リンダ・リンダズから広がるピープル・ツリー 4人と共鳴する6組の音楽

Illustration by Sumire Taya (Girlside)

8月20日〜21日開催のサマーソニックに出演するリンダ・リンダズ(The Linda Lindas)。4人のことをもっと深く知るために、彼女たちの音楽と共鳴し、つながりを持つバンド/グループを音楽ジャーナリスト・多屋澄礼が紹介。

※この記事は2022年3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.18」内のリンダ・リンダズ特集に掲載されたものです。

1. ダム・ダム・ガールズ(Dum Dum Girls)

Photo by Dimitri Hakke/Redferns

元ヴァイオリニストのアンナ・バルブルックが、女性アーティストをエンパワーし、コミュニティを創出するために立ち上げた「Girlschool LA」。2018年に開催されたそのワークショップに、クリスティン・コントロールこと元ダム・ダム・ガールズの中心人物ディー・ディーが誘い、集まった子供たちと演奏したことが、リンダ・リンダズ結成のきっかけとなった。ダム・ダム・ガールズはヴィヴィアン・ガールズの初期メンバー、フランキー・ローズも在籍した4ピース・ガールズバンドで、ガレージやサイケの要素を掛け合わせたサウンドと、独自のゴシックなスタイルで注目されるも2016年に活動終了。シカゴのインディーレーベルHoZacよりリリースされた1stアルバム『I Will Be』(2010年)収録の「Jail La La」は、シャングリラスを彷彿とさせるガールポップの名曲。




2. ベスト・コースト(Best Coast)

Photo by Eddie Chacon

ミラとルシアの父、カルロス・デ・ラ・ガルザはパラモアやウルフ・アリスなどを手がけ、グラミー受賞歴を持つプロデューサー。2009年にベサニー・コセンティーノとボブ・ブルーノによって結成されたベスト・コーストは、2020年の『Always Tomorrow』でガルザとタッグを組み、ギターノイズをアクセントにしたサーフ・ポップの路線も生かしつつ、メロウでドリーミーなムードが全体に漂った作品で5年ぶりのカムバックを果たした。また、ミラがクラスの男子に中国人であることから差別的な発言をされた経験を「曲にすれば良い」とべサニーがアドバイスし、そこから彼女たちを一躍有名にした「Racist, Sexiest Boy」が生まれたという。その後、リンダ・リンダズは『Always Tomorrow』デラックス・エディション収録の「Leading」に参加。コーラスで華を添えている。



3. ヘヴンリー(Heavenly)

Photo by Martyn Goodacre/Getty Images

エロイーズの父であるマーティン・ウォンは、アジア・アメリカのミックスカルチャーを紹介する雑誌「Giant Robot」の元編集者で、娘も通ったカステラル小学校の音楽プログラムを継続的に支援するプロジェクト「Save Music In Chinatown」の主催者でもある。後者のイベントにリンダ・リンダズが出演した際、彼女たちが販売したチャリティーTシャツがヘヴンリーのEP『Atta Girl』(1993年)にインスパイアされたデザインだったため、世界中のインディポップ・リスナーから注目を集めた。前進のタルーラ・ゴッシュを経て、1989年にアメリア・フレッチャーを中心に結成されたヘヴンリーは、ドキュメンタリー映画が日本でも公開されたSarahレーベルの看板バンドとして活躍。愛らしいギターポップの裏に感じられるDIYなパンク精神がリンダ・リンダズにも引き継がれている。


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