SCANDALが語る、活動15年目にして素を出せるようになった理由

―なるほど。そんな今「SCANDALはどんなバンドになっているか」と聞かれたらどう答えます?

RINA:超個性的で超自由なバンド(笑)。

―そこに15年かけて辿り着いたわけですね。

RINA:そうですね。やっぱり「求められる自分たちでいたい」という気持ちが強い時代もあったし、今ももちろん「求められることに応えたい」という精神はあるんですけど、それと同じぐらい「自分たちの心に素直に音楽をやりたい、曲を創りたい」という気持ちの大切さに私たちは気付いたんですよね。今回のアルバム『MIRROR』はまさにソレを大切にしながら書いた曲ばっかりなんですけど、全員30代で15年のキャリアを迎えたことで「長く音楽をやっていきたいな、長く表現していける音楽を創ってみたいな」という気持ちが大きくなって、それが今いろんなところに表れ出したんだなと感じています。


MAMI(photo by Jumpei Yamada)

―MAMIさんがボーカルを務める「アイボリー」もまさに自然体の楽曲だと思うのですが、MAMIさんは今のSCANDALに対してどんな印象を抱かれていますか?

MAMI(g,vo):コロナ禍でいろいろ制限もある中で結成15周年を迎えて、大阪城ホールでのアニバーサリーライブもあって、バンドとしても、自分としても「またひとつ壁を越えて未知の世界へ進んでいくんだな」と思ったときに、私も「この先も続けられる音楽をやりたいな」と。女性だからいろんなことがあるだろうけど、それがあったとしても歌っていられるような、演奏していられるような楽曲があったらいいなと思ったんですよね。その中で私たちの今この瞬間を記録しておきたいなと思って。

―なるほど。

MAMI:思い通り活動が出来ない状況下でツラいこともたくさんあったけど、自分たちなりに出来ることもたくさんあったし、ポジティブな気持ちもちゃんとあって、それを曲にしようと思っていたときに、自分の生活の中で自然と浮かんだメロディーと歌詞が「アイボリー」になったんです。ああいう楽曲が出来たのは年齢やキャリアも関係していると思うんですけど、いろんなことが相まって、自分たち的には立ち止まる時間をもらえたタイミングだったし、すごく自然体で活動できたからこそ「アイボリー」みたいな楽曲が出来たんだろうなって。それはアルバム『MIRROR』のどの収録曲に対しても言えることだと思います。

―メンバーそれぞれがありのままの自分として、人間としてSCANDALや音楽とじっくり対峙した結果が『MIRROR』には反映されているのかもしれませんね。TOMOMIさんはどう思われますか?

TOMOMI(b,vo):コロナ禍での制作だったので、この状況下で自分たちはどういうモノを表現すべきか、どういうことを伝えていきたいか。ライブに対してもどのような見せ方をしていくのが良いのか、声を出さずに楽しんでもらう為にはどうしたらいいのか。本当に今まで考えたことがなかったようなことを真剣にたくさん考えたんですよね。それに対する明確な答えは出なかったんですけど、答えが出ない中でも、その答えがない今の自分たちが創る音楽というモノが美しいんじゃないかと思ったし、何か結論づいたメッセージはないんですけど、自分たちの今をしっかり映し出せたアルバムになったなとも思うし、これから5年、10年と“音楽を続けていく希望”になるような作品が出来たんじゃないかなと思っています。


TOMOMI(photo by Jumpei Yamada)

―先日、TOMOMIさんの大ファンとしても有名な四千頭身の後藤さんに生い立ちインタビューをさせて頂いたんですけど、自分の居場所がなかった学生時代に「SCANDALに生かされていました。大袈裟じゃなく本当に救われていました」と仰っていたんですよね。

TOMOMI:めちゃくちゃ嬉しいです。そこまで支えになっていたなんて……いちばん嬉しいことですね。友達の輪の中に入れなかったり、マイノリティな悩みを持っているファンの子からメッセージを日々いっぱいもらっているので、そういう人たちにSCANDALの音楽が届いている自負はあったんですけど、それって自分たちがすべてを肯定してきたからだと思うんです。自分たちもコンプレックスはたくさんあったけど、そんな自分たちも肯定して今まで15年間活動してきたから、そこを見てくれて支えにしてもらえているんだとしたら嬉しいし、私たちの勇気や自信にもなりますね。有り難いです。

Rolling Stone Japan 編集部

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