バイデン勝利により音楽業界の資産売却が活発になる理由


この話が興味深くなるのは、ここからだ。バイデン氏の公式サイトによると、次期大統領は「所得が100万ドルを超える世帯に賃金と同率の投資所得を支払うよう要請する」ことによって米国のキャピタルゲイン税を大きく変えようとしている。ロイターを介して行われた米非営利組織、責任ある連邦予算委員会(CRFB)の財政再建論者たちの研究を見る限り、バイデン氏の税制案が実現した場合、100万ドルを超える金額でカタログ音源を売却したソングライターのキャピタルゲイン税は20%から37%に増加する可能性がある。

筆者は先日、米国内で著作権を頻繁に取得している、潤沢な資金にバックアップされた業界関係者2名に問い合わせたところ、音楽出版カタログ保有者は当然、税制に起こりうる変化に十分精通しているようだった。筆者が聞いた話によれば、バイデン勝利がニュースで報じられてから24時間が経たないうちに買収を企てる企業からの問い合わせメールが殺到したそうだ。カタログ音源保有者は、トランプ大統領がホワイトハウスを去る前に(退去する気はあるのだろうか?)数百ドル万規模の取引を成立させようと躍起になっている。

メルク・メルキュリアディス氏はHipgnosis Songs Fundの創設者で、同社は著作権やストリーミング用に楽曲のロイヤリティを取得するのにここ2年で10億ドル以上を費やした。メルキュリアディス氏は、進歩的な社会派音楽エグゼクティブとして、頼もしい経歴を持つ人物でもある(アフリカ系アメリカ人のアマド・オーブリーさん射殺事件の犯人に対する正当な裁きをジョージア州に求めた2020年5月の活動にも注目)。

バイデン氏の勝利についてショートメッセージを送ってくれたメルキュリアディス氏が選挙の結果に満足していることは明らかだった。だが、氏はキャピタルゲインをめぐるバイデン氏の計画が秘める、カタログ音源を現金化しようというソングライターの今後の姿勢を左右しかねない恐ろしい影響も指摘した。

「民主党が勝利したことにクリエイティブ・コミュニティは歓喜していますが、キャピタルゲインに対する(優遇)措置の終了と資産を売却したソングライターに課されるより高額な税金に対する懸念は残っています」とメルキュリアディス氏は話す。「長い目で見て、バイデン政権がソングライター・コミュニティの重要な貢献に好意的な目を向け、不利になるような変化をもたらさないことを期待しています」。

バイデン氏の税制案が法律になるには、米国議会の上院と下院を通過しなければならない。これは、税法にいかなる変化が加えられるにせよ、それは数カ月も先になることを意味する。さらに、バイデン氏が掲げた計画は、育児、介護、健康保険、住宅所有に関する新たな税額控除を通じて働く家庭の支援を目標としている。バイデン氏が提案した100万ドルを超えるキャピタルゲインへの増税は、作曲したカタログ音源から数百万ドルの収入を得ている多くの人によって支持されている、より広範な課題の一部でもあるのだ。

その一方、バイデン氏の税制案が現実味を帯びるにつれて、カタログ音源を購入しようとする動きは短期的にスピードアップする。

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「新政権が上院の過半数を確保できるかどうかがわかるのはまだ数カ月先なので、いますぐ何かしらの変化が生じることはないでしょう」とメルキュリアディス氏は続けた。「その一方、私たちは年内に取引を成立できるよう、全力を注いでいます。というのも、私たちの素晴らしいソングライター・コミュニティの皆さんに安心してもらいたいからです」。


著者のティム・インガムは、Music Business Worldwideの創業者兼発行人。2015年の創業以来、世界の音楽業界の最新ニュース、データ分析、雇用情報などを提供している。ローリングストーン誌に毎週コラムを連載中。

From Rolling Stone US.

Translated by Shoko Natori

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