最後にチェーンソーを構えた平沢進、「会然TREK」最終公演の意義と「未来を読む力」

平沢進


平沢の強烈なカリスマ、終盤にはチェーンソーを振り回す

会人の二人はベース、ギターのみならずパッドやエレクトリック・ヴァイオリン、エレクトリック・チェロなど次々にギアを持ち替え平沢を支えるマルチぶり。セットの中に入って演奏するときはシルエットが幻想的に浮かび上がって、ヴィジュアルアートの役割までも担っていた。

観客がいないからといって平沢の様子にさして変わりがあるはずもなく、限りなく「通常運転」の様相である。時折棒の付いたカメラを掲げて撮影をしている様子(後日配信された360°カメラ映像を手持ちで撮影していた)が見えるが、それ以外はいつものように堂々、かつ粛々と場を取り仕切って行く。モニター越しでも平沢の強烈なカリスマは薄まることなく伝わってくる。

中でも心揺さぶられたのは、後半、「パレード」から「庭師KING」へ連なる完璧なクライマックスと、そこから畳み掛ける様に放たれた「Wi-SiWi」「夢の島思念公園」「救済の技法」の流れ。熱量が落ちないままの迫力の大団円には凄まじいカタルシスがあった。しかしそれ以上に打ちのめされたのは、続く「QUIT」。ドラマティックなサウンドと対を成すように、歌わず、演奏もせず、ただ静かに佇む平沢の立ち姿には全身の毛穴が開く様な感動を覚えた。剣の達人は刀を抜かないというが、漂わせるやんごとなき気迫が、どんな言葉よりも雄弁にこの曲のメッセージを伝えていたように思う。

【動画を見る】チェーンソーを振り回す場面も収録、「会然TREK」最終公演のダイジェスト映像

ラストの「現象の花の秘密」では、平沢と会人たちがチェーンソーを振り回し始めたので仰天。朗々と歌いながらステージのテントをズタズタに切り刻んでいったのだが、明るい曲調に全くそぐわない光景が繰り広げられるさまはシュールを超えて空恐ろしさを感じるほど痛快な破壊力があった。以後、この日のライブは「配信ライブ」ではなく「チェーンソーのあれ」として伝説的に語り継がれていくに違いない。

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