ドリーム・シアター、2019年の秘蔵インタビュー「俺たちの音楽は今じゃ異端ではない」

カントリー・ハウスと納屋を改造した最先端のスタジオで制作

ーこのアルバムのヘヴィなサウンドとシンプルな曲作りのアプローチは、何に起因しているでしょうか?

レコーディングでより肉体的なアプローチを取って、リハーサル・ルームで全員が同時に楽器をかき鳴らしているような雰囲気を出したかったことが大きいな。そうすることで、よりヘヴィな音楽が生まれる傾向があると思う。ギター・アンプから爆音が噴き出すのに部屋の反対側にいるマイク(マンジーニ)がドラミングで呼応して、それにまた誰かが自分のプレイで呼応する。1人1人が音楽的に反応していくんだ。そうすることでよりパワフルなアルバムが生まれるんだよ。それと同時に、俺たちはより簡潔な曲を収録した、短めのアルバムにしたかった。全3曲のアルバムにはしたくなかった。たくさんの曲を入れたかったんだ。それでタイトで焦点を絞った曲を書くようにしたよ。

ー新作のサウンドは『THE ASTONISHING』が大作主義だったことに対する反動でしょうか?

反動なのかは分からないな。確かに『THE ASTONISHING』はまったく異なったタイプのアルバムだった。2時間半におよぶコンセプト大作で、ストーリーを書いて曲を作るのに3年かかったんだ。それからレコーディングではオーケストラと合唱で570トラックぐらいを要した。さらに、さっき言ったみたくバンド全員がひとつの部屋でぶちかますのとは正反対で、ジョーダン(ルーデス)と俺の2人だけの環境で、ピアノとギターを前にして曲を書いたんだ。ただ、反動かというと、必ずしも正しくはないと思う。どちらかと言えば「それはもうやったから、違うことをやってみよう」というのに近かった。



−違うことをやったといえば、『Distance Over Time』では初めてバンド全員で合宿をして曲作りとレコーディングを行った作品でした。それはどのようなものでしたか?

最高だったよ。スタジオに入るときは2、3カ月のあいだ入り浸りになるものだけど、一緒に住むわけではない。みんなスタジオに通ったり、ホテルに泊まったりするんだ。「全員で一緒に集まろう」となったのは今回が初めてだった。まったく外界から遮られた環境に身を置いたんだ。モンティチェロの広大な敷地にあるカントリー・ハウスと納屋を改造した最先端のレコーディング・スタジオだった。庭にはそこいら中に鹿やアナグマがいたよ。一度スタジオに熊が来たこともある。とても興味深かったね(笑)。

ー何とも、のどかな感じですね。

その通りだよ。起きて、卵を料理して、朝ごはんを食べて、何人かジムに行った後にスタジオで合流するんだ。ただ集まっている感覚だったよ。みんなスタジオにいて、誰か1人が楽器で何かをし始めて、他の連中は晩ごはんを何にするか話したりしていた。バーベキューをやろうとか、リブを焼こうとかね。まあ実際にはやることがなかったけどね。

ーリブは焼かなかったのですか?

リブの話はしたけど、他の食材でバーベキューをやったよ。グリルがあって、マイクがチキンウィングを焼いたり、ジェイムズがハンバーグを焼いたりね。まあ、脱線はそこまでにして(笑)、絆を深める経験だったよ。毎日10時間から12時間を同じ納屋で過ごしていたし、共通の目標があった。さっきも言ったけど、外界から遮られていたんだ。アルバムの曲を書くのに、18日ぐらいしかかからなかったよ。あるとき自分がこう言ったのを覚えている。「ここであと数カ月やっていたら、あとアルバム5枚分の曲を書けるよ」ってね。とにかく音楽が溢れ出てきたんだ。

Translated by Tomoyuki Yamazaki

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