アイス・キューブがトランプ陣営に協力、本人が明かすその真意

アイス・キューブ(Photo by Kevin C. Cox/Getty Images)


資本主義下では、金を手にするまでは尊厳も手に入らない

—ですが先ほどのお話に戻ると――両政党と話し合いをし、共和党と話し合ってでもアメリカ黒人の生活を改善したいというあなたの善意が、トランプ政権に利用されているとは思いませんか?

キューブ:要は政治だろ。どっちの側も自分たちの都合のいいように操れる情報を利用している。たとえばバイデンだって(自分に)投票してくれと駆けずり回ってる連中の手柄を独り占めしてないか? だろ? それが奴らのやり口、それが政治というものさ。そういう駆け引きには関わりたくない。

—それであなた自身が槍玉にあげられても? 先週、トリーナ・ピアソンがツイートした後に起きたようなことがあっても?

キューブ:彼女には一度も会ったことがないし、彼女のことも知らない。面識もなければ一緒に仕事したこともないし、何の関係もない。だから彼女のツイートの内容なんてどうだっていい。俺にとっては全部政治さ。彼女はトランプ陣営の一派だが、バイデン陣営だって似たようなことをツイートするさ。どっちもやることは一緒。だから俺はシカトを決め込んで「またかよ、俺を利用しやがったな」って言うだけ。誰にもいいようにはされない。

誰しも自分のことは自分で自由に決めればいい。ただ俺が言いたいのは、実際に起きていることをちゃんと確認しろってこと。それだけだ。全員のことを考えるんじゃなく、俺たち自身に目を向けてもらえるようにしなくちゃだめだ。レースみたいなもんさ。レースでは誰よりも先にゴールを切ろうとするだろ。もしくは、トップの奴の後ろに、できるだけぴったりついていこうとする。後ろを振り返って、みんなで一斉にゴールしよう、なんてことはしないだろ。俺たちの問題は、俺たち自身で考えないと。でないと、この国ではこの先100年生き残れないぜ。

—世界で何が起きていることをすべて把握するのに、あなたはどこで情報を入手しているのですか?

キューブ:集団でいると心地いいものだから、誰でも時に集団に属して、自分の意に反したことをする。だから俺はできるだけ集団には近づかないようにしている。アメリカには金が唸るほどある。だからといって、自分が一文無しだと思いこんだらダメだ。

仲間に入れてもらいたいがために人に優しくしよう、楽しくしていようと考えすぎるのはやめるべきだ。OK、俺はここにいる、さあ俺の分け前はどこだい?って感じさ。自分の分け前がないなら、ちゃぶ台をひっくり返せばいい。状況をひっくり返すのさ。新参者っているだろう、そいつをバーベキューに誘ったはいいが、とり皿を渡してやらなかったとする。するとそいつは焼き網を蹴飛ばすだろう。焼き網を蹴飛ばして、状況をひっくり返す。そうなれば、誰も食い物にありつけない。そういう風にやり方を変えるべきだ。

—Contractを見てみると、大統領1期目でトランプ政権が特に反対していたような項目もありますね。権力のある人間と手を組んで目的を達成することと、不本意ながら彼らのやり方を正当化すること、そのバランスだと思うんですが、あなたの場合は政治家との話し合いの中で、どのあたりでバランスをとろうとしているのでしょう? トランプ政権に限った質問ではありませんが。

キューブ:そうだな、自分がコントロールできることだけをやればいい。相手は誰にでも嘘をつくかもしれないし、約束を守るかもしれない。相手の出方は知りようがない。相手が政治家でない場合も同じだ。もしかしたら、黒人とうまくやりたいと思って、手を尽くそうと思っているかもしれない。俺が思うに、わざわざ出向いて行って、黒人コミュニティのために十分尽くしてくれと頼み込む人間はそう多くない。自分たちのために、自分たちのささやかなプロジェクトやらなにやらのために何とかしてくれ、と。黒人経営企業(のおよそ40%)が倒産した。そういう企業を少しでも立て直していくには資本が必要なんだ。

そこで相手は嘘をつく。でもよくよく見れば、誰もが嘘つきだ。どいつもこいつも同じだ。トランプは、(奴が)ナイスガイかどうか俺にはわからないが、どっちみち同じさ、どいつもこいつも俺たちにとっては悪党なんだから。現実を見ろよ。だから結局は、どうすれば資本を手に入れることができるかを考えるべきだ。資本以外の他のものでは、俺たちが求める自由は手に入らない。尊厳や社会問題に取り組むことはたしかに大事だが、資本主義のこの国では金や資本を手にするまでは尊厳も手に入らない。

人々に金を渡してくれるのは誰か? そういうヤツらはみなコミュニティから金を吸い上げている。だからどっちも同罪。だから俺たちが揺さぶりをかけなきゃいけない。具体的にどうすればいいか俺にはわからないが、今まで通りのやり方では無理だ。

Translated by Akiko Kato

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