SCANDALが語る、活動15年目にして素を出せるようになった理由

―SCANDALは自信満々でデビューしたバンドではなかったし、色眼鏡で見られていた時期もあったし、それこそ自分らしく活動する難しさとも戦ってきたわけですけど、それらの壁を乗り越えていく姿に共感したファンの人たちがSCANDALに救われ、その連鎖が15周年に至るまでの物語を紡いでいった。この一大絵巻はなかなか描けるものじゃないですよね。

RINA:私はセクシャリティ的には多数派に入ると思うんですけど、みんなが好きなモノを好きになれない瞬間があったり、それこそ学校で何かの多数決を採るときはいつも少数派のタイプだったんですよ。多数派の意見が通ったときに「なんで少数派の意見は聞かないんだろ?」と思いながら学校生活を送っていて。小さい頃からたくさんそういう経験をしてきたんですけど、バンドをやるようになってから自分の想いを音楽で表現できるようになったから、私もバンドや音楽に救われているし、そういう経験をしてきてマイノリティの人たちの気持ちが分かるからこそ“いろんな人がいる”“何パターンもの普通がある”というあたりまえのことを常に忘れずに活動したいし、「あなたはそのままで最高だよ」ということを伝えながらツアーしたいと思っているんです。

―その想いはSCANDALの楽曲にも反映されていますよね。

RINA:すべての楽曲にそういう要素は散りばめられていると思います。最初は意図せずに、自分のことも完全に理解できないまま、本当にいっぱいいっぱいの状態で活動していたんですけど、だんだん4人のそういう性質や性格を自分たちで理解できるようになってきて、今はそこを理解した上でこういう音楽を創っているから、マイノリティゆえに寂しい想いを経験したことがある人たちがファンの中にもめちゃくちゃ多くて。それを感じる度に「自分たちの中身が伝わっているんだな」「この子たちにずっとスポットライトを当てていこう」と思うし、自分たちも救われます。



―HARUNAさんは、SCANDALとファンの関係性にどんなことを感じます?

HARUNA:私は“SCANDALである”ことに自信が持てなかった時期もあったりして。何故かと言うと、SCANDALを組む前まではずっとダンス&ボーカルスクールに居て、そっちの道へ進む人間だと思っていたところから急にバンドマンになったからで。それで、まわりのバンドマンとの違いに苦しんだりとか、自分が描く理想のバンドマンらしいことをしてみてもしっくり来なかったりとか、それが出来ない自分にすごくモヤモヤし続けてきたんですよ。けど、そういう自分の姿を見ても付いてきてくれるファンの人たちがいて、モヤモヤしながらも「いつか良いことがあるかもしれない」と思いながら辞めずに続けてきた自分の姿に共感してもらったり、シンパシーを感じてくれたりしたから今があるんだなと思うと……本当に感謝しかないし、そういう人たちをちゃんと救いたいなと思いますね。

―結成経緯が特殊だったゆえに最初はバンドシーンでも浮いていただろうし、ゆえに受け入れられなくてツラい想いもしたし、メンバーそれぞれにどうすればいいのか悩んだと思うんですけど、そんなSCANDALの最大の理解者がファンだったんでしょうね。ゆえに「ちゃんと救いたいな」とまで思える。

HARUNA:そういう特殊な道を歩んできたバンドなので、ファンでいることがちょっと恥ずかしく感じたこともきっとあるだろうし、好きでも「好き」ってまわりに言えないことももしかしたらあったかもしれないし。だからこそ、これからは「SCANDALが好きだ」とファンのみんなが胸を張って言えるように、自分たちもちゃんと自分たちのことを肯定して、自分たちらしく自信を持って活動していきたいなと思いますね。

―とある日本の有名バンドマンが学生時代に「THE YELLOW MONKEYが好きだ」と洋楽ファンの人たちに伝えたらバカにされて、それでムカついたからその人たちが好きな洋楽を全部聴き漁った上で「やっぱりTHE YELLOW MONKEYが世界一格好良い」と言い放ったエピソードがあるんですけど、SCANDALにはそういう格好良いファンがたくさんいるんでしょうね。

RINA:いや、本当に格好良いと思います。

MAMI:自分たちのラジオで「SCANDAL、その前に」というコーナーをやっていて、SCANDALにハマる前にめちゃくちゃハマっていたバンドをファンの人たちに教えてもらったことがあるんですけど、そしたらザ・ローリング・ストーンズやザ・ビートルズの名前も挙がれば、THE ALFEEや聖飢魔IIも挙がったりして本当にいろんなバンドの名前が挙がったんですよ。ということは、そうした偉大なバンドの皆さんに私たちのファンはどこかしらSCANDAL味を感じていたってことじゃないですか。そう考えるとヘンなバンドだなと思うんですけど(笑)、そうやっていろんな音楽を聴くファンの人たちに受け入れてもらえているのは嬉しいし、今のTHE YELLOW MONKEYの話じゃないですけど、最終的に「SCANDALが好き」と言ってもらえているんだなと思うと、めちゃくちゃ心強いです!

Rolling Stone Japan 編集部

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