいかなかった。

エロイーズ:「Cool Jerk」はゴーゴーズのオリジナルではないじゃん。

―「Cool Jerk」はゴーゴーズのバージョンで初めて知ったんですか?

エロイーズ:そう。しばらく経ってから、あれがカバーだってことを知ったの(1966年にキャピトルズがリリースしたものがオリジナル)。




―ゴーゴーズは、ギタリストのジェーン・ウィードリンが基本的にコードしか弾かない人だから、簡単に演奏できる曲が多いですよね。

ルシア:だから楽器初心者の私達でもカバーできたってわけ(笑)。あと、彼女達がいたからこそ、「女性バンド」というものに対する世間のイメージが変わったと思う。

ベラ:ゴーゴーズ以前はあそこまで成功した女性のバンドはいなかったわけだし。

エロイーズ:楽曲に込められているパワーはどれも凄まじいし、捨て曲なんて一つもない。『Beauty And The Beat』は真の名盤だと思う。

ミラ:ゴーゴーズは歌詞も本当に素晴らしくて、どの楽曲も全く古びていないと思う。今でも現役で活動し続けているのも凄い。心の底からリスペクトしてる。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―ゴーゴーズのドラマーのジーナ・ショックと何度か共演もされていますが、彼女とはどういう経緯で知り合ったんですか?

エロイーズ:ジーナの方から私達に会ってみたいって連絡があって、しかも「私と一緒に演奏してみない?」なんて言われたもんだから、こっちとしては「喜んで!」って感じだった。

ルシア:パンデミック後の最初のリンダ・リンダズのライブでそれが実現したの。私達の家族や友達がたくさんいる前で共演できたから、本当に嬉しかった。

―あなた達はLAパンクの末裔といえる存在ですが、他にLAパンクで読者にお勧めしたいアーティストがあれば教えてください。

エロイーズ:スローターハウスとアレイ・キャッツを聴いてみて。超最高だから。

ミラ:アリス・バッグもね!



Translated by Kyoko Maruyama

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