狂気のマリリン・マンソン、ミュージックビデオ撮影時に「本番」強行か

あのビデオは暴力の始まり

ウッドはドキュメンタリーの中で、当時インタビューでビデオが話題に上がったらどう発言するべきか、ワーナーから「はっきり指示された」と主張している。「本当に素敵な、ロマンティックな時間でした、と言うことになっていましたが、どれも噓っぱちです」と彼女が言うと、スクリーンには「本番はしていない」という彼女の発言を引用した記事が映し出された。「でもどのみち怖くて、ブライアン(・ワーナー:マンソンの本名)を怒らせるようなことはできませんでした。あのビデオは、その後関係が続くにつれてエスカレートしていく暴力の始まりにすぎませんでした」

ローリングストーン誌に宛てた声明の中で、マンソンの弁護士を務めるハワード・キング氏はウッドの主張にことごとく反論した。「エヴァン・レイチェル・ウッドがブライアン・ワーナーに対して行った虚偽の主張の中でも、15年前に撮影された『Heart-Shaped Glasses』のミュージックビデオ制作に関する想像力に富んだ回想はもっとも厚かましいものです。大勢の証人がいますから、簡単に嘘だと証明することができます」とキング氏は述べた。「エヴァンは3日間の撮影につきっきりで参加していただけでなく、数週間におよぶ事前の撮影計画にも、数日後に行われた完成版の編集作業にも深く関与していました」

「あのシーンは撮影に数時間かかりました。違う角度から何度も録り直し、カメラ設営の間は長い休憩を何度かはさみました」とキング氏はさらに続けた。「ブライアンは撮影セットでエヴァンと性行為はしていません。彼女もそれが真実だと知っているはずです」

2部構成のドキュメンタリー映画は、年内には米HBOでフル放映される予定だ。第1部ではワーナーとの波乱含みの関係やその後の顛末と合わせて、ウッドの壊れた家庭環境も深く掘り下げている。彼女が当時36歳だったワーナーと出会ったのは2006年、ロサンゼルスのホテルChateau Marmontだった。当時彼女は18歳で、2人はほどなく交際を始めた。「(年の差が)自分の感情の未熟さに合っているんだと思う」と、当時のインタビューで彼はこう述べている。「マリリン・マンソンである以上、世間一般の方法で育つわけにはいかないからな」

ドキュメンタリーの一部は、ウッドがレイプと身体的虐待でマンソンを公に告発する以前から撮影された。ドキュメンタリーの中でウッドは保管していた当時の新聞記事を読み上げ、今になって思えば「危険信号」だったと思われる箇所を挙げた。「私たちはあっという間に親友になりました。どんどん共通点が増えていきました――本当、怖くなるくらい」と、彼女は声に出して読み上げた。

「最初のうちは猫を被っていたんです。『自分は君に力を与え、自由にするためにここにいる。本当の君の姿を見せてあげるためにいるんだ』と」 彼女はドキュメンタリーの中でこう語る。「彼は私が解き放ちたいもの、恥らいを捨てたいと思うもの全てを体現していました」

Translated by Akiko Kato

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