中島みゆきの救いと愛、ラスト・ツアーを瀬尾一三と語る

麦の唄 / 中島みゆき
永遠の嘘をついてくれ / 中島みゆき

田家:さっき思わずメドレーと言ってしまいましたけど、メドレーではないですね。

瀬尾:MCがないってだけです。

田家:「永遠の嘘をついてくれ」がちょっと短くなっているという。あらためて聴いていて、両方とも国について歌っているんだと思いましたね。

瀬尾:まあ、異国っていうのがどこかにあって。片方が日本にいて、相手が異国にいるという形。それは男女を問わずにね。そういうのが腹が立つくらい上手いですよね。言葉のセンスとか、選び方が。今更こんなこと言うのはおこがましいですけれども。「永遠の嘘をついてくれ」って今聴いていたら、これは中島さんが吉田さんに対する愛情の贈り物ですよね(笑)。

田家:この国を見限ってやるという若者がいました。

瀬尾:そういう若気の至りってあるじゃないですか、そういうものでいて、でも落ちぶれて帰ってこれない。僕らの世代はちょっと分かる気がしますね。

田家:で、やっぱり愛なんですね。

瀬尾:愛なんです。そのままでいてくれよ、見限って出ていったような気迫のままで生きてくれよって思うけれども、だんだん老いぼれてきているところに…… だから、僕らの年齢に対する激励なんですよ。だから若いときにみんなどこから来るから分からない自信に満ちたような行動をしたり、発言していたのがだんだん丸くなってきて、それがいいのか悪いのかよく分かりませんけどもそういうのに対して、ずっとそのままの気持ちでいてよっていう初心忘れるべからずという檄を飛ばされているような感じですね。

田家:さっき話に出た「つま恋」というのは、2006年に拓郎さんが還暦を迎えて、つま恋の野外イベントを行って、そのときのバックの演奏、プロデュースが瀬尾さんで。その時にこの「永遠の嘘をついてくれ」を中島さんがシークレットゲストで出て、一緒に歌ったという。

瀬尾:大変だったけども、もういいです(笑)。

田家:みゆきさんはこの曲を歌った後にステージで「お父さん涙ぐんでたでしょう」って話をしていましたね(笑)。

瀬尾:ほんとですね(笑)。

田家:コンサートはこの2曲で終わってしまっても全く成り立つわけですけども。まだ終わらないということで、続きは来週。来週またよろしくお願いします。

瀬尾:引っ張りますねー(笑)。


『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』ジャケット写真

Rolling Stone Japan 編集部

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