追悼チャーリー・ワッツ 誰が何をしようと動じない妥協なき音楽人生

チャーリー・ワッツ(1978年)(Photo by Michael Putland/Getty Images)


チャーリー・ワッツは、アルバム『Tattoo You』(1981年)がリリース40周年を迎えた日に、この世を去った。80年代の若者は、『Tattoo You』のチャーリーのドラムを聴いて育った。「Start Me Up」や「Hang Fire」のプロモーションビデオの中でドラムを叩くチャーリーは、目の前のロックスターたちがどんなに激しくポーズを取ろうが、無表情を貫いた。むしろ、ミックのダンスに困惑の表情すら浮かべている。チャーリーは、決して好き放題のロックスターなどではなかった。グリマー・ツインズ(ミックとキース)の後ろで、淡々と自分の仕事をこなしていたのだ。



チャーリーは、華やかな生活に興味を持たなかった。妻シャーリーとの結婚生活は、バンドで活動する一般的なアーティストの結婚生活よりもずっと長く続いた。ロックではなくジャズのファンを自認するチャーリーは、1978年のローリングストーン誌のインタビューで「ロックはダンス・ミュージックだ」と述べている。「音楽的に発展していない。進化というのは、マイルス・デイヴィスの演奏するモーダル・ジャズのようなものを指すのさ。ロックであんなことはできない。(ジョン)コルトレーンもそうだ。ロックでは表現できない」とチャーリーは語った。たかがロックンロール。しかし確かに彼は気に入っていた。「ヘビーなバックビート。それが全てだ。ビートルズや僕らがやってきたことさ。」

ローリング・ストーン誌にも在籍した偉大なるチェット・フリッポは、ストーンズが70年代に行った最高のツアーを同行取材し、著作『It’s Only Rock & Roll』に記録した。彼は、ツアー中のチャーリーの素顔にも迫っている。やり放題の時代の真っ盛りだった1978年のツアー中に、印象的なシーンがあった。「筆者はワッツの家族と一緒にいた。シャーリーは生まれて初めて、カクテルのスクリュードライバーに口をつけていた。当時まだ10歳ぐらいの娘セラフィーナは、“ジョーズ2”のペーパーバックを読んでいる。“私はこんな本を読ませるのは反対よ”とシャーリーは言う。“でも何ごとも経験よ”。」

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アルバム『Tattoo You』は、完全にチャーリーの作品だと言える。チャーリーのドラムがリードする曲であっても、彼は我が道を行くという感じだった。「Neighbours」が最もよい例だ。誰もがチャーリーのドラムに合わせてノリノリになる。そしてソニー・ロリンズがサックス・ソロで入ってくる場面では、珍しくチャーリーのドラムが弾んで聴こえる。

Translated by Smokva Tokyo

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