アイス・キューブがトランプ陣営に協力、本人が明かすその真意

アイス・キューブ(Photo by Kevin C. Cox/Getty Images)


次の大統領は誰であれ、黒人を真剣に考えることになる

—その点については私も同感です。ですが、両極端に走っている気がしませんか? 程度の差こそあれ、本来はもっと微妙であるべきじゃないでしょうか? 今の我々の大統領は黒人の救世主を自称しながら、故ジョン・ルイス議員(今年7月に亡くなった米公民権運動の指導者)は取るに足りない奴だと言うような人間なんですよ。対する別の候補者は不完全―――でもまあ、そこまでひどくはないですが。

キューブ:自分がどういう人間かを見極めるべきだ。感情タイプの人間か、行動タイプの人間か? もし他人に感情をかき乱されるのが嫌で、相手の行動よりも言葉の方が気になるというなら、自分はそういうタイプということで決断を下せばいい。他人の行動や考えが気になるタイプの場合、周りはこう考える。「彼はあの法律を通したのか、そいつはすごいな」。とんでもない、そのために何カ月も、何週間も戦ってきたんだ。強硬ラインを突破してな。「彼もチームの一員です」っていうのとはわけが違う。そいつがやり遂げられるよう、パートナーも見守っていた。連邦政府が「大変な状況です、みんなで人々を非難させないと」なんて言っているときでも、パートナーはこう言う。「とんでもない、火事を抑えないと。そこら中で火事が起きてるのよ。囚人たちに鎮火作業をさせましょう」。それが行動するってことだよ。

俺はといえば、行動派の人間。(トランプもバイデンも)長らく権力の座にいて、片方はトップの座に居座っている。だが2人とも1950年代生まれだ。1人はふんぞり返って、バラク・オバマが俺たち黒人にほとんど何もしないのを黙って見ていた。彼がこう言い出すんじゃないかと心配だよ、「みんな、我々には黒人の大統領がいたが、彼は何もしなかった。私がやる必要がどこにある?」って。とどのつまり、俺の親父が言ってた通りなんだ。「誰が大統領だろうと、毎朝黒いケツをあげて仕事にいかなきゃならん」 それが現実。誰もが嘘をつくのさ。

—この点に関して、何かしら有意義だと思われる変化があったとしたら、何だと思いますか?

キューブ:俺たちは「ファック・ザ・ポリス」という曲を書いた。みんなが俺たちに激怒したよ。「ファック・ザ・ポリス」を書いたとき、みんな俺に怒りをぶつけた。年寄り連中は俺たちを検閲するべきだと申し立てた。FBIにも付け回された。みんなから、世界最悪の連中だと後ろ指をさされた。

警察は今まで一度も責任を問われることがなかった。警官を相手に裁判を起こしても、奴がこっちを指さして、悪いのはやつだと言えば、こっちが悪者になった。警官の人格だとか動機だとか、事件当日の態度や捜査手順について誰も疑問視しなかった。最終的にその数年後、ロドニー・キングが殴り殺されて、それが映像になって、警官が裁判にかけられただろ? 有罪にはならなかったが、裁判にかけられた。そこで初めて疑問視されるようになった。やっと彼らの動機について問われるようになったんだ。O・J・シンプソンの時だって――あの時も警察の動機や戦術や手順に対して、裁判が行われた。

今じゃ警官も殺人罪でムショに送られる。ありとあらゆる様々な理由で、警官は解雇され、責任を追及されるようになった。それが俺の答えだ。あの曲を作ったことで、アメリカの問題に光を当て、そして今に至っている。あの曲そのものがこの曲のマニフェストさ。ずいぶん長い時間がかかったけどな。

—今のご自身の活動も、同じ方向に進んでいると思いますか?

キューブ:今回の選挙結果に関係なく、次の大統領は誰であれ黒人を真剣に考えることになるだろう。誰も俺たちをほったらかしにはしなくなる。俺がそんなことはさせない。どっちの政党にも、俺たちをほったらかしにはさせるもんか。


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From Rolling Stone US.

Translated by Akiko Kato

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