リンダ・リンダズが日本で語る、深い音楽愛とパンクから学んだ大切なこと

パンクから学んだ大切なこと

―ゴーゴーズの「Tonite」以外でも、最近Apple TV+のアニメシリーズ『ハリエットはスパイ』に、レイ・チャールズの「Drown In My Own Tears」のカバーを提供していましたよね。他に録音してみたいカバー曲はあったりしますか?

ミラ:以前からカバーしてた曲なんだけど、X・レイ・スペックスの「Germ Free Adolescence」はちゃんと録音しておきたい。

エロイーズ:確かに。ランナウェイズの「Cherry Bomb」も演奏してて楽しい曲だから録音したいよね。

ルシア:私達はもともとカバー・バンドだったからレパートリーは多いの。機会があったらロス・プリシオネロス(チリの音楽シーンにおける最重要アーティストの一つとされているロック・バンド)の「Tren Al Sur」も録音したいと思ってる。





Photo by Kana Tarumi


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―ベラさんは最近高校を卒業されたそうで、おめでとうございます。学校といえば、あなた達が『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』に出演された際に、ミラさんが楽屋で宿題をしている写真を見掛けました。普段は宿題/勉強をしている時にどんな音楽を聴いたりしていますか?

エロイーズ:勉強に集中したいから、音楽を聴くことはないかな。

ミラ:知らない曲だったら全然いいんだけど、知ってる曲だと一緒に歌いたくなっちゃって勉強に集中できなくなる。

エロイーズ:私は知らない曲でも歌詞が気になって全然集中できない(笑)。

ベラ:私は自分の苦手なテクノとかを聴いて、わざと自分にストレスを掛けることはあるかも。「早く勉強を終わらせれば、これから逃れられる!」って(笑)。


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―では逆に、ムシャクシャしている時にストレス発散で聴きたい音楽は?

ミラ:ゴーゴーズの曲を聴いて飛び跳ねまくればストレス解消できるよ!

エロイーズ:私はブラック・フラッグの『My War』!



―ブラック・フラッグは1stアルバムの『Damaged』は直球のハードコア・パンクだけど、『My War』は少し毛色が違いますよね。

エロイーズ:『My War』はもっとヘヴィでダークなアルバムだからこそ、それに合わせて自分自身も沈み込んでいくことでカタルシスを得られるっていうか。ノリのいいパンク・ロックでただ盛り上がるのとは違う良さがあると思う。


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―そう言われてみると、「Racist, Sexist Boy」のヘヴィなサウンドは『My War』のそれに通じるものがあるようにも思えます。では、そんなあなた達はパンクを通じてどのようなことを学んだと思いますか?

ベラ:パンクのシーンには様々な人がいて、明るいものも暗いものも含めて様々な歴史があって、それがシーンの中で共有されているように感じた。パンク・シーンを支えるコミュニティもあって、パンクに出会ったからこそ私は「自分は一人ぼっちじゃない」と思うことができた。

エロイーズ:私はパンクに出会って、「完璧じゃなくてもいいんだ」と思えるようになった。本当に大切なのは自分自身がやりたいことをやるってこと。人と違っていても構わないの。とにかく行動に移してみる。それがパンクなんだと思う。

Translated by Kyoko Maruyama

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