アイス・キューブがトランプ陣営に協力、本人が明かすその真意

アイス・キューブ(Photo by Kevin C. Cox/Getty Images)


バイデンはトランプよりも、俺たちにひどい仕打ちをしてきた

—「Contract」で提案している対策をいくつか見てみましょう。銀行融資制度の改革。少額債券への連邦支援。連邦準備金の監査もありましたね。正直、現政権で実現するのは到底無理な相談です――実際、無理でした。政権側と話をした際、こう言ってやりました?「なあ、パンデミック中にCOVID救済支援の給与保護融資プログラム(PPP)の融資が正しく分配されなかったのはなぜだい?」って。現政権下で起きた特定の出来事――彼らはいまだ権力を握っているわけですから――について言及しましたか? あちら側の反応はいかがでしたか?

キューブ:そりゃもちろん、誰もが自分たちは十分すごいことをやってる、と思ってるさ。「マイノリティのためにこういうことをしましたよ、オポテュニティゾーン(都市開発の際にマイノリティ向けのエリア=オポテュニティゾーンを設けることで税控除が受けられる制度)も作ったし、あれもこれも諸々やりました」とね。そこへ誰かが割って入ってこう言う。「あんた、この国の人口の70%の人々を捕まえてマイノリティ呼ばわりするのはやめてくれ。俺たち黒人に特化して、この問題を解決してくれないと。困ってるのは俺たちなんだ」

どっちかが俺たちのコミュニティに狙いを定めているとは思えない。「ダイバーシティ」だの「アーバン」だの、そういう言葉で言いくるめているんだ。結局、俺たちが手にするのは全体の2%だけ。国の13%の人口を維持するには全然足りない。だから俺たちは貧しいままなのさ。俺に言わせれば、コインの裏と表。こっち側は、黒人コミュニティを今まで以上に引っ掻き回そうとしている。かたや一方(バイデン)は、90年代の政策が原因で、いまだに黒人を収監しておこうとしている。

彼は実際、ドナルド・トランプよりも俺たちにひどい仕打ちをしてきた。ドナルド・トランプは俺たちの感情を逆なでしたかもしれないが、バイデンの野郎は俺たちの身体を痛めつけ、刑務所に閉じ込めた。信じないなら実際にデータもあるぜ――。

—いえいえ、バイデンの犯罪法(クライム・ビル)を擁護するつもりはありません(※)――データも把握しています。COVID-19の話題に移りましょうか。

※バイデンは10月15日、自身が起草した1994年の犯罪法について「誤りだった」と述べた。同法は米国で大量投獄の原因になったと受け止められている。

キューブ:どっち側も悪どいことをしてきた。比較しようなんていうのは無理だ。片方は政治術に長けていて、もう一方はずさんなんだから。

—事実、この国で暮らす黒人の1000人に1人がCOVID-19で亡くなっています。経済問題の前に、この話題に入りましょう。

キューブ:了解。

—トランプ大統領はこの国にウイルスをまき散らし放題です……。

キューブ:COVIDのことはよく分かってるよ。パンデミックだろ。正直、どんな政権もうまく対処できたとは思えない。誰が大統領だろうと、1月の段階では……ウイルスは消えました、対策を講じて問題を解決して、万事上手くいくでしょう、と誰でも思うだろう? 今でもこのありさまだが。

—ですが、別の人間がトップだったら、少しはマシだったかもしれません。

キューブ:OK、それはあんたの意見だ。仮の話だろう。だが結局は仮の話なんだよ。あの当時、権力の座にいたのが誰であれ――。

—ええ、実際はこの通りです。

キューブ:対処するべきことをしたまでだ。それは数字に表れているが、たらればの数字はだせない。

俺たち黒人は独立派であるべきだ。独立派っていうのは、自分たちから大統領候補を送り出すことじゃない。そうじゃなくて、「いいか、どっちの政党であれ、俺たちのコミュニティの問題を解決するのに精一杯やってくれる政党に俺たちは投票するぜ」と言うことだ。そうすれば、必ず状況は前に進む。俺たちのニーズを満たす気などさらさらない政党にこだわり続けるなら、それを変えない限りずっとこの状況のままだぜ。

—実は、それこそまさに私が反論しようと思っていた点です。一方の政党が全く興味を示さないばかりか――。

キューブ:そりゃ当然だろ。

—いやいや、まあ聞いてください。実際、我々の目標、我々の繁栄、我々の持続可能性を推し進めることにはまったく興味がない。そういうつもりがほとんどなければ、我々抜きで総選挙で勝利を収めることはできません。興味を示す理由は、正直なところ、彼らが掲げる政策が金権主義、白人至上主義だからです。それが彼らの本性です。

キューブ:民主党は白人至上主義じゃないとでも?

—ある程度はそうかもしれません。ですが、ようするに私が言いたいのは、それが共和党の本性だということです。

キューブ:いいや、どっちも同じだと思う。良い警官と悪い警官ってやつさ。奴らのやり口は知ってるだろ。どっちも警官で、どっちも俺たちをしょっ引こうとしている。どっちも俺たちをムショにぶち込む権力を持っている。片方は性根が悪く、片方は人当たりがいい。だが結局は同じ警官。それが彼らのやり方だ。だけど奴らの目的はいつも変わらないから、俺たちはずっとこんな状況にいるってわけさ。変化を起こすのは彼らじゃない。俺たちが変化を起こすべきだ。

—そこで私から質問ですが、彼らは我々を社会から完全に締め出そうとしているのでしょうか?

キューブ:いや、そういうわけじゃない。

—では我々はどうすればいいのでしょう? 投票するなと?

キューブ:いや、投票はするべきだ。自分たちのために尽くす人間に投票する。今じゃみんなそれぞれ自分の尺度を持っているだろ。それに従って投票すればいい。とはいえ、投票する候補者を決めたからといって、投票日当日まで主張をしなくていいというわけじゃない。みんなが犯しがちな間違いは、どっちサイドにつくか決めたら、「自分はこっちのチームだ」と考えてしまうこと。俺は基本的には、あらゆる手を尽くして勝ちたい。

そこが俺にとっては大事な点だ。候補者にプレッシャーをかけ続け、そいつがコミュニティのためにやるといったこと以上の仕事をさせる。(向こうの言い分は)「こういうプランを立てました、数カ月前にまとめました、以上です、これを超える者はありません」 そんな言い分に甘んじてちゃいけない。「おいおい、ふざけるな、そんなプランじゃうまくいきっこない。黒人のためにもっとテコ入れしないと。マイノリティとかいう文言はまったく無意味……戯言だ。俺たちじゃない。俺たち以外の全員がマイノリティだ。俺たちが主導権を握るべき時が来た」と言ってやるのさ。今までと同じやり方では無理だ。揺さぶりをかけないと。

Translated by Akiko Kato

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